表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミラー;タイプ  作者: 宛 幸
プロローグ1
1/21

シャワールームから

 ──世界に俺の居場所なんてない。


 熱く高まったシャワーを浴びながら考える。

 体中は傷だらけ。背は平均的、顔は中性的で頭はそれほど良くない。

 趣味といえば毎日の日課にしている筋肉作りだけ。

 学校は行ってはいないが、代わりに裏社会で仕事をこなす。

 上の命令なら何でもする。

 人捜しにペット探し、賭博・変装・潜入でも……上官に命令さえされればそれが例え──人殺しだったとしても、俺はやってのける。

 そういう男に育てられてきた。

 親は知らない。物心付いた時には親戚と申し出る人達に(たらい)回しにされてきた。

 そのたびに引っ越しと転校を繰り返すことになり、いつからかもはや学校さえ行かなくなって、裏で働く大人達の〝仲間〟として裏社会にいた。

 理由はそう──生きるため。そのために何でもやる。死に物狂いで働く、動く。



 ……だけど、どうして自分の手を汚してまでこんなことをするのだろうか。

 生きるため?食べ物を得るため?雨風をしのぐ家がほしいため?

 ──否。わからない。

 何で生きているのか、何のために生きているのか……──わからない。



 親の行方も生死も知らず、ただ命令され生きる人生は『生きている』と言えるのだろうか?

 頭からかぶっていた熱い水のシャワーを止め、犬のように頭を降り水しぶきを飛ばす。

 シャワールームから腰にタオルを巻いて出ると──魔女の様な格好をした観衆の中に、俺がいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ