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序
進路の事を考え始めた高校三年生の春、私のクラスに転入生がやってきた。
何の魅力もないこんな片田舎の学校に、それも今時転入してくるなんて、相当な理由があるか相当面白い人としか思えない。
と、事も無げに思考を巡らすその行為は、しかし、その転入生の姿を見た途端に打ち切られた。
(……っ)
「直江舜です。短い間ですがよろしく」
その瞳は空を見て、その心は宙に在る。私達の事などまるで気にしていない、言ってみれば机と椅子の付属物とでも思っている。まさしくそんな印象だった。そんな人並み外れた人間に、私は一瞬で心奪われてしまった。 有り体に言えば、これが恋するという事なのだろう。
私は今日――恋をした。




