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DEVIL  作者: 悠夢
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怪しげな少年

 午後の授業が終わり明美は帰る支度をしていた。

 「じゃあ、明美。私、部活だから」

 「うん、頑張ってね」

 明美は理恵に手を振り見送る。

 「私には挨拶はなしなの理恵〜」

 後ろから声が掛かる。

 「さすが期待のエースピッチャー様。随分偉くなったわね〜」

 いつの間にか隣のクラスから来ていた美咲がいた。

 「うん?美咲あんたいたの?」

 「ちょ、ちょっと!」

 「ウソウソ、ごめんって美咲」

 「許さない〜!」

 ソッポを向いて腕組みをする美咲。

 「今度、パフェおごってあげるから許して」

 「絶対よ!」

 即答でその提案にのる美咲。甘いものに目がない美咲に対してとても有効な一手だった。そんないつもの光景を見て微笑む明美。

 「どうしたの、明美。にやけっ面で」

 理恵が明美の表情を見て一言。

 「なっ、何よ!にやけっ面って!」

 「確かにしてたよ」

 美咲も明美の顔を見て言う。

 「してないよ!ただ平和だなぁ〜って思って」

 「「年寄りかよ!」」

 2人のツッコミは見事に重なり明美にダメージを与える。

 「何さ、2人して」

 そして笑いが起こる。3人は周りにいるクラスメイトにお構い無しに笑った。

 「アハハハッ・・・そっ、それじゃあアタシ達いくね」

 理恵は部活に行くために(きびす)を返す。

 「じゃあね〜、明美」

 美咲も理恵に続き歩き出す。

 「2人共、部活がんばってね」

 明美は再度、2人を見送る。

 「よし!帰ろっ」

 私物を鞄に入れ席を立つ。擦れ違う同学年の生徒達。

 (明日は遅刻しないようにしないと!でも、午前中ずっと寝てたから夜寝れないかも)

 そんなことを考えながらふと、隣の教室に目を向ける。

 「あれっ?」

 不意に言葉が出ていた。そして足を止める。

 「あんな子、1―Bにいたっけ?」

 見慣れない生徒に目が止まる。黒髪で眼鏡を掛けた男子生徒。雰囲気からして何だか暗そうな雰囲気が漂っている。

 「あの、ちょっとごめん」

 丁度、その教室から出て行こうとした女生徒に声をかける。

 「えっ、私?」

 「そうそう、ちょっと聞きたいんだけど。このクラスにあんな子いたっけ?」

 明美は特待生について調べ回っている内に色々な生徒に聞き込みをした。そのせいで名前までは覚えていなくても何となく顔は覚えている。その明美が知らない少年。気にならない訳がない。

 「えっ、どの子?」

 どの生徒を指すているのか分からず自分の教室を見渡す。

 「窓際の眼鏡かけてる子」

 そう言ってその少年を指す。

 「ああ〜、あの人。え〜っと」

 入学して2、3週間はたっているにも関わらず名前がすぐに出てこないことを考えると見た目どうりあまり人とは話さない目立たないタイプのようだ。

 「うぅ~んっと・・・たしか、山本」

 なんとか搾り出しての答えだった。

 「山本君。下の名前は?」

 確かめるように名前を呟き再度、質問を返す。

 「下の名前は~・・・ごめん、覚えてない」

 「あ、そう。あの、もしかしてあの子あんまり学校来てない?」

 「う〜ん。いや、そうでもないよ。休む日も結構多いけど来てる方だと思う」

 「そっか。じゃあ、何部か知ってる?」

 「ごめん、私あの人と喋ったことないからわかんない。て言うかあの人と喋ってる人見たことないよ」

 「ふ〜ん、そっか。ありがとう。引き止めてごめんね」

 連続の質問を終えると明美は女生徒にお礼を言い解放する。

 「・・・・・・」

 数秒の間、その場に立ち止まりその少年を見つめる明美。彼女の中で何かが引っ掛かったのかもしれない。

 山本と言う少年も鞄に私物を入れ帰る支度をしている。鞄に私物を入れ終わり席を立つ。猫背気味で視線は完全に下を向いて誰とも視線を合わせないようにしている。教室の扉に近付き明美と擦れ違う。視線は合うことすらなかった。少年からは彼女が自分を見ていたことすら気付いていなかったかもしれない。

 この学校では生徒は全員どこかの部活動に所属しなければならない。それは校長の意向でこれからの夢、将来のためにと言うことらしい。そのためにこの学校には多種多様の部活が存在する。

 その中で何処に所属しているか。その少年の素性も謎。そのこと自体に興味と言うか知らないから知りたいという好奇心が明美の中に芽生えていた。運動部には絶対に入っていないだろうとは思う。

 明美は自然とその少年・・・山本の後を着けていた。

ここから少しずつ明美の日常が崩れていきます。

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