表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

第六話:『50』のカウンターと、超加速の「予測不能」を消す方法

プロローグ:加速する「カオス」と『50』の「レール」

**全ステータス『50』の俺、レオン・アスターは、最強パーティ【天剣の光芒】の『安全装置』であり『生活保障』となった。戦闘での暴走を防ぎ、日常生活の事務処理を担う、欠かせない「軸」**として。

しかし、新たな上級ダンジョン**『嵐の尖塔』を前に、最強パーティの連携における最大の欠陥**が露呈する。

それは、カイン・バレットの器用さ(DEX)210による**『超加速』**だ。

彼の動きはあまりにも速すぎるため、フィリアの未来予知の**「定点」から外れ、「予測不能なノイズ」と化してしまう。パーティの誰も、カインの位置を把握できず、連携に致命的な死角**が生まれていた。

ゼノから課せられた新たな課題は、この**『動的な不規則性』**を解消すること。

俺の**『50』の安定した波動で、カインの『超加速』が生み出す「カオス」を打ち消し、「純粋な加速の力」へとチューニング**する。

**『静的な調整』から『動的な連携のチューニング』**へ。

平凡を極めた俺の能力が、いかにして最強たちの**「予測不能な動き」を、「完璧な連携」という名の『レール』**へと変えるのか。

レオンの新たな**「調整」**が始まる。

(本編へ続く)

次の任務は、危険度が高いとされる上級ダンジョン**『嵐の尖塔』**の偵察だ。俺たち【天剣の光芒】は、その事前調査に向かうことになった。

俺の役割は、前回の任務で確固たるものとなった。戦闘時の**『安全装置』、そして日常の『生活保障』**だ。

転送陣を抜けると、強烈な風と魔力の波動が俺たちを襲った。ゼノはすぐに剣を抜き、フィリアは防御魔法を展開する。カインは警戒のために、周囲の岩場を猛烈な速度で駆け上がった。

だが、ゼノはすぐにカインに声をかけた。

「カイン、待て! そのままの速度で動くな!」

カインは苛立った様子で、岩陰に身を隠した。

「ちっ、わかってる。わかってるが、**『超加速』**の特性が邪魔をするんだ! この速度で動けば、偵察の効率は上がるだろ!」

ゼノは首を横に振った。

「その『効率』が、俺たちにとって最大の障害になるんだ」

ゼノは俺を見て言った。

「レオン。これが、君に依頼したい新たな調整だ」

最強パーティの「致命的な連携ミス」

ゼノが説明した。

カインの器用さ(DEX)210による**『超加速』**は、確かに強力な偵察能力だが、致命的な問題を引き起こしていた。

「カインの動きは、あまりにも速すぎる。その動きを**『予測』**できる者がいないんだ」

フィリアが補足する。

「私には未来予知の特性があるけど、カインの超加速による動きは、**未来のどの『定点』にも留まらない。結果、彼の動きだけが、私の予知から『ノイズ』**として弾かれてしまう」

カインがどんな動きをするか、いつ戻ってくるか、どこに潜伏しているか。パーティの他のメンバーは誰も把握できない。そのため、カインが動いている間、パーティは常に**「一人欠けている状態」**で戦うリスクを抱えることになる。

「俺の**『超加速』は、動いている間は最高のステルス性能を発揮する。だが、その代わりに、『動的な位置情報』を誰にも伝えられない。これが、俺たちの連携における致命的な欠陥**だ」カインは悔しそうに拳を握った。

この問題は、レオンの**『50』**でゼノのオーラを中和した前回の調整よりも、はるかに高度だった。

ゼノの暴走は**『静的な調整』だったが、カインの動きは『動的な連携』**の調整だ。

俺の**『50』で、どうやって『予測不能な速度』を『予測可能』**にするというのか?

「カイン。お前は俺から五メートルの距離を取れ。そして、俺の周りを、お前の**『最速』**で駆け回ってくれ」

カインは怪訝な顔をしたが、ゼノの指示だと悟り、頷いた。

「いいか、レオン。君に頼みたいのは、カインの**『動き』そのものを変えることではない。彼の『超加速』によって生じる『不規則な波動』を、君の『50の標準波動』で打ち消し、『均一な運動量』**へと変換することだ」

『50』のカウンターと「標準の慣性」

カインが、文字通り音速に近い速度で、俺の周囲を駆け回り始めた。その動きはまさに予測不能な**『カオス』**。風圧だけで、俺の身体は吹き飛びそうになる。

俺は目を閉じ、全身のステータス**『50』**に意識を集中した。

俺の全ステータスは、常に**『50』という「標準の静止状態」を維持しようとする。それは、この世界における『最も安定した慣性』**だ。

その均一な慣性のエネルギーを、カインの『超加速』が作り出す**『不規則なノイズの波動』に対し、『カウンター』**のように叩きつける。

「うおおおお!」

俺は無色のオーラを、カインの軌道に対して、円を描くように放出した。

俺のオーラは、カインの超加速が生み出す不規則な乱気流に触れると、乱気流を打ち消し、**『波長の揃った穏やかな風』**へと変えていった。

カインの体感では、こうだった。

「なんだ、これ……! 俺の**『加速の不規則性』が、消えていく!? 体は最速で動いているのに、まるで『正確に定められたレールの上』**を走っているみたいだ!」

俺の『50』の波動は、カインの動きの不規則性を打ち消し、彼の**『超加速』に『標準的な慣性レール』**を与えたのだ。

フィリアは目を見開いた。

「すごい! 見えるわ、カインの未来の動きが! 不規則なノイズが消えて、彼の動きがまるで**『時刻表』に沿っているかのように、私には『予測可能』**になった!」

カインは動きを止め、俺の目の前に静止した。

「おい、レオン……これは、どういう理屈だ? 俺は最速で動いていたんだぞ」

「俺は、カインさんの**『超加速』の『不確定要素』だけを、俺の『50の安定性』で打ち消しました。残ったのは、『純粋な加速の力』**だけです。純粋な運動は、規則的になる」

ゼノは深く頷いた。

「レオン。君の**『50』は、もはや『調整』ではない。それは、最強の欠陥を、『規格内最高の性能』へと昇華させる『究極のチューニング』**だ」

ゼノは剣を構え、ダンジョンの奥へ目を向けた。

「これで、俺たちの連携に死角はなくなった。行くぞ! レオン、君は俺たちの**『チューニング・ギア』**だ!」

地味で平凡な俺の『50』は、最強パーティの**『予測不能』を消し去り、『完璧な連携』**という新たな力を生み出したのだ。

(続きは次回)

**第六話「『50』のカウンターと、超加速の『予測不能』を消す方法」**をお読みいただき、誠にありがとうございます!

今回は、レオンの**全ステータス『50』の能力が、ゼノの暴走を抑える「静的な調整」から、カインの動きを制御する「動的な連携のチューニング」**へと、さらに進化する様子が描かれました。

カインの**『超加速』は、パーティの誰も予測できない「カオス」を生み出していましたが、レオンの『50の標準波動』は、その不確定要素を打ち消し、彼の動きに『規則性レール』**を与えました。

これにより、フィリアの未来予知の視界にカインの動きが捉えられ、最強パーティ【天剣の光芒】の連携は**「規格内最高の性能」**へと昇華したのです!

レオンの**地味な『50』は、もはや『安全装置』や『生活保障』といった受動的な役割ではなく、パーティの潜在能力を最大限に引き出す『究極のチューニング・ギア』**としての地位を確立しました。

さて、完璧な連携を手に入れたレオンたちは、いよいよ**『嵐の尖塔』**の本格的な攻略へと乗り出します。

しかし、この上級ダンジョンには、レオンの**『50』の波動をもってしても制御が難しい、新たなタイプの魔物が待ち構えています。それは、レオン自身が持つ「万能職」の特性に深く関わる、「均一」**を乱す存在です。

そして、フィリアの未来予知が、レオン自身のステータスに隠された、さらなる秘密を垣間見ることに……。

第七話も、ぜひご期待ください!

作者: nice貝

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ