表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

第一話:全ステータスが「50」の俺が、なぜか最強パーティの補欠に選ばれた理由

プロローグ:凡庸という名の異物

この世界は、神々のシステムによって支配されている。

十歳で授かる「職業ジョブ」と、それに付随する「ステータス」。それが、個人の価値、生きる道、そして辿り着く運命を決定する。

攻撃力(STR)に特化し、魔物を両断する**「剣聖」。

魔力(MAG)の奔流を操り、都市を焼き払う「大魔導師」**。

彼らは、それぞれ100、200、時には300を超える数値を持ち、その人生は華々しい。

だが、俺レオン・アスターは、そのどれでもない。

俺の職業は、特筆すべき能力を持たない**「万能職」**。そして、俺のステータスは、努力や才能といった個人の差を全て否定するかのように、完全に均一化されている。

全ステータス:「50」

筋力(STR)も、魔力(MAG)も、運(LUK)さえも、すべてが**『50』**。

これは、レベルが上がっても、どんなに鍛えても、決して動かない**「中の下」の絶対的な壁。一つの才能も持たない、究極の凡人**である証だ。

誰もが尖った才能を求め、高みを目指すこの世界で、『50』の均一な数値は、無個性の烙印に等しい。俺は、いつだって最前線から弾かれ、誰かの「ついで」にしかなれなかった。

——そのはずだった。

「君の『50』は、うちのパーティに**『必須』**だ」

学園最強、そして世界を震撼させるSSSランクパーティ【天剣の光芒てんけんのこうぼう】のリーダー、ゼノ・クレイオスはそう言った。

攻撃力250を超える「神剣使い」を筆頭に、規格外の能力を持つ彼らが、なぜ、究極の凡庸たる俺を、**「補欠」**という形で迎え入れようとするのか?

その理由は、俺の『50』という数字の裏に隠された、この世界最大の常識破りに関係していた。

凡庸は、本当に凡庸なのか?

これは、全ステータス『50』の俺が、最強の隣で、自分の存在意義と世界の裏側を知ることになる物語。

(本編へ続く)

俺の名前はレオン・アスター。十七歳。職業は「万能職」。

この世界で、人々は十歳になると神から職業ジョブと初期ステータスを与えられる。剣士、魔法使い、盗賊、聖女——多種多様な職業があり、それに応じてステータスも尖っていくのが普通だ。初期ステータスは、その後の努力や装備で成長していくものの、職業の「特性」に大きく影響される。

例えば、**攻撃力(STR)**が突出して高い「剣聖」は珍しくないし、**魔力(MAG)**が初期で80を超える「大魔導師」も存在する。

だが、俺のステータスは、完全に異質だった。

ステータスを開示する「ステータス・ウィンドウ」を、人目を避けて手のひらに展開する。

名前:レオン・アスター

職業:万能職

レベル:12

筋力(STR):50

体力(VIT):50

器用(DEX):50

魔力(MAG):50

精神力(MNT):50

運(LUK):50

「……相変わらず、完璧な**『50』**だな」

そう、俺のステータスは全てが「50」なのだ。初期値ではない。現在の数値だ。レベルが上がっても、訓練を積んでも、まるで強固な壁にぶつかったかのように、全てが**『50』**から微動だにしない。

このステータスは、一見するとバランスが良いように思える。しかし、この世界の基準で言えば、レベル12にしてはあまりに低すぎる。同レベル帯の冒険者なら、専門とするステータスは70〜100、最低でも他は60台をキープしているのが普通だ。

『50』という数値は、どれだけ頑張っても**「中の下」、よく言っても「平凡」**を抜け出せないことを意味する。剣士としては剣が重く、魔法使いとしては火力が足りず、盗賊としては足が遅い。全てをそこそここなせるが、全てが決定的に足りない。それが「万能職」の、いや、俺自身の現実だった。

そんな俺が、今、学園最強、いや、この国でも指折りの実力を誇るSSSランクパーティ【天剣の光芒てんけんのこうぼう】の、とある部屋の前に立っていた。

「緊張するな……」

扉の向こうにいるのは、まさに最強の名を体現する面々だ。

リーダーは、規格外の攻撃力250を誇る「神剣使い」のゼノ・クレイオス。

紅一点は、初期から魔力300を超えた「星詠みの魔女」フィリア・ノエル。

そして、ゼノに並ぶ実力を持つ「影の暗殺者」カイン・バレット。

彼らの放つオーラは、ステータス『50』の俺から見れば、雲の上の存在だ。

俺がここにいる理由は、その【天剣の光芒】のメンバーが欠けた際、一時的に穴を埋める**「補欠」**として選ばれたから。

なぜ? どうして?

俺のような『50』の凡人が、なぜ、最強パーティの補欠に?

常識的に考えれば、彼らの足手まといになるだけだ。補欠なら、せめてステータスのどれか一つが100を超えている者が選ばれるべきだ。

しかし、ゼノは俺のステータスを見た上で、真剣な眼差しで言ったのだ。

「レオン。君の**『50』は、うちのパーティに『必須』**だ」

必須?

扉を開ける。室内には、想像を絶するステータスを持つ三人が、鋭い視線を俺に向けていた。

「遅いぞ、レオン。さあ、説明しよう。君が補欠に選ばれた、本当の理由をな」

ゼノが口の端を吊り上げ、不敵に笑う。その瞳は、何かを確信しているようだった。

俺の「50」に隠された、最強パーティが渇望する秘密とは、一体何なのだろうか。

(続きは次回)

**第一話「全ステータスが『50』の俺が、なぜか最強パーティの補欠に選ばれた理由」**をお読みいただき、誠にありがとうございます!

主人公レオンの、どこか寂しいくらいに均一化された**「50」というステータス。誰もが最強を目指す世界において、この数値は一種の異物**であり、凡庸の極致です。

そんな彼が、どうして学園最強パーティ【天剣の光芒】に「補欠」として迎え入れられたのか? そして、リーダーのゼノが語った「君の『50』は必須だ」という言葉の真意とは一体何なのでしょうか。

この第一話で、最強パーティと凡庸な主人公という極端な対比を描き、謎の扉を開きました。

次話では、ついにレオンがパーティに加入した本当の理由が明かされます!

「50」という数値が持つ、この世界の常識を覆す特別な能力。

そして、レオンに課せられた、最強パーティ特有の「課題」。

物語は一気に動き出します!

第二話も、ぜひお楽しみに!

作者: nice貝

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ