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第十六話:都合良く行くと思うなよ

「・・・・ーーー やなこった。」


「・・・・はい!!!?」


俺は静かに紫煙を吐き出してそのまま煙管を軽く床に打ち付ければアマテラスとイブキを見てもう一度口を開いた


「お、おぬし・・・今、なんと??」


「だから・・・・嫌だ。って言ったんだよ。」


「・・・なんじゃとぉお!!!?」


「元の世界?六竜?悪の魔術師?・・ッハ、知るかよ。俺は嫁殿とこのアシハラで暮らすって・・もう決めてるんでね。」


にやりと笑い嫁殿の腰を抱いたまま、にやりと口元を歪め、煙管を外して俺はさらに言葉を続ける


「だってよ・・・この女と、毎朝白米炊いて、焼き魚つついて、夜になりゃ一緒の布団で腕枕して・・・そっちのほうが、よっぽど“救い”ってやつじゃねぇか?」


「こっ・・この愚か者が!!貴様、ただ一人の命を守れるならば数万人の犠牲を是とするのか!?」


「当たり前だろうが」


召喚された相手が()()()()()()()()()()()ならさぞ喜んで首を縦に振っただろうが・・


ーーー てめぇら忘れちゃいねぇか?今目の前にいるのが()()()()()()()()()



「・・・俺は“使命”でここにいるんじゃねぇ。この世界に召喚されて、一番最初に思ったのはただ一つ・・“こいつの隣にいたい”ってことだけだ。」


「ば、馬鹿者ーーーーッッ!!どこまで本気で言っておるのじゃぁああ!!!」


「俺は最初から最後まで本気だわ蛇野郎が!!!」


俺の怒気を込めた声が神殿内を震わせる。



「世界の危機?知ったことか。・・・俺の女が泣かねぇ世界なら、それが俺の“正義”だ」


「・・・ちょっと感動してたのに最後で台無しだわ!!!!!!なっ、なんでこの場でそんな惚気みたいな宣言するわけ!!」


俺の言葉を聞き、アマテラスは微笑みを浮かべうっすらと目を伏せ呟く


『・・・ですが狗凶。貴方がそう言うことも、わかっておりました・・世界を救うというのは、選ばれし者の“義務”ではありません。ですが・・・愛する人が隣で笑える未来を守ることは、“意志”。』


「おうよ、だから俺は戦う。世界のためなんかじゃねぇ、“三雲の笑顔を壊すヤツ”が敵だってんなら・・・それだけで、十分だろ?」


「こらあ!!アンタぁ!!今!!めっちゃ!!良いシーンだったでしょうが!!」


「そ、そうじゃ三雲!!言ってやれ!!この犬っころ少し独尊がすぎるぞ!!?」


恥ずかしさのあまりに真っ赤になりながら嫁殿の手がぽかぽかと俺の胸を叩く姿に思わず苦笑いが浮かんじまう。


「はいはい、叩くなって。・・・ったく、お前は昔っから泣きそうな顔で怒るんだよな。・・・可愛いけど・・・だが、そうだなぁ・・あの邪魔な嫁殿のダチだけ元の世界に帰すなら喜んで手伝うぜ?俺は・・お前の旦那として、な?」


「可愛いじゃと!?今は堂々と惚気る場面ではなかろうが!!」


俺の態度が気に入らなかったらしく、イブキは肩を怒らせ、杖をドンと突き立てるが、そんなモン俺にゃあ脅しにすらならねぇんだよ。残念だったな。


「あんたの方がテンパってるぜ、坊主。落ち着けって。」


「ぐ、ぐぬぬぬ!!こら三雲!!主の口からも言うてやれ!!びしっと!!」


「ちょっ、あの、狗凶・・・」


イブキの言葉に声をかけようとした嫁殿に、俺は真剣なまなざしを静かに向ける。その色には、揺らぎがない。ただあるのはこの愛しい女を守るというソレだけ。


・・悪いな嫁殿。俺にも引けない理由があるんでね。



「・・・俺は、お前を守るって誓った。どんな世界でも、誰が相手でも、それは変わんねぇ。」


「なっ・・今はそんな話してる場合じゃ・・・」


「だから言ってんだよ。もし、お前の友達だけでも元の世界に戻れる方法があるなら・・その道は俺が切り開く。お前の旦那として、な?」


俺の言葉の意味を理解したらしく、嫁殿の怒りの手が止まり、指の先がわずかに震える。・・安心しろよ。そのくらいは叶えてやるさ


「・・・・ま、できればお前も一緒に帰れる方がいいんだろうが。あいにくとソレを望む気なんて無い。・・だが、俺はどこだって構わねぇ。地獄だろうが、神の国だろうが──お前と一緒なら、そこが俺の居場所だ。」


「狗凶・・・その、あの・・・」


腰を抱いていた手を放して俺はしゃがみ込み、三雲と視線を同じにして語り掛ける


「なぁ、三雲。・・・お前は、どこに居たい?」


その問いには、何の脅しも、押しつけもない。ただ、俺の“本気”だけを残して嫁殿に尋ねる。


・・・悪いな嫁殿。だが、それでも・・俺はお前を大切に思ってるんだよ。化け物なりにな


「・・・わたし、は・・・・」


俺の言葉に嫁殿は顔を赤らめたまま少し俯いて、ぽつりと言葉を零す


「・・・あ、アンタがいるなら、どこでもいい、かな」


「おいおい・・・照れてんのか、嫁。そんな顔されたら、ここが“黄泉”だろうが“異界”だろうが──俺にとっちゃ極楽じゃねぇか」



その答えにくっく、と喉の奥で笑いながら嫁殿の頬をそっと指で撫でる。すると、先ほどまで俺たちのやり取りを見守っていたアマテラスは穏やかに微笑み呟いた


『・・・ふふ・・・なんとも良き、夫婦の愛ですね・・』


俺はそのままアマテラスの方へ視線を向けると、自分の腕を嫁殿の腰に回し引き寄せ尋ねる。


「・・・なァ、アマテラスの姫神サマよ。俺にとっちゃ、この女が“生きて”隣にいてくれりゃ、それだけで十分。 ・・・もしこの国が終わるなら、おれが創ってやるさ。コイツのための、新しい世界を、な」


俺の言葉にイブキは腕組みをしつつもどこか呆れと感心が混ざったような声で呟いた。


「・・・まったく、救いようのない惚れたバカじゃな・・・。だが、それでこそ狗凶か・・・姫神よ・・いかがなさるおつもりか?」


イブキはアマテラスに視線を移すと、アマテラスは静かに微笑を浮かばながら俺たちの前に己の尾をかざしてきた。するとそこにだんだんと光が集まってきて何かの形を作り出す。


ーー 鏡。


それも豪華な炎の装飾が施された曇り一つない鏡が俺たちの前に姿を見せればそれは小さな光の粒に姿を変えて、嫁殿の右腕へと消えた。


『──では、契約は成立ですね。あなた方が“この国を復興させる”と、誓うのなら・・・我が力も授けましょう。神鏡《八咫鏡》は、すべてを見通す。あなた方の未来も、その魂の在処も・・逃さず、照らします』


「上等。・・・俺は、コイツを笑わせるためなら、神にもケンカ売るぜ」


そう言いながら、嫁殿の手をしっかりと握りしめる。世界がどうあれ、俺と嫁殿の決意はもう、揺らがないだろう。


すると、またメニューバーらしき表示画面が俺たちの前に現れた


・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


【神器:神鏡・八咫鏡】


ハイランディアに伝わる六龍神の加護が宿る神器の一つでアシハラ国の国宝。その鏡に宿りし炎の力は悪しき暗黒を消し去り陽光の如き力を与える。


※三雲、並びに狗凶の炎魔法や炎攻撃の威力が上がり、また炎の耐性も上昇しました


・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・














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