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百合ロボ娘VS大怪獣 〜ガールズ・ロボット・ラブ〜  作者: 紫電
第十話「暗黒の海から触手が迫る!」海棲触手怪獣オクタウィア登場
33/35

あげろ!あげろ!

 極寒の海に浮かぶ漁船が荒波に揺られていた、この船に乗る者達の仕事はカニ漁だ。


船員に与えられた一日の睡眠時間は非常に少なく、殆ど不眠不休の状態で過酷な環境のなか肉体労働を強いられる、死亡事故も珍しくない命懸けの仕事である。


「なあ、最近かなりカニの量が少なくなってねえか?」

「カニどころか魚すら見かけねえなあ」


 極寒の状況下で波を浴びると、そこが直ぐに凍ってしまい船が転覆してしまう、筋骨隆々の乗組員は、船体に纏わりつく氷をハンマーで砕きながら怒号に近い声量で会話を交わす。


「思い出したが、この辺には、物騒な言い伝えがあるらしいぜ」


 渋い顔...なのはいつも通りの船長が、二人の会話に入ってきた。


「クラーケンでもいるのかい?」

「イカの化物とは惜しいな、タコだよ、でけえタコみたいな邪神が、この海域に沈んでる遺跡に封印されていたけれど、人間が侵入してくるとブチギレて復活するって伝承があるんだ」

「心の狭い神様だなあ」

「だから邪神と呼ばれているのさ、ケチくせえ」

  

 必死に氷を砕く作業を繰り返しながら、海の戦士たちは伝承を知らされたが、それが後世に語り継がれる事を赦さぬ神が現れる。


「なあ、その邪神様は、ちょうどこんな感じか?」

 

 暗黒の海より頭から湧き出でし者、この中で一番若い船員が指差したそれは、口と肩から吸盤がビッシリと備わる触手を垂らし、両腕もまたそれと同じモノになっている巨大な怪物であった。


挿絵(By みてみん)


「うわっ!!」


 怪物は肩から生える触手で船を絞め上げると、そのまま持ち上げる。


「ご本人登場なんて、ものまね番組だけにしてくれねえかなあ」

「セイレーンかスキュラか、どうせなら女の怪物にして欲しかったなあ」

「おいおい、こんな見た目でメスって可能性は全然あるぞ...」

「どのみち、ここで終わりってことは間違いねえな...」

    

 怪物は船を自分の口内に放り込んで咀嚼したのち、呑み込んで触手で腹を擦る。


腹を満たした怪獣は、小刻みに体を震わせながら暗く冷たい海の底へと再び潜っていった。



 

「おお!神よ!私はあなたを信奉します!よってわたくしめをお見逃しください!!ああ!神よ!」

「落ち着いてください、もう大丈夫ですから!」

  

 船が食べられた際に寝室から海に身を放り出され、そこを通りがかった他の船に助けられ、生存した者が一人だけいた。


命拾いこそしたものの、世にも恐ろしい光景を目の当たりにした為か気が触れて措置入院する羽目になってしまったが。

 


「へえ...蟹と来て今度は蛸ですか...海鮮の時期ってわけでもないでしょうに」


 MINT極東基地の司令室。狂った患者が断片的に口にした情報を纏めて、無駄に堅苦しく書き記された報告書に、ユキヒラはコーヒーカップを片手に目を通していた。


「ユキヒラ隊長〜!」


 アオイ隊員がパトロールから戻って来た、その手には、なにやら食欲を誘うニオイを放つビニール袋がぶら下がっている。


「たこ焼き、買ってきましたよ!!」

「うへぇ...たこ焼きですか...!」

「イカ焼きの方がお好みでした?」

「実はタコの怪獣が現れたという情報が記された書類を読んでいたので、タイムリーだなと」

「じゃあ怪獣をタコ焼きにしてしまいましょう、軽く一年分はつくれるでしょ」


 アオイ隊員はビニール袋からパックを取り出して開いて、タコ焼きに爪楊枝を刺す。


「いくらなんでも、怪獣を食べる気にはなりませんね」


 なんて言いつつも、熱々のたこ焼きを美味そうに食べるアオイを見ていると、ユキヒラの食欲は刺激された。


「えー!この前あらわれた怪獣は、エビの味がして美味かったじゃないですか」 

「あぁ、生まれたてながら凶暴で手強かったあの怪獣・・・かなりの苦戦を強いられましたね、猫鈴猫さんですら」

「食中毒になったのは忘れられない、ちゃんと火だって通したのになぁ...」

「たこ焼き、買ってきましたよ!!」

「うへぇ...たこ焼きですか...!」

「イカ焼きの方がお好みでした?」

「実はタコの怪獣が現れたという情報が記された書類を読んでいたので、タイムリーだなと」

「じゃあ怪獣をタコ焼きにしてしまいましょう、軽く一年分はつくれるでしょ」


 アオイ隊員はビニール袋からパックを取り出して開いて、タコ焼きに爪楊枝を刺す。


「いくらなんでも、怪獣を食べる気にはなりませんね」


 なんて言いつつも、熱々のたこ焼きを美味そうに食べるアオイを見ていると、ユキヒラの食欲は刺激された。


「えー!この前あらわれた怪獣は、エビの味がして美味かったじゃないですか」 

「あぁ、生まれたてながら凶暴で手強かったあの怪獣・・・かなりの苦戦を強いられましたね、猫鈴猫さんですら」

「食中毒になったのは忘れられない、ちゃんと火だって通したのになぁ...」


 食糧不足に備えて怪獣すら食べてみよう!という動きもあるらしいが、ユキヒラは一回限りで無理があると思った。


「隊長!B地区に怪獣反応が!!」

 

 オペレーターが振り向きながら叫んだ、数週間前に起きた怪獣騒動を思い出していると、また怪獣が現れるとは全くキリがない。


「...ごちそうさま!ご命令を」

「出動!」

「了解!」


 空になったパックをゴミ箱に捨て、アオイ隊員はイキシア格納庫へと走る。


「さて、パトロール中のリンドウ隊員にも伝えないと...あら、そう言えば私は一個もたこ焼き食べられてませんね...」


 買ってきたのはアオイ隊員だから別に良いですけれど...なんて思いつつ、無意識に少し頬を膨らませるユキヒラであった。

 

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