ひとつ屋根の下!
怪獣ものの人間舐めたら駄目だよ〜
イキシアが放ったミサイルは、見事に二体の目標に直撃し爆発!紫色の煙を発生させて巨大怪鳥と巨大爬虫類の動きを止めた。
巨大怪鳥と巨大爬虫類は戦闘を中断、イキシア二号の強酸弾を浴びながらも、それぞれ、慌てて空へ飛び去り、または穴を掘って地に潜って逃げた。
「”今ので死なないどころか逃亡の余裕まで...”」
イキシア二号が発射したミサイルには対巨大生物用に凝縮された猛毒が多量に含まれており、今まで交戦してきた怪獣のうち十三体はこれで撃破できていたのだが。
「”なあに、暫くしたら毒が回って反応が消失する筈だよ”」
「”それなら良いですが...絶対ではありませんから”」
「”また現れたら、その時は私が倒すって!”」
「”頼りにしてます...”」
・・・なんていうアオイ隊員とリンドウ隊員のやり取りを、イキシア三号で街まで送り届けられながら香燐はメモ帳に記録中。
「ところでお嬢さん、ステルス機能付きの装備なんて一体何処から拝借したのかな?」
「は?なに言ってるんですか、私は他の記者とは違います、モラルを守って仕事を...期日は守り切れなかったりしますが」
「違いますよ、貴方の隣りにいる方です」
「夏だからって心霊体験なんて勘弁ですよ!なにも見えませんけど?!」
動揺している香燐の隣から、違うよお姉さま、幽霊扱いしないで!と、聞き覚えのある声が。
「あっ、この声は、さっきの!!」
「そうだよ!ステルス機能で姿を消して、ずっとお姉さまにくっついてたんだ〜!!」
「ぐえーっ」
昼間にキャンプ場で出会った生意気な幼女が、ステルス機能を解除した事で再び香燐の目の前に現れ、ぎゅ〜〜〜〜〜〜っと隣に座る彼女に抱きついた。
「君は何者なの?」
「う〜ん、地球外製のロボットだよ、でも性別は女の子だからね!そこんとこよろ!!」
投げかけられたアオイ隊員の質問に対して、幼女は香燐に抱きつき、その胸に顔を埋めた状態のまま答えた。
「君の目的はなに?」
「侵略者の兵器とかではないから安心してよ、ただ別に地球人の味方というわけでもない、私は飽くまでお姉さまの味方ってだけだから」
アオイ隊員は息を呑む、この少女の言葉に根拠はないが、謎の説得力がある。
「あんた電波系?隊員さんも、こんな子供の悪戯に付き合う事なくないですか?」
「いいや本物だよ。さっきはステルス機能付きの装備なんて言ったけど、そんなのは見当たらないし」
「服の中に隠してるんじゃ...」
じと〜っ... ... ...香燐は謎の幼女の体を舐め回すように見た。
「きゃぁ、お姉さまのえっちー!」
「ちょっ!今度は私が通報されるから辞めなさいよ!!」
「わたし地球外製でメカだから法律的に問題ないよ、ただ無機物に興奮する変態だって認定されるけど!」
「日本だから問題ないわ、この国には、そんな人ザラにいるから!!」
「...oh.サブ・Culture」
このとき香燐は気付いていなかった、アオイ隊員が自分と謎の幼女の会話を見ながら、プククと笑いを堪えている事に。
「にしてもよ?なんで私についてたわけ?」
「万が一の為だよ、怪獣に食べられたり、踏み潰されたりしそうになったら、私が助けるつもりだった」
「助ける?子供がどうやって...」
「そのうち、わかるよ!」
その後アオイ隊員によって郊外まで送り届けられた謎の幼女と香燐は、仲良く手を繋いで...というか幼女から一方的に香燐の手を繋いでイキシアから降りた。
香燐は頭を下げてお礼を言い、アオイとはここで別れた。
さて、そうすると自称ロボットでお姉さまと呼んでくる不思議な幼女と二人きりになる訳だが... ... ...あまりに心細い状況だ。
「私は猫鈴猫だよ、貴女を守るために造られた地球外製のロボットだよ、今日から末永くよろしくね、お姉さま」
「ちょっと、なんでそうなるのよ!?結婚でもするつもり!?」
「したいんだけど今の地球に宇宙製のメカニックと人類が結婚可能な法律は該当なしだから、仕方ないね」
「冗談じゃないわ!得体の知れないSF的存在と一緒に暮らすなんて無理無理!!」
...なあんて帰ってきたときは言ってたのにね、猫鈴猫はニヤニヤと小悪魔的な微笑を浮かべる。
「お人好しなんだよね、お姉さまは!」
「仕方ないじゃない!育児放棄なんて勘違いされたら癪だし、というかこの状況やばいでしょ」
見た目は幼い女の子である猫鈴猫と、ボロいアパートの一室で同じ布団の中で寄り添って寝る大人という光景は、何も知らない人からすると法に触れている様にしか見えない。
「彼女がいた時によくあったシチュエーションと同じなのよ、大家さんにでも見られたら通報されるでしょ」
「はあ?彼女〜???」
猫鈴猫の顔はすぐ傍にあるので、電気を消していても膨れっ面なのがわかる。
「あらあら嫉妬してるのかしら、本当に私のこと好きなわけ!?」
「だからそう言ってるじゃん、ばか」
「はあああ!?万年成績学園一位だった私に馬鹿ですってぇ!」
「今の聞こえてたなら普通は良い雰囲気になる流れじゃないの!?やっぱ馬鹿じゃん!!」
「バカっていう方がカバなのよ!あれ?河馬鹿で動物三体いて楽しいわねこれ」
「子供かよ〜」
猫鈴猫が呆れたその時だった、部屋が激しく揺れはじめ、そのせいで台所から鍋が落ちて昨晩作られたもやし炒めが畳の上にぶちまけられ、壁に貼られた胡散臭い御札が宙を舞う。
「なに?地震!?」
「この揺れ方は違う、あの硬い鎧みたいな皮膚を利用して地中を進んでいるの」
「鎧ってまさかブルガアザルス、生きていたの!?」
「あいつだけじゃない、もう一匹だって!」
慌てていたのでシャツ一枚で下はダボダボのジャージという服装のままベランダへ出た香燐は、自分が暮らす街の惨状を目の当たりにする。
「いつ見ても酷いわね、怪獣による災害ってのは」
地中を進み、やがて地上へと現れた巨大爬虫類が、民家や逃げ惑う人々を踏み潰しながら、炎に照らされる夜の街を堂々と歩いていたのだ。
ポーン、ポーン、ポーン、時計台の鐘が鳴った。その音が巨大爬虫類ブルガアザルスは癪に障ったのか、太く堅い尻尾を時計塔に叩きつけて破壊した。
しかし怪獣は特撮が一番映えるんだなあ、精巧なミニチュアを破壊する気持ちよさ




