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百合ロボ娘VS大怪獣 〜ガールズ・ロボット・ラブ〜  作者: 紫電
第八話「愛ゆえの怒り!月から兎がやってきた!!」月夜怪獣アルナブムーン登場
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月からウサギがやってくる!

 赤い両目を輝かせながら、隕石すら噛み砕いてしまう長く鋭い三つの牙を持つ兎のような怪獣が宇宙空間を泳いでいた。


片手に杵を持ち、背中に臼を背負って月から飛び出した、この怪獣の目的は不明だが、地球を目指していることは確かだ。


「隊長!月から地球に迫る巨大生物が反応あります!!」

「あと一時間で飛来します!!」


 オペレータたちがユキヒラに怪獣の襲撃予測を報告、MINT基地内に緊張感が張り詰める。


「わかりました、MINTは今から迎撃準備...アオイ隊員、リンドウ隊員、こちらユキヒラ...」


 ユキヒラはパトロール中のイキシア二基に、怪獣が飛来すること、そして燃料の補給に戻る様に伝えた。


一時間後――――。


「“...怪獣、来ます!”」


  オペレーターの予測通り、月からの使者は地球に飛来、市街地のど真ん中に降り立った。


不可解な鳴き声を発する怪獣の口から、金色に輝く三日月状の光線が発射され、電波塔や高層ビルは真っ二つ、粉々に砕け散りながら付近の薬局やゲームセンターの上に崩れ落ちる。


「なんて凄まじい破壊力なんだ!」


 杵を振るってコンビニ駐車場に停まっていた足元の車をゴルフボールのように打ち飛ばしたり、ボウリング場の屋根に備わるピンを模した看板を粉砕するなど、月からの使者はやりたい放題だ。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


「“あいつ遊んでやがる!”」

「“遊び感覚で地球を破壊されては、たまったもんじゃないですね、攻撃開始!!”」

「“了解!”」


 隊長の指示を受けてイキシア二号は溶解弾、三号は高火力ミサイルを発射。強力な兵器攻撃を同時に受けたことで皮膚が爛れた怪獣は、苦悶の声をあげる。


「あっ!まぶしっ!!」


 怪獣の全身から金色の光が放出され、命の危険を感じてMINTの視界を奪う、暫くして、空の女神たちが目を開けた時にはもう、敵の姿は無かった。


「くそ、逃がしたか...」


 レーダーからも巨大な熱源反応は完全に消えていた、こうなると打つ手はなく、帰還を余儀なくされるMINTであった。


「次は小学校にいきましょう!」


 唐突に大声を発して、台所で皿を洗っていた猫鈴猫をビクッとさせたのは、オンボロアパートに敷かれた畳の上で、胡座をかき、スマホをいじっていた桃井 香燐。


「ちょっと!驚かさないでよもう!危うくお皿割るとこだったじゃん」

「ごめんごめん、やっと良さそうなネタが見つかったから嬉しくて」


 喜んではいる香燐だが、目には濃い隈ができており、げっそりしている。


 前回書いたツチノコの正体はアオジタトカゲかと思いきやレプティリアンだった!?という記事が大不評だったので編集長にこってり絞られた。


だから今回は起死回生の必要があり、二十四時間寝ずに図書館やらネット検索やらでネタを探していた...というのが寝不足の原因である。


「人間は生きるために仕事してるんでしょ?仕事で死んだら意味ないからね」

「あんたらが人間様から仕事奪ってくれたら、こんな目に遭わなくて済むんだけどね」

「機械に甘えたら人類滅亡の一途をたどる羽目になるよ、この惑星の映画作品だったら、機械に仕事どころか地球の支配権を奪われるのがお決まりみたいだし」

「うう、説教は編集長だけにしてほしいわ...!」


 貧乏記者は嘆きながら安物の缶ビールと栄養ドリンクを同時に喉に流しこむ、誰がどう見ても体に悪そうな行動なので猫鈴猫に睨まれた。

それで、何で小学校なの?」


 皿洗いを終えた猫鈴猫が、エプロンを外して、香燐のスマホを覗き込と、海のすぐ傍に建つ学校の写真が掲載されていた。


「この美智汐小学校で、グラウンドが金色に輝くのを何人か目撃したらしいのよね、そして呻き声が聞こえるとか!」

「怪獣じゃないかな?」

「そう思うわよね、怪獣ネタは需要があるもの!」

「不謹慎な気もするけど」

「そんな声も確かに少なからずある、だけどね、出来る限りの現実を国民に伝えるのが記者の仕事なのよ!」

「そんなの建前じゃん、生きてくためにはお金がいります、でしょ?」

「今はそうなっちゃったかもね、昔は間違いなく、それが本音だったんだけど...」

「世知辛いね〜」

「そんなことより、さっさと準備して行くわよ!!」

「いまから?」

「遠いもの!二日は前にはもう出るくらいじゃなきゃ、他に先を越されちゃうわ!!」



シャワーを浴びる、食事をする、歯を磨く、顔を洗う、化粧をする、着替える、仕事道具を準備する、いっぱいある朝の必要事項を香燐はスマートに済ませた。


「何だかんだポテンシャルはあるんだよね、お姉さま、昔に比べると歳をとって劣化しても一応は美人の部類だし」

「褒めてるの?けなしてるの!?」


 夜逃げと間違われそうな程に、こっそり、香燐と猫鈴猫はアパートを出て、最寄りの駅を目指して夜道を歩くのだった。

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