羨ましい能力
怪獣みたいに体も心も大きい人間になりたかったぜ
「うん、猫鈴猫ちゃん、勝手なことされると困るんだよね、遺留品を灰にするとかさあ」
通報を受けて万富久山にやってきたMINTたちは、状況を乱されて、猫鈴猫は悪びれた素振りも見せずに紋白蝶を視線で追っている。
「保護者である桃井さんも、監督責任がありますからね」
「はい、すみません...!」
香燐はというと警察の人に平謝りする羽目に、この様子を後からやってきた記者たちが撮影しようとするも猫鈴猫が妖しく光る目で睨んできたので一目散に逃げていった。
「隊長...!怪獣の反応があります.........湖畔のあたりです」
「ではいきましょう」
リンドウ隊員が持っているレーダーが怪獣反応を感知したので、ユキヒラ隊長は警察にこの場を任せて、部下二人と共に湖畔に向かう。
怪獣=スクープという思考を持つ香燐は、当たり前のようにMINTの後をこそこそと追いかける。
茂みに隠れて様子を見ていたが、肝を冷やして帰ってしまった他の記者たちに、彼女を見習えと言うのは少しばかり酷かもしれない。
「いた!!」
レーダーが知らせた通り湖畔に怪獣が四つ脚で立っていた、サイズは約三メートル程ある。
「こんな短時間でもうこんなに巨大に!?」
香燐は興奮気味に怪獣を激写し、MINTは銃を構えると、鈍く重い鳴き声を発しながら怪獣は火をふいた。
引き金を引いてMINTは応戦するが、怪獣は全く気にせずに一歩ずつゆっくりと迫ってくる。
「成長早すぎじゃないかしら、あの怪獣!」
僅か七歩進む間に、なんと怪獣は十メートルはあろうかという巨体になっていた。
「歩くたびに...成長する怪獣........」
「一歩進んで二歩下がってほしいもんだけど…......!」
「お姉さまの精神年齢の成長だって、かなり昔に止まってるのに!」
「おいこら」
「まあまあ怒らないでよお姉さま、わたし頑張るからさ!」
怪獣は依然として火炎を吐きながら迫りくるので、猫鈴猫はバリアを展開して灼熱地獄から人間たちを守る。
「ありがとうございます猫鈴猫さん」
「よーし、これで百人力だ!」
火炎を防ぐバリアの後ろからMINTガンを浴びせ続けられて、ようやく疲れたのか怪獣は口を閉ざした。
「今だ!」
猫鈴猫はバリアを消し、怪獣の顔面に目から光線を発射して浴びせる、顔面が軽く爆発、皮膚と火の粉が飛び散ると同時に怪獣は姿を消してしまった。
「やった...!」
「ありがと、猫鈴猫」
「んふふ」
アオイがガッツポーズ、リンドウは胸をなでおろし、香燐が猫鈴猫を撫でている、この平穏な光景を微笑しながら眺めるユキヒラの通信機に本部から連絡が入る。
はい、こちらユキヒラ、えっ?怪獣が久井杉山に!?」
どうやら怪獣は一瞬のうちに、西日本のこの万富久山から東日本の久井杉山へと移動したらしい。
「瞬間移動して逃げたのか...」
歩くたびに成長して巨体になり、瞬間移動までしてしまう怪獣... ... ...隕石め、とんだ厄介者を地球に運んできてくれたものだと一同は嘆いた。
「"見つけて直ぐに倒すか、動きを封じる必要があるか、どちらにしろ足を止めて悩んでる暇はありません"」
「"どうせ悩むなら、行動しながら悩むべし、さもなくば余計な悩み事が増えるのみ、ですもんね"」
「"がんばります..."」
MINTは広大な丘に着陸させたイキシアに再搭乗し、今度は久井杉山へと飛んでいた。
「"隊長!またさっきより大きくなってますよあいつ"」
さすがに瞬間移動には敵わないが、超音速のイキシアだって二十分もあれば西日本から東日本の山へ来られる。
さて、驚くべきは怪獣の全長が今や約三十メートルにまでなっていることだ。
「くそーっ、観測所がめちゃくちゃだよ!」
“ガナペザンテ”と名付けられた怪獣は、長い首をハンマーのように使って地震観測所を瓦礫の山に変えてしまっていた。
MINTより先に到着していた戦闘航空機や戦車の残骸まである、イキシアが到着するまで必死に戦っていたが敗北したらしい。
敵は...討つよ...」
リンドウ隊員はガナペザンテの足元にミサイルを発射、すると怪獣の立っている場所はドロドロに溶解した。
ここは崖が近かったこともあって、足場を失ったガナペザンテは、奈落の底へと飲み込まれていく。
「"さすがはリンドウ隊員だね"」
「"怪獣の反応ロスト!やりましたね、リンドウ隊員"」
「"そう言われたら... ... ...照れちゃいます... ...
..."」
こうして死亡したかに思われたガナペザンテであったが、その翌日、今度は北九州・初九善山にある発電所付近に現れた。
「"あの怪獣は不死身か?しかも出現範囲が広すぎてやってられませんよ全く!"」
苛立ちながらも、アオイはガナペザンテにナパーム弾の雨を浴びせる。
「"しかも...また...大きく..."」
既に五十メートルはあるのでリンドウ隊員も良い加減うんざりした表情を浮かべているが、いくら嫌気が差そうとも発電所を守るのには全力を出さねばならない、ガナペザンテの眉間を狙った集中攻撃が開始された。
「"サルビア博士の推測によれば、怪獣は本来超巨大な生物で、歩くたびに地球の重力に慣れて、段々と元のサイズに戻ってるのではないかということです"」
ラーメン屋台で注文した、塩ラーメンと唐揚げ、チャーハンのセットを待っている間に、小さなテレビの画面で怪獣についての討論番組を、香燐は猫鈴猫と並んで眺める。
「やっぱりどんどん大きくなる怪獣なんだね、お姉さまみたいに」
「は?余計なお世話よ!!」
これから高カロリーの食事をするというのに近ごろ太り気味なことを指摘され、香燐の食欲は失せてしまった。
怪獣に限らず敵キャラの自由度高くて描いてて楽しい!




