食欲の秋
今回は明るい回です!
「うまっ、何杯でもいけわね!」
食費をケチって、仕事終わりに栗やキノコを持ち帰り、炊き込みご飯を作ってバクバク食べている成人女性がいた。
食欲の秋とは言え何杯も炊き込み御飯をおかわりする日々を続けている彼女の体重は、増え続ける一方だ。
最初は松茸じゃないことに文句を垂れていたが、十分に美味しくて安上がりな事に気付き、かつ日頃のストレスがたまっていたせいで桃井 香燐は暴食を止められない。
「お姉さま、今日で合計三十五杯目だよ?カロリーオーバーじゃん、完全にさあ!!」
「どうせ仕事で動くから良いのよ!」
体調や栄養バランスでの心配から、猫鈴猫は太るぞと定期的に警告しているのに言い訳ばかりして香燐は聞く耳をもたない。
「良い加減にしないと毒キノコ採取するからね!」
「ううっ...それは困るわ、私は見分け付かないし」
キノコを採取するときに必要な毒の有無を確認する作業は猫鈴猫がしてくれている、だから、もしも彼女に毒キノコを混入させられても香燐は全く気付くことはできないのだ。
「良い加減にしないと毒キノコ採取するからね!」
「ううっ...それは困るわ、私は見分け付かないし」
「なによりお姉さま太ったからね、いま量ったら体重三キロは増えてるから」
ガーン!落雷に打たれたような衝撃が、香燐の頭頂部から爪先まで走り抜ける。
「なんて勝手なことしてんのよ、これって完全にデリカシーの侵害じゃないの!」
「健康に悪いから責めてダイエットはしてよねー!」
「ダイエット...学生時代はスタイル維持のために努力してたけど、大人になったいま、あの時と同じ事を繰り返さなきゃいけないと考えたら、食欲が失せてきたわ...」
表情が明るいものから暗いものに変わった香燐は、卓袱台のうえに、炊き込みご飯が残った茶碗と箸を置いた。
「おっ、ダイエットの第一歩だね」
だからといって食事を残すのも良くないので、香燐のかわりに炊き込み御飯は猫鈴猫が食べる。
「でも食事制限は不健康よ、筋肉落ちて代謝も下がるなんて元も子もないから」
「じゃあ、なにより痩せる運動方法を今晩からでも...」
卓袱台を挟んで正面に居た猫鈴猫が、いかにもな事を考えてそうな顔になると両膝をついて香燐に近付いてくる。
「このスケベ!」
「ふぎゃ」
香燐は、拳骨で猫鈴猫にお灸を据えるも...。
「いたい...」
鋼鉄より硬い猫鈴猫の頭に拳骨を食らわせた香燐の方が、ダメージを受けてしまった。
「わ、わたしもいたい...」
... ... ...やはり、さしもの猫鈴猫も普通に拳骨は痛かったようだ、暴力は振るった方も振るわれた方も傷つけるのだなと涙目ながらに香燐は思い知る。
一方その頃、MINTの面々は基地内で秋の食材をふんだんに使った豪勢な料理を食べていた、もちろん香燐が食べたがっていた松茸もたくさん使用されている。
「このタケノコなかなかいけます、ね?」
「おいし...おいしい...」
「はい、あーんしてくださいね...ふふふ」
「おいしいです...」
ユキヒラ隊長がリンドウ隊員の口に箸で挟んだ秋刀魚の一部を運ぶ、私は何を見せられてるんだと呆れつつ、まあいいかとアオイは一心不乱にタケノコご飯を頬張る。
他の職員やオペレーターたちも、みんな秋料理の美味さに笑顔を浮かべている。
「こんな御馳走を作ってくれる、食堂のおばちゃんには頭が上がらないや」
タケノコご飯を平らげたアオイは、次に栗きんとんを頬張りながら、おばちゃんに感謝の気持ちを捧げた。
こうしてMINTの基地内はいま、幸せに満たされていたのだが、"市街地に怪獣出現!MINTは直ちに出動してください、繰り返します!!" と、怪獣出現を報せる警報が鳴った。
「ああもう、食事くらいさせてって!」
「秋の食事会は一旦中断ですか、さっさと撃退してご飯が冷める前に帰れば良いんですよ」
「...私達になら...できるよ...」
「よーし、食べ物の恨みは恐ろしいってとこ、見せてやるぞ〜!」
食事中に席を立つのはマナー違反だが怪獣に人間のルールは関係ない、さあ、MINT出撃の時だ!!
食べ過ぎは本当に体に悪いので気をつけましょう




