アルバゴン大暴れ!!
怪獣による破壊シーン考えていると楽しい!
ユキヒラが口にしたウミユリというのは、海底数千メートルまで潜航が可能な対深海生物用の戦闘潜水艦である。
「急造だから、まだ一人乗りだがね」
「海底数千メートルの...闇にひとり...」
リンドウ隊員は孤独な世界を想像して震えた、宇宙と限りなく近い神秘の世界に一人きりとなれば、相当な精神力が求められる。
「私が行きます、自分からしたら空も海も同じことですよ」
やはりというか、ここで名乗り出たのはアオイ隊員だった。
「無茶だけはしないでくださいね」
「我々は、怪獣退治なんて無茶が仕事でしょっ」
軽口を叩いてウインクしてみせると、アオイ隊員はウミユリが係留されているドックへ向かった。
「これがウミユリですか...」
ウミユリはまるでアンコウのような、なんとも奇抜なデザインをしていた、正直アオイ隊員は不安を覚えたがサルビア博士の兵器はどれも一流なので信じることにした。
「気をつけてくださいね」
「がんばって」
「任せてふたりとも、なんなら海の幸でも土産に帰ってきますから」
軽口を叩いて早速アオイはウミユリに搭乗する、吐き気に襲われそうなおびただしい数のボタンに圧迫されたコックピットは狭かったが、最新技術により不思議と窮屈さは感じず空気も美味く明るい。
乗る者の精神状態を極力安定させる工夫がなされているのだ。
「無茶だけはしないでくださいね」
「我々は怪獣退治なんて無茶が仕事でしょっ」
「"ウミユリ、出撃します"」
いよいよ潜水艇は人類の未来を背負い、秘密の海底トンネルを通して大海へと出た。
「お前らも怪獣は怖いよな」
小魚をはじめ、クラゲ、サメにクジラといった珍しい生き物も、深海に向かうまでの間に何度も、何匹もウミユリに接近してくる、アオイはこれらがみな、何処となく怯えているような気がした。
そして巨大な蟹やアンコウも迫っきたが、いくら円窓から至近距離で見られるとはいえ怪獣に慣れてしまうと迫力不足なのが辛いところだ。
「いた!」
暫くウミユリは自然の貸し切り水族館を堪能しながら深く深く闇の世界へ潜っていくと、巨大な岩に背もたれ休息しているアルバゴンを発見した。
「あいつは私がお前を憎んでいるように光を憎む...んだよな、たしか!」
ウミユリは深海ながらも高機動力を発揮して水圧弾をかわしつつ閃光ミサイルを発射した、これはアルバゴンに直撃、爆発して表皮を焦がすと共に眩い光を放出する。
真っ暗な海底で急に激しい光を浴びたアルバゴンは、興奮状態となり、ウミユリに急接近してくる。
「海底より深いところに連れてってやる!」
ウミユリは超強力魚雷・トゥナを発射、これをまともに浴びたアルバゴンは全身の皮膚を灼かれた、高火力の攻撃を受けた怪獣はたまらず海の上へと逃れた。
「なんて速さだ、ここに来るまで私は一時間以上かけたのに、一分もかけずに海上へ出るのか!!」
手負いの獣は凶暴性が増すもの、この状態でアルバゴンに上陸を許すのは非常にまずいのだ。
「港に上陸させるなあーっ!うてええ!!」
顔を出したアルバゴンに対し、待機していた戦艦隊が一斉砲撃を仕掛ける。
「怪獣がこちらに向けて攻撃をっ」
「うわあああああああっ!!」
砲撃をものともせずにアルバゴンは空気弾を発射して戦艦を全て大破させ、遂に港に上陸してしまった。
上陸した怪獣は、尻尾を団扇の様に扇いで激しい風を起こした。
「私の車って飛べたのお?」
「おいボッとすんな、なにかに掴まってないと...って掴まってても飛ばされるー!!」
人々は捕まった電柱や自動車、信号機ごと空高くに舞い上げられ、吹き飛ばされた船が灯台に激突したり民家を押し潰したりと港は悲惨な状況になってしまった。
暴風で港を吹き飛ばしたのに飽き足らず、アルバゴンは口から空気弾を吐いてビルを粉々にしながら歩みを進めるたびに炎があがり、もはや地上もアルバゴンの住処にされてしまいそうな勢いだ。
「”MINTは突如として現れたロボット怪獣と、近畿支部の航空部隊と共に交戦中だ、我々だけでもやるぞ“」
「”手負いならいける!"」
怪獣はいつ現れるかわからない、他県にロボット怪獣が出現し、MINTがこちらに出動できなくなったので代わりに防衛軍航空部隊がやってきた。
「ちきしょう、海も陸もめちゃくちゃにしやがって!」
戦闘航空機はまだ流血している箇所を執拗に攻撃するも、アルバゴンはこれを接近してきた瞬間に素早く次々と叩き落として全滅させた。
「くそーっ!!まったく効果がないぞ!!」
次にアルバゴンは足元で砲撃してくる戦車に鋭い眼光を向ける。
「航空部隊がやられた!ならば私達がやるしかない!!」
戦車連隊は引き続き砲撃を続けるも、アルバゴンが起こした強風により地盤ごと空へ舞い上げられてしまう。
「馬鹿な!なんなんだ、この凄まじい風はあああああっ!!」
舞い上げられた戦車は次々と落下して、戦車連隊も壊滅してしまった。もう駄目かと思われたとき、青空の彼方からやってくる白銀の戦士あり!この惨状をテレビ報道で知り、(香燐に強要され)猫鈴猫が駆け付けてくれたのだ!!
さあ、ヒーローのお出ましだ!