メールにて
“もう別れよ”
最愛の人に送った、彼女としての最後のメール。
一年間想い続けて、
やっと振り向いて貰えて、好きって言ってくれた彼。
そのうちお互い部活とか勉強で全然会えなくなり、メールの数も減った。
私の方が限界だった。
“そうだね。”
帰ってきたメールは、いつもより質素で余計に辛かった。
やっぱり、もう好きじゃないんだなって思った。私達は、もう会わない。
もう会えない。
私の心がもっと強くて、辛いことから逃げなかったら…なんて考えてしまう。
被害者ぶったって、結局私は臆病者。
そう思いながら、携帯を置いた。
ベッドに寝ながら、今までを思い返した。
“なんで私を好きになったの?”
と、聞いたら事があった。
わがままで、横暴で、頭も悪くて、何もできない私。
優しくて、堅実で、努力家だった君。
“…秘密。”
そういって笑った。
でも、君はきちんと私を愛してくれた。
言葉には出さなかったけど、態度でわかったはずなのに。
今までの、沢山のものが込み上げてきて、初めて泣いた。
泣いた瞬間、逢いたいと思った。
いくら忘れようとしても、体に残る貴方の体温。
重ねた唇の優しさ。
甘い想いが溢れて、愛し合ったあの時間が輝いた。
…ヴ-ヴ-
恐る恐る携帯の受信ボックスを開いたら、予想外の文字。
“友達になろっか”
彼らしい、優しい言葉だった。
でも、反対に彼女でなくなった残酷な言葉。
なんとなく、友達になってみようかなって思って、最後のメールを返した。
『メールにて』を読んでいただき、ありがとうございます。
二作目です。
これからも頑張ります。