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新入生カリキュラム・魔術実技、剣術実技

昼食の時間が終わり、5時間目の始まった。

内容は魔術の実技、この時間では魔術の知識や高速詠唱、威力などが見られるらしい。

Cクラスのみんなは魔術専用の施設に集められた。

周辺を見渡すと、大きな結界が張られている。

恐らく、魔術での大きな被害を抑えるためだろう。


「よし、ではこれより魔術の実技を始めぞ、一列に並び、各個人のもっと得意とする魔術を使ってくれ、医療魔術を使う場合は、先生に言って使用するように」


こうして5時間目のカリキュラムが始まった。

俺個人としては魔術がどういうものなのか実に気になるところ・・・魔法と魔術、どっちの方がより優れているのか、とりあえず、一人目を見てみよう。


「いきます!!【天雷よ!!落ちろ!!】」


一人目が詠唱らしき、言葉を発すると、的に向かって雷が落ちる。

的は粉々になり、形の面影もない。


「おお!すごいじゃないか、初級魔術でここまで威力とは・・・」


先生達も感心しているようだ。

なるほど、このレベルか・・・

なかなかな威力だとは思う、だけど、あれで魔物が倒せるのだろうか?

いや、そもそもまだ一年生だ、ここで決めるのはお門違いだ。

よし、あの子の少し威力を落とす程度でいこう。

それから、次々と魔術は放たれていった。

そして俺はあることに気づく、『ダサい』、あまりにもダサすぎる。

詠唱もなんだか、痛々しいものを感じる。

【大いなる精霊よ】とか【我が身に眠る、黒龍よ】とか、聞いていて、耳を塞ぎたくなる。

こうして、蓮也の出番が巡ってくる。


「伯!見とけよ!!びっくりするものを見せてやるよ!!」

「なんだ、あの自信ありげは・・・」


蓮也があんなに自信があるなんて珍しい。

きっと何かあるのだろう、まぁ期待はしてないが。

すると蓮也は詠唱を始める。


「【万物創造・天地反転・神想・真相魔術・ディバイデュオ】!!」


螺旋を描く竜巻が、的を抉り取る。

それは奥の的を、そのさらに奥の的を抉り取っていった。

クラスメイト達と先生は唖然とした顔を表す。


「どいうよ!!これぞ、我が家に伝わる、真相魔術よ!!」


すごいけど、真相魔術って何?

最初に浮かんだ、一言はそれだった。

それにしても、今までの魔術とは桁が違うな。


「正直、驚いたよ」

「だろう!!はははっ!!」


調子に乗ってるな・・・まぁ別にいいけど。


「お!次は・・・」


次は神白奈々の番の様だ。

彼女は一体、どんな魔術を・・・


「こんなのただの茶番ね・・・【フレイ】」


たった一言で、火炎が的を燃やし尽くした。

その威力は蓮也の真相魔術に匹敵するほどの威力、全ての的は燃やし尽くされ、その場を炎の海と化した。


「すごいな・・・」

「化け物だぜ・・・」


蓮也も驚いていたが、先生達もさらに驚きの顔を表している。

すると先生が神白奈々に質問を問いかけた。


「神白はいつから短縮魔術を?」

「そうね、小さい頃すぎて覚えてない・・・」


俺が知る神白奈々より少し冷たい気がした。

気のせいだと思うけど…

そのまま白奈々は定位置に戻った。

短縮魔術、おそらく、詠唱の短縮のことだろうけど、どうやら相当すごいことらしい。

だって、蓮也の注目が一気に神白奈々に注目を変えている。


「ゴホンっ!、え〜と次は神谷、前へ」


俺はゆっくりと、定位置の元へ歩く。

さて、どうしたものか、魔術・・・魔術か〜〜色々見たが、恥ずかしくて正直、口にもしたくないのだが、しかし・・・仕方ない、マシな方にするか。

俺は人差し指を構える。


「集中・・・【風よ、貫け】」


この魔術はただ風を強く、打ち出すだけの魔術だ、的に当たってくれればいいのだが・・・

その風は的をすり抜けた。


「あれ?」


当たらなかったのか?

風は確かに出ていたが、周りはそれ以外わからなかった。

実際に的は微動だにしなかった。

先生は何も言わずに次の生徒を呼んでいた。

そのまま時間は過ぎていき、5時間目が終わった。

その場を去る際、神白奈々が的を眺めているのを見つける。


「何やってるんだ?」

「おい!伯!!早くいくぞ!!」

「ああ、わかった」


俺は気にせず、次のカリキュラムに向けて、準備を行った。

的に目を向ける神白奈々は小さく


「やっぱり、只者じゃないね・・・」


そう言って、彼女はその場を去った。

6時間目は剣術の実技、これに関してはかなりの自信がある。

ここで魔術の実技の結果を取り返さなくてはいけない。


「これより、剣術の実技を始める、二人一組となり戦ってもらう、まずはペアを組め!!」


よし、じゃあ、俺は蓮也と・・・

そう思い、振り向くと、なぜか、神白奈々がそこにいた。


「よろしくね、伯くん」

「え・・・」


周りを見渡すと、蓮也は女の子に囲まれて、鼻下を伸ばしている。


「お前が仕組んだのか?」

「なんのことかな?」


すでに手を握られていた。

俺を逃す気はないらしい、だがちょうどいい、今の俺の実力がどれほどのものか、試すにはそれなりの実力があったと方が安心というもの。

彼女に限って剣術が弱いなんてことはないだろう。

だっておそらく彼女の本分は【剣術】だろうしな。


「よし、二人一組になったな、では各自、準備出来次第、開始とする、成績は専門の人が採点しているから、心置きなく今ある全力を出してほしい」


俺と神白奈々は少し離れたところに移動した。


「一度戦ってみたかったんだよね・・・伯くんと」

「俺もだ・・・その化けの皮を剥がしてやるよ」

「きゃ!変態・・・手加減はしないよ?」

「へぇ〜そんな冷たい目もできるんだな」


両者、剣を構える。


「いっくよ〜〜〜」


仕掛けたのは、神白奈々からだった。

迷いのない、一直線の剣を俺は剣で受け止める。


「やっぱり、伯くん、なかなか力持ちなんだね」

「それほどでも!!」


そのまま薙ぎ払い、仕掛ける。

・・・剣術スキル・瞬光一閃・・・

彼女の背後に回り込み、胴に向けて切り出す。

しかし、彼女に傷ひとつ付いていなかった。


「何?今の早かったけど、どうして切らなかったの?」


いや、俺は確かに切った、しかも異世界でよく使っていた、剣術スキル・瞬光一閃、大体の魔物はこれで肩が付くほど、強力なスキル、けど今の彼女には傷ひとつない・・・なぜ?


「まっいいや、もうその剣は見切ったよ」


俺は隙を作らず、すぐさま攻撃を仕掛けた。

・・・剣術スキル・次元剣・・・

剣術スキル・次元剣はある範囲内に入っていれば、どこを攻撃しても相手に当たるスキル、しかし、彼女に傷ひとつ付いていない。

もしかしたら、俺の異世界で得たスキルはこの世界の人たちには聞かないのかもしれない。

それは・・・相当やばくない?

なんだろう、一気に自信が・・・


「もう終わり、確かに動きは早いけど、全く攻撃してこない・・もしかして舐められてる??」


彼女は大きな誤解をしている様だが、仕方ない、スキルを使わずに、戦うしか・・・

・・・基本スキル・剣術S・・・

何度も剣を振るった、しかし、彼女に傷ひとつ付けれない。

その瞬間、俺はある可能性を見出した。

まさか・・・この【基本スキル・剣術S】もスキル扱いなのか?

もしそうだとして、俺の持つスキルがこの世界の人たちに効かないとしたら・・・


「詰みじゃないか?」


つい心の声が漏れてしまった。

【基本スキル・剣術S】なんて、剣を振っていたら、強制的に発動する、これじゃあ、戦えない。


「どうしたの?私はまだまだ元気だけど?」


急にゾワッとした感覚に襲われる。

落ち着け、落ち着くんだ、だったら拳で・・・って今は剣術の実技なんだよな・・・

仕方がない、ここはうまく恥を晒さないように負けるしかない。

それしかない!!!!!

ここにきて、異世界のスキルがこの世界の住民には効かないことが判明したのだった。



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