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幕間 勇者編・助けた少女前編

これはまだ俺が異世界にいた時のお話。

そう、これはまだ俺が勇者になって1年が経った時こと、俺はある一人女の子を拾ったんだ。


「大丈夫か?」


大雨の中、びしょ濡れになりながら、一人ポツンと座っている。


「……」


女の子は何も答えない。

ただずっと下を向いている。


「う〜ん、どうしよう…よし!!」


・・・勇者スキル・絶壁・・・


まず女の子が濡れないように壁を作り、雨宿りできる場所を作った。

さらに…


「【ファイヤー】」


魔法で火をつけて、焚き火を作った。

女の子は何も答えてはくれないが、さっきまで震えていた体が少しずつ少なくなっていく。

ここは戦場の跡地、きっとこの子の家族は……

とはいえ、流石に何か食べさせないとと思い、俺は鍋で温かいスープを作った。

周りを暖かくしても芯まで暖かくはならない。


「これでも食べて…きっと芯まで暖かくなるよ…」


女の子はゆっくりとスープを受け取る。

俺はすごく嬉しかった。


「熱いから、ゆっくり食べな…」


なんか、不思議な気分だった。

こんなに穏やかな気分になったのも久しぶりかもしれない。

俺は数週間の間、この子の世話をすることにした。


「お兄ちゃん!!花だよ!!花!!」

「本当だ…綺麗な花だ…」


この子は数週間で顔色も良くなり、よく笑うようになった。

俺は初めて人を救ったと実感できた。


「お兄ちゃん!!剣術教えてよ」

「剣術?いきなりどうしたんだ?」

「私もお兄ちゃん、みたいに強くなりたい!!そして困っている人を救たいんだ!!」

「おお…大きい夢だな」

「夢は大きい方がいいってお兄ちゃんが言ってた!!」

「そういえば、そんなこと言ったけ?」

「とにかく、教えてよ〜〜〜」


この子がわがままを言うのはとても珍しかった。

正直、少し迷った。

だって人を助けたって…いや、この子は本気だ、なら俺も真剣になるべきなのかもしれない。

けど、この子はまだ幼い、ましては戦場を知らない。


「わかった…」

「やった〜〜!!」


とはいえ、俺もいつまでこの子と一緒にはいられない。

どちらにせよ、一人で生きるための力は必要だ。

俺は教えれる限りの全てを教えた。


「まずは、基本の剣術Eから習得だな」

「はい!!」


基本スキル・剣術Eを取得して初めて他の技などのスキルを覚えられる。

とはいえ、基本スキル・剣術Eを取得するのに早くても3日はかかる。

それがこの世界の常識だ。

だが、この子は…


「あ、取得できたよ〜〜」

「はやっ!?」


わずか、3時間で取得したのだ。

これがいわゆる、天才というやつか。


「よし、じゃあ次は…」


この子には俺が教えれる剣術スキルを教えていった。

剣術スキル・居合斬り、剣術スキル・富嶽などレベルに合わせたスキルをどんどん覚えさせた。


「いや〜本当にすごいな…」


1ヶ月で初級から中級までの剣術スキルは全て習得してしまった。

さらに基本スキル・剣術Bまで到達、もはや、外に出ても死ぬことはないぐらいの力を手にしてしまったのだ。

俺には勇者としての特典があったから、すぐに習得できたが…


「師匠〜〜」


最近、この子は俺のことを師匠と呼ぶようになった。

本当に勘弁してほしい、もし俺の仲間にこの現場を見られたら、間違いなくいじられる。


「魚ゲットしたよ〜〜〜」

「おお、すごいじゃないか!!」


こうして自給自足の生活がしばらく続いた。


「ねぇ〜師匠?」

「なんだ?」

「私の名前ってなに?」

「!?」


この子には記憶がなかったのだ。

薄々は感じていたが、一体、あそこで何を経験したのだろうか。

しかし、名前がないのは流石に不便だ、だが俺がつけていいものなのだろうか。


「ごめんね、師匠、けどどうしても思い出せないの…ずっと…ずっと…ずっと」


彼女は悲しい顔を見せる。

俺はどうしたらいいかわからなかった。

俺に名前をつける資格なんてない。

だってそうだろう?あの場所、この子がいた場所、町が崩壊していたあの場所。

崩壊した原因は俺にあるというのに。

けど、そうだ、思い出す間は、記憶を思い出す間は仮の名前をつけてあげよう。


「じゃあ、思い出すまで、この名前を使うといいよ、ミラ、意味は贈り物って意味、どうかな?」

「ミラ…うん!私はミラ!!」

「おっ、もう遅いし、寝ようか」

「うん!!」


そして、ついにお別れの時が来た。

少し、長い旅だったが、とても楽しい旅だった。

最初はどうなるかと思ったけど、ここまで早く立派に成長するものなんだなと、思った。


「本当に、ここでお別れなの?」


ミラのことだから、ギャーギャーいうのかと思ったが、かなり冷静だった。


「ああ、だがミラなら大丈夫、もう十分、一人で生き残れるだけの力はある、俺は元からそのために剣術を教えたんだ」

「なら、最後に師匠に決闘を申し込みます!!」

「いいよ、ミラ…」


最初で最後の決闘、最後のケジメをつける決闘が始まった。



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