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クラス対抗剣術勝負前日・麻那の心

クラス対抗剣術勝負前日、俺は奈々と最後の調整をしていた。

神経を研ぎ澄ます、ほんの少しの動きにすら敏感に感じ取れる。


・・・勇者スキル・自動反応・・・


奈々から繰り出される攻撃を次々とカウンターで反撃する。

最初は順調だったが、奈々の剣速が上がっていくたびに、反応がズレて、少しずつ、ダメージを受ける。

そして最終的には…


「これで私の勝ちね」

「参った…」


勇者スキル・自動反応はあらゆる攻撃に反応できるが、体力と集中力をかなり使うから、少しずつズレが生じる。

奈々と一緒に訓練しながら、体力と集中力を上げてきたが、なんとか2試合までは持ちそうだ。


「疲れた〜〜〜」

「明日が本番だから、しっかり、休んでよね」

「わかってるよ…」


明日がクラス対抗剣術勝負、できれば、最初にAクラスと当たりたいけど、そこは神様に祈るとしよう。

訓練を終えた俺は剣を磨くために、学園の敷地内にある、大きな庭に向かった。

この学園には剣を磨く場所が無いという欠点がある。

本当に困ったもんだぜ。

まぁ、剣を使うより、魔力で剣を生成した方がコスパもいい、替えが効くからいいのはわからるけど。


「ここなら、迷惑にもならないし、のんびりできるな…」


剣を磨くと言っても刃を研ぐわけでもなく、本番の時に違和感がないように調整するだけ。

しばらく、剣を調整していると、近藤先生を見かけた。


「あれって…」


近藤先生だよな?最近よく見る気がするけど、何しにきたんだ?

ここって生徒がよく来ることはあるけど、先生が来ることはなかなかないんだけどな。

まぁ、いいか、ああいうのは関わらないのが吉だ。


「よし、これで大丈夫だろ」


剣の調整を終えた俺は、そのまま片付けをして寮に戻った。



星波麻那


麻那は訓練場で時間ギリギリまで訓練していた。

一振り一振りに強烈な風が吹く、瞳には一切の迷いがなく、剣に没頭していた。

まだ、まだ足りない、こんな剣では甘すぎる。

突き詰めるんだ、自分の全てをこの一振りに…。

麻那は本気だった。


「やってるな〜〜」

「まだ訓練をしているのですか?」


訓練の最後の仕上げをしようとしたところに思わなぬ人たちが話しかけてきた。


「珍しいですね、ゾーラ、結奈…」

「そりゃあ、一様、Aクラスのリーダーが最後まで残ってるって聞いたんで、ほら…天道とフィナもいるぜ」


訓練場の入り口付近に目線を合わせると、気配を消してはいるが、天道くんがいた。


「暇だったから、きただけでござる」


そしてすぐ近くにフィナもいた。

珍しく、ここに全員集合したのだ。


「なんのようですか?あなた達が集まるなんて、まさか、頭でも打ちましたか?」

「ひどいですね、麻那、私たちはこう見えても仲間、想いなんですよ」


彼らは平気で麻那の前に立っているが麻那は気づいていない。

今、麻那からはとてつもないほど覇気を発していた。

それも今まで以上に…そんな姿に見惚れ、そして恐れていたなんて、絶対に言えない。


「ふん、くだらない、もうすぐ訓練所は閉まります、早めにお帰りを…」

「連れねぇな〜〜麻那、俺たちは仲間だぜ、もう少し優しくしてくれもいいだろう?」

「まともでない人たちに優しくする必要がありますか?訓練もせずに過ごしているあなたに言葉を交わす価値もない」

「わぉ、ひでぇな、だが俺は負けねぇ、そして麻那、お前にもだ」

「だからなんですか?現状、私はあなた達よりも上です、そして鍛錬も訓練もしないあなた達に負けるはずがない、さっさと失せなさい、あ、そうだ…明日は本番です、念の為、言っておきますが、負けは許されません、私たちはAクラス、誰よりも優れた者なのですから」

「はいはい…じゃあお暇させてもらうよ」


4人は素直に訓練場から退出した。


「今日は珍しく、素直だった…」


少しを違和感を感じたが、時間も迫っている以上、帰宅の準備を始めた。



退出した4人は息を呑んでいた。

あの場の空気を感じれば、誰でも息を呑む。

茶化しにきたはずなのに、訓練場に入ってみれば、麻那の異常なまでの集中力、あの瞬間は生きている気がしなかった。


「あれが、学年トップかぁ、今更…思い知らされたぜ」

「ええ、よくもまぁ皆さんは、足を震わせなかったわね」


あの場で麻那に勝てるイメージを持てた者がいただろうか。


「あの程度では恐怖は感じないでござるよ…ただ戦って勝てるかと言われれば、五分五分でござる」

「そうですね、私もその程度ですね…ただあれ程の覇気を纏うことができるのですから、真剣勝負となれば、さらに厳しいでしょう」


天道もフィナもかなり辛口のコメントを残す。

あの場にいる全員が麻那の覇気に飲まれたのだ。

だが、これはいい影響だった。

なぜなら、その覇気が彼らのやる気を再び燃え盛ったのだから。



クラス対抗剣術勝負・当日


クラス全員があまり使われない庭に呼び出された。

そして学園長が正面に立ち、話し始める。


「皆さん、おはよう、今回は実戦に近い形にするべく、訓練場ではなく、この大きな庭で行う。しっかりと結界を張り、医療班もいるので心配しないでほしい。今回の行事は君たち生徒にとって大きな経験になり、新たなステップを踏むことができるだろう、この約2ヶ月間の成果をしっかりと発揮してほしい、以上だ」


学園長のお話が終わり、トーナメント表が張り出される。


「最初はBクラスとか…」

「これは燃えるな〜」

「いや、蓮也が出るわけじゃないだろう」

「うぉ〜〜〜〜〜」

「勝手に燃えてるし…」


Bクラスかぁ〜〜相手は誰んだろうか、気になる。


「え〜と対戦相手は…アル・ファルカ?女の人かな?」


Bクラスって特に調べてこなかったからな、わからん。


「お〜い伯くん!!対戦相手誰だった?」

「ああ、アル・ファルカさんとらしい」

「へぇ〜誰?」

「知らんわ」

「アル・ファルカって俊敏だけなら学年トップで有名なやつじゃないか?」

「よく知ってるな、蓮也」

「結構有名だと思うけどな〜」


まぁ、今更、知ってもしょうがない。

俺は今出せる実力を精一杯出すだけだ。

こうしてクラス対抗剣術勝負が始まった。





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