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11.騎士団長

 翌朝、自然と目が覚める。

いつもと同じくらいの時間帯である。


 私はベランダに出ると朝の清々しい風が頬に触れる。


「今日も何事もないといいですね」


 こういう発言でフラグが見事に建設されてしまったことをこの時はまだ考えてもいなかった。


「昨日の続きから読もうかな」


 私は服の上から白衣を羽織った。

白衣を着ているとなんとなく落ち着くのである。


「サクラさん居ますか?」


 ライムントの声と共にドアをノックする音が響いた。


「どうぞ。入ってください」


 私はドアに向かって言った。

すると、少し息を切らしたライムントが入ってきた。

おそらく、少し走ってきたのだろう。


「すみません。こんな朝早くから」

「それは構いません。何かあったのですか?」


 急いで私の元まで来るということはそれなりに急ぎの用事であろう。


「サクラさんの話をしたらうちの騎士団長が会いたいと言っています。一緒に来てはくれませんか? 事情は団長から話します」

「分かりました。いいですよ」


 私は椅子から立ち上がる。


「ありがとうございます。こちらです」


 ライムントの後をついて行くと、王宮の中でも少し外れへと向かっているようだ。

この辺りから騎士服を身に纏った人が増え始めていた。

確か、騎士の訓練所があるのがこの辺のはずである。


「どうぞ」


 私の研究室から数十分歩いたところにある一室に私は通された。


「ありがとうございます」


 中に入ると中央付近に置かれたソファーに銀髪を肩の位置程度まで伸ばした、綺麗な顔立ちをした男性が座っていた。

一見すると女性にも見えるような中性的な顔立ちをしている。


 服装から察するにこの方が騎士団長なのだろう。

立場もあってイケメンとかもはやずるいのではないだろうか。

まず、この王宮にはイケメンしか居ないのか。


「わざわざ来てもらってすみません。どうぞ。座ってください」


 イケボだ。

言葉の端々から高貴な感じが伝わってくる。


「失礼します」


 私は騎士団長さんの対面のソファーに腰を下ろした。


「改めまして、私が第二騎士団を預かっているヨーナスと申します。どうぞよろしく」

「サクラ・オーラルです」


 私は差し出された右手を握り返して、握手を交わした。


「あなたの事はライムントから聞いていますよ。確かにお美しい」

「あ、ありがとうございます」


 一体ライムントさんは何を言っているのだろうか。


「ちょっと団長! それは言わない約束でしょ!」


 隣にいたライムントは慌てた様子で騎士団長へ言っている。


「それは失礼。サクラさんは医師資格を持ちながら回復の魔術を使う、凄腕だとか」

「なんか、ちょっと大袈裟な気もしますけどね」


 改めて凄腕とか言われると嬉しい反面、照れてしまう。


「そこで、サクラさんにお願いがあって今日は来て頂きました」

「はい、何でしょうか。私にできる事でしたらご協力します」

「感謝します。サクラさんは赤龍という龍が居る事は知っているでしょうか?」


 ヨーナス騎士団長は『赤龍』という高位魔獣の名前を口にした。

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