068 外聞が悪い事を言わないで!
本日2話目です。
それから1ヶ月後。
突然冒険者ギルドの訪問を受けた。
ボガスさんのお店で待っていたのだ。
そう言えば、すっかり忘れていた。
こっちの方が便利だったから。
冒険者ギルドに行くと部屋に通され、そこにギルドマスターが待ってた。
「いつまでも来ないから使いを出しましたよ。
困りますよ~。全然来ないから働いてないかと思ったら、商館と直接取引してるし」
「別に違法じゃないですよね? ギルドの規約違反とか? そもそも15日は待てって言ったのそっちだし」
「違法違反じゃないですけどね。ギルドとしては加入しているんだから、ギルドにも売ってもらわないと」
「転売で儲けてるんですもんね」
「外聞が悪い事を言わないで!」
いや、事実でしょ。
その代わりに登録者を守ったり預金出来るようにしてるんだろうけど。
可哀想なので仕入れ卸業者と言ってあげよう。
「で、どうしろと?」
「商館に売っている一部で良いので、コチラにも持ち込んで下さい」
「え~。戻った時に行く先が2箇所もあると面倒だなぁ」
「……判りました! ボガスと話をします!
一部を分けてもらえるようにしますので、今まで通りで結構です。
その代わり、売ったお金はギルドの口座に入れますけど、良いですか?」
「オッケ~で~す」
「お、おっけー? 了解ですね?」
「通じないのか。了解で~す」
話はまとまった。帰ろう。
「ちょ、ちょっと! 帰ろうとしないでくださいよ!」
「えっ? 話は終わったんじゃ?」
「まだですよ~。ギルドに来ている依頼は受けないんですか?」
「あ~、今の所、その予定は無いですねぇ」
「ランクが上がりませんよ?」
あったな、ギルドランク。
今となっては意味の無い物だけど。
「上げる必要あります?」
「……普通はそんな事聞きませんけどね。
高ランクだと信用度が違いますよ。Aランクなら城にも招待されるレベルです」
城? もう行ったよ。行く必要も無いしさ。
しかし新たな場所に行った時に、すぐに信用してもらえるのは便利かも。
ほら、俺、怪しい格好してるしさ。誰が怪しい格好だよ。
「ん~、じゃあ徐々に上げましょうかね」
「そうですか。では放置されてるのをやりましょうか」
「放置? 何か放置してましたっけ?」
「……本当に忘れてますね? ほら、Eランクに上がるやつですよ。
Eに上がる方法は、Fランクの依頼を2つこなしFランクを3人倒す事って説明受けたでしょ?」
おおっ! そうだった!
依頼はクリアしたので、後はFランクを3人倒す必要があったわ。
「思い出しました。それは、すぐに出来ます?」
「Fランクは結構居るので、可能だと思いますよ」
「じゃあ今やりましょう」
「判りました。このまま待っててください」
ギルドマスターが部屋を出たので、俺はいつでもサルを呼び出せるようにページを開いておく。
10分後、疲れた顔でギルドマスターが戻ってきた。
「…………貴方をDランクにする事に決定しました」
「んん? Fランクを倒してEになるって話では?」
「対戦するっていうFランクが1人も居なかったんですよ!
じゃあと思って、Eランクに声をかけても断られたし!
全員が声を揃えて『1対1でのランクテストなのに、動物を沢山出されたら勝てる訳無い』と言われましたよ!」
Fランクを3人倒すって、同時にじゃないのか。
よく考えたら当たり前か。同時に相手出来たらEじゃすまないよね。
「Fランク3人を同時でも良いですけど」
「それも言いました! それでも断られました!」
「そ、そうですか。ところで、何でDなんです?」
「今は居ませんけど、帝都所属のDランクに複数を相手に出来る人が居るんです。
その人を基準に考えたら、Dが良いかと。上がる場合はその人と対戦してもらいます」
「まぁ積極的に上がるつもりは無いんで、どうでも良いですけど。
後、Dになる為にやらなきゃいけない依頼は?」
「こないだ回収されてきた物の中にBランク試験の物もありましたので。
Bまでなら、対人試験で上がれますよ」
Bまでなら駆け上がれるのか。
ラノベによくある成り上がりだな。
自重すると言いつつ、最短で高レベルになるアレ。
俺は自重する気なんか無いので最短で高レベルになって目立っても構わないけど。
強いと周知された方が絡んでくるヤツが減ると思うし。
自重するならランクとかも自重しろよ。
「時間があればやりますよ」
「言いましたね? 聞きましたからね? 頼みますよ?」
「そんなに上げたいですか?」
「そりゃ帝都のギルドには高ランクの冒険者が居るとなれば箔が付きますからね」
ギルドの広告塔扱いか。
あれだ、CMで有名人を起用するのと同じ。
そんな会話をしつつ、身分証の更新をしてもらった。
今日からDランクの冒険者です。
明日からは1日1話に戻します。




