01 それは突然起こった出来事
「いってきまーす」
気怠げに発しながら、玄関のドアを開ける。
俺、九重有人は今の高校2年生の生活に乗り気じゃなかった。
2年生になってから自分中心で回らなければ気がすまない男がクラスをまとめる存在になってしまい、クラス内でカースト制度が出来上がってしまった。
考えに反した俺は、カースト底辺にされ、いじめを受けてきた。
両親や姉、兄も学校に抗議してくれたが、その男の父親が教育委員会の会長であることを理由に取り持ってくれなかった。
「おにいちゃーん!」
「お兄さまー!」
玄関のドアから出ると、そこにはお隣の双子の姉妹が笑顔で待っていた。
「ああ、待ってたのか。 おはよう、ナナ、ノノ」
「おはよう、お兄ちゃん♪」
「おはようございます、お兄様」
俺をお兄ちゃんと呼ぶほうは、高槻 七海。
茶色のポニーテールの元気っ子で、俺は「ナナ」と呼んでいる。
一方、お兄様と呼んだ茶色のセミロングのお淑やかそうな子は、高槻 野乃香で、愛称は「ノノ」。
この二人は前述の通り双子で、一つ年下で私立の高校に通っている。
「じゃ、早速途中まで一緒に行こうっ♪」
「あっ、七海ずるいです! なら私も」
「おいおい…」
早速二人は俺の両腕を組んで歩き始める。
この双子の姉妹は、中学2年の時に隣に引っ越してきた。
家族ぐるみで挨拶に来たときに知り合い、そのまま仲良くなった。
姉妹のほうの両親は、最大手の会社に勤めており、中高一貫の私立校に通わせられるほどの生活的に裕福だそうだ。
ただ、両親が帰ってくるのが遅いため、俺がよく二人を相手してあげていた。
俺の家族との仲も良好で、俺の悩みの相談も率先して乗ってくれた。
「お兄ちゃんは、通信学校に編入する日がくるまでは、こうして途中まで行ってはお家に帰るんだよね」
「ああ、先は長いけどな。 確か、秋ごろだったかな?」
「今は6月に入ったばかりですし、仕方ないですよ。お兄様が通っていたかつての高校からの書類も必要ですし」
俺は今通っていた高校を5月で途中退学し、秋から通信制高校に編入することになった。
私立のため、学費がかなり高いが姉妹の家族の方からも支援してくれるんだそうだ。
向こう側も俺の事情を知っているので、支援は惜しまないらしい。
それでいいのだろうか?
そんな事を考えてた矢先…。
「お兄ちゃん」
「ん?」
ふと、不安な表情をしたナナが俺に声を掛けてきた。
どうしたんだろうと聞こうとしたら…。
「空が…急に暗くなってきてる」
「え…本当だ。 今は午前8時なはずだろう?」
ナナの言葉に空を見上げた俺は、急に暗くなってきた空に驚きを隠せずにいた。
まだ午前中…、それに天気は一日中晴れのはずだ。
なんで急に暗くなってる?
そう思っていた時だった。
「お兄様、七海! 足元!!」
「な…!?」
「ええっ!?」
そして、ノノの叫びで足元を見たら、光が発生しており、しかもよく見たらそこに魔方陣のような模様が描かれていた。
その魔方陣から発する光は急速に強くなってきている。
逃げようにも魔方陣が大きすぎて、逃げ切れない。
「お兄ちゃん!!」
「くっ、これはまさかラノベでよくある現象なのか…!!」
「の、飲み込まれ…きゃあああっ!!」
こうして、俺たちは光の中に飲み込まれた。