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19 魔法の訓練

少し駆け足になってしまった…。

「さて、今日は魔法の訓練を始めようか」


アリアの別荘の3つあるうちの地下の広い一室で、俺たちは魔法の訓練を行うことになった。

講師役はアリアだ。

昨日より俺たちで面倒を見ることになった犬耳幼女のフィーネちゃんは、今はメルルに任せている。

存分に甘えてもらった分、聞き分けのいい子になったのだろう。

訓練に行くときは、訓練頑張ってと小さな手で撫でてくれた。

将来、いい子に育つように俺も頑張らないとな。


さて、話は戻り、今日は風属性の魔法で使い方や制御の仕方を教えるのだそうだ。

その後で、集中力を鍛える訓練を施すのだとか。

近接戦に関しては、アリアの弟のウィン王子こと、ウィンズフェルト・エル・ステラ第六王子に頼むことにした。


「それじゃ、まずは初級の風魔法【ウィンド】を使うから見ててね」


アリアが言うと、片手を胸の位置まで上げてると、その手が風を帯び始めた。

集中力が必要と言っていたが、この為にあるのか。


「【ウィンド】!!」


アリアが魔法名を口にした瞬間、前方にため込んだ風を解き放った。

その風は小さいながら、周囲の訓練用具を吹き飛ばした。

見た限り射程も長そうだが…どうなのだろう。


「と、まぁこんな感じだね。 この世界の魔法は詠唱が必要ない分、イメージを作るために集中力が必要になるんだよ」


「ほぇ~」


「すごいですね。 しかし、イメージですか…」


ナナは初めて見る魔法にポカンと口を開けっ放しにして立ち尽くしており、一方のノノは、イメージが魔法行使に必要という観点で少し自信なさそうにしていた。

まぁ、ノノは想像するとかイメージするとかは苦手だったしな。


「そこまで深く考えなくていいよ。 初級は『風が吹いている』光景をイメージすればいいし…」


「ノノはお堅いところがあるから、そう言ったイメージするのが苦手なんだよね」


「ちょっと、ナナ!?」


ナナに暴露されて怒るノノを尻目に、俺は先ほどアリアが言ってたように『風が吹いている』光景をイメージする。

すると、俺の周りに風が纏わりつく感覚に見舞われる。


「お、アルト君、早速できてきて…、ひゃあっ!?」


「く、くそっ、【ウィンド】!!」


突然、精神がブレたのか、風が急に強くなり制御ができなくなった。

思わず、手を前方にかざし、溜めた風を放出する。

すると、とてつもなく強い風が地下内に吹き荒れた。


「きゃあっ、ち、ちょっとお兄ちゃん!?」


「か、風が強すぎます!!」


「ナナちゃんとノノカちゃんは壁に張り付いて! 吹き飛ばされるよ!!」


今は俺の後ろにいる形になっているアリアは、より強めの魔法を使い、相殺を試みていた。

俺が暴発した風と、アリアの魔力がぶつかりなんとか消え去った。


「ふぅ、アルト君大丈夫だった?」


「ああ、ごめんみんな…。 何故か集中力が切れて…」


「高すぎる魔力が今のアルト君の弊害になってるみたいだね。 初級の【ウィンド】でもここまで強い風を吹き付ける程だから」


ここまで魔力が強かったのか、俺は…。

しかし、初級でこんなザマじゃ、これから先は大変だ。


「君はイメージの仕方はよくできてるから後は制御だね。 今のままだと中級の【ストーム】レベルに近いから、威力を抑えるためにより集中力を鍛える必要があるね」


中級レベルか…まいったな。


「とはいえ、今のアルト君はいじめによるトラウマもあるんじゃない? イメージの途中で何か雑念が混じった感じがかすかにしたから」


「ああ、多分奴に何をやっても無駄だというような横やりを入れられるイメージが突然差し込まれたかも」


「きっとそれだね。 これに関してはボク達でケアをちゃんとしていくよ。 心が安定すれば集中力も上がるし、きっとトラウマも払拭できるかもしれないし」


それを聞いて多少安堵する。

アリア達のフォローがあれば、なんとかやれそうだ。


「さて、次はナナちゃんやってみようか」


「はーい」


元気よく手を挙げてナナが同じようにイメージから入る。

そして、魔法名を叫ぶと前方に風を解き放つ。

程度は弱めだが、ある意味上出来とも言えよう。

ただ、解き放った直後の風圧なのか、ナナのスカートが捲れあがっていたのを見てしまった。

ピンクだった。


最後にノノもやったが、こっちはやはりイメージの仕方が上手くいかず、不発に終わった。

落ち込むノノに、アリアが次があると励ましていたなぁ。


トイレ休憩の後は、精神を鍛えるための訓練に入った。

なぜか、座禅だったが…。

これに関しては、俺の方が肩を叩かれる回数が多かった。

やはり、時折奴に関する雑念が影響しているのかもしれないな…。


こんな形で今日の訓練は終了した。

訓練から戻った俺たちは、甘えに来たフィーネちゃんに癒されながら夜を過ごした。


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