プロローグ5 巣へ帰ると…
もう10体位の小魔物を打破したと感覚で知った。俺は無傷のままだった事にこれは奇跡なのかとふと思い込んだ。
俺は先程の通った場所を伝い、後戻りするのであった。親父の言う通りとは違って過酷とは離れているじゃないか。何が世界は恐ろしい、だ。
そうやって引きこもってばかりでいるから自分が余計に小さな存在に見えちまうんだ。俺達は強い。強過ぎるんだ。龍だからこそ強いんだ。龍に勝る生物なんている訳がない。
今日の成果を聞いたら目を丸く皿にした顔が浮かぶだろうな。他の子供達も飛び立っていないし。
もし信じなかったら、魔物の亡骸で証拠を見せるとしよう。
巣が見えた。俺はその巣の中に飛び込もうとした。だが巣とは位置のずれた、俺の真下に意識を向けた。
薙ぎ倒された森林の跡が巣と繋がっていた。先程の樹木の薙ぎ倒された時を思い出す。巨大な物体が通ったと思わせる程、幅も広かった。
“なんだ?親父が近くで歩いてたのか?”
それなら何故親父は声かけなかったのか。というより、親父ではなく別の存在か何かが通ったという可能性が沸いた。
その通りだと認めさせたのが足跡だった。降下して深く見つめれば足の指の間に膜を張ったかのような形跡だった。水掻き。まるで両生類みたいだった。
…自慢話ができないような事態に陥るのか。まさか…その巨大な魔物がお客さんだったりして…
素晴らしい世界に転移して不幸なんて訪れる訳がないと固く信じた。だから悲劇来訪を否定し続けた。
入る時は人間と同じく、門限の挨拶を告げて俺は巣の中に潜り込んだ。
“おーい!帰ってきたぞー!”
帰りを待っている事を期待して心踊る俺だった。動物の住まないこの洞窟で何時もの変わらない沈黙が続く。だが今は異様にそれ以上の沈黙で俺は陽気が薄れた。子供達の無邪気な声がしない。
奥にでも潜んでいるのかと探ってみたか気配は無かった。親もいない。冗談はよして欲しいよ。
突如、俺の身体が何かにぶつかったのを感じた。ガツッとした岩ではない。プヨッとした肉のような物。
上からの穴から微かな光でこの物体が黒色に覆われていた。ベニーベリーベアよりも巨大。親と同じ位だった。龍とは別物だった事に俺は麻痺してしまった。
しかもバリッバリッと噛み鳴らす音がこの物体の奥から響く。
そして蛇のような物体が俺の前に振るう。避けるよう動いた俺は思わずギャッ!と声を上げてしまった。
その物体はどうやら生き物だと明確させる事にぐるりとその顔を向いて表にした。
“な…なんだこれは…!”
不気味な姿…というよりも創作に出てくる魔物の形のオーソドックスとは筋の外れた姿をしていた。まるで目が無いと思いきや小さく、巨大な歯を晒した口。そしてセクシーな唇。
手には水掻きがある。思った通り両生類だ。これも魔物だろうか。俺は分析スキルで詳細を知ろうとしたが…
“分析できません。中級~上級分析解除する必要があります”
はぁ…そうなのか…しかし…この魔物は先程とは桁違いらしいな。大きさも先程の雑魚とは違う。そう思わせる証拠が…この魔物の前に崩れ落ちていた。母親。子供達。ピクリと動かない、噛み砕かれた醜態となった姿が俺の目に映った。
俺は…とうとう“悲劇”に襲われる…のか…
主人公が窓から見ていた引きこもりさんをいつか魔物にしようかと考えている。いや…魔物化というべきかな