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砂漠の果て -i'M LoOkInG foR-  作者: Min
第1章 旅の話をしましょう
6/50

国…それは2つ結びと歓喜 V

「おはよう、サマヨイ!よく眠れた?」


 外に出ると、トワさんは洗濯物をしていた。シャカシャカと衣の擦れる音がする。


「おはようございます。おかげさまでぐっすり眠れました 」


「そりゃよかった!」


「こっちは快適な眠りを邪魔された挙句、いじわるされたけどね 」


「悪かったよ。ちょっとやりすぎたね 」


「ふんだ!」


 私たちのやりとりを見て、トワさんとチカさんは小さく笑った。


「そういえばサマヨイ、その服、昨日と同じやつじゃない?それに腰に巻いている上着も、砂っぽいわね…」


「あ、はい。毎日着てるものですから、洗う暇がなくって 」


 すると、トワさんは少しムッとした顔をした。


「脱いで 」


「え 、」


「洗うから貸して。ほら、上着も 」


「いや、でも…」


「早く」


「……」


 結果、私は上半身はノンスリーブの姿となった。長袖を脱いだため、袖口から下がこんがり日焼けしているのがわかった。

 ズボンだけは、許してくれた。ゴシゴシと強くこする音がする。


「まっすごい砂色!しばらく洗っていなかったのね。上の服だけでも洗って正解だったわ。この上着も着てないからって洗わないのはダメよ 」


「す、すみません 」


 私はトワさんが洗ってくださっている間に他の洗濯物を彼女とチカさんと干していた。


「そこをとめて、落ちないようにするのです。そう、お上手ですよ 」


「え、そお? ねえ、サマヨイ〜、洗濯の神になったかもしんない〜」


 彼女は誇らしげに自分を指差して言った。

 申し訳ないが、神にはならないと思う。


「よしっ!綺麗になったわ!」


 いつのまにかトワさんは、私の服2つを洗い終え、干していた。見事に砂と泥と汗がおちて、白に近くなった服が、綺麗に干してあった。


「ありがとうございます。助かりました 」


「いいのよ。今日は一段と暑くなりそうだから、あなたが風邪をひく心配もないし、服もすぐ乾きそうだったから。ちょうどよかったのよ 」


「そうですか 」


 こんなにも、いろいろなことをしていただいているのに私の頭の中はグルグルと渦巻いていた。

 いつかの国から出られるのだろうか。


 怪しまれないうちに、また目のことを聞かれないようにしたいし…


 早くこの国を出て、旅の続きを再開して、1人になりたいと、思ってしまう。


「あ、そうだ、サマヨイ!……ん?サマヨイ?」


 バレてはならない。バレてほしくない。


「サマヨイってば!!」


「あ、…はい 」


 考え事をしすぎてしまった。


「どうしたの?ぼーっとしちゃって。どのか具合悪いの?」


「あ、いえ、大丈夫です。すみません、無視してしまいましたか…」


「ううん、いいのよ。それより!」


 トワさんはぱんっと手を一回叩くと、急にズイッと、よってくる。

 思わず、少しのけぞってしまう。


「サマヨイ、今からこの国を見て回らない?」


「えっ 」


 珍しく彼女が焦った顔をしたのが横目で見えた。


「それは、どういう…」


「洗濯物、特にあのコート。厚いから乾くのに時間かかるでしょう? だから、ね? 行きましょうよ! 見せたいの、私の自慢の故国を。」


 これは、どうすれば良いのか…少し困って彼女を横目で見る。


 彼女は私の目をじっと見る。


 いつになく真剣で、まるで脅すかのような目で。


 うん…分かってるよ。


「トワさん、すみません。お気持ちはうれ__」


「時間がないわ! 行きましょう!! チカ!!」


「分かっております!」


 チカさんが肩に乗ると、トワさんは私の手を引いて走り始める。その横をトワさんのオオカミもついて走っている。トワさんの手は私の手を痛いくらいに握った。


 まるで、私たちが逃げるのを阻止するように…。


 ふと、彼女が肩に飛び乗って着た。しかし何も言わず、黙って前を走るトワさんたちを見つめた。


 心なしか、表情が険しく見える。


 何をそんなに…

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