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砂漠の果て -i'M LoOkInG foR-  作者: Min
第1章 旅の話をしましょう
50/50

旅・・それは歌 驚きの連続 光り輝く感情 X

 斜め向かいの三つ目の部屋。私は今までと同じようにドアをノックをした。


コンコンコンッ

ガチャッ!


「来たーーーーーーーーーー!!」


「わあっ!」

「うえぇっ!はやぁーー!!」


 ノックした瞬間・・なんて速さだ。

 出てきたのはカラさんだった。


「ごめんごめん、びっくりしたね。やっと来たー!と思って。入って入って」

 カラさんはドアを大きく開き、背中を押してくれた。

 

 中に入ると、同じ部屋の大きさなのに雰囲気が違っていた。

 なんというか、女の子らしい部屋だった。


 鳥の模様が描かれた、水色の布で統一された部屋であり、家具は木のものが多かった。ドアから入ってすぐ右手にはドラムがおいてあり、カラさんがバチを握っているのを見ると、練習中だったらしい。


「すみません、練習中でしたか?」


「あ~いいのいいの!特に集中してるってわけでもなかったから。ホラ、そこ座って。サマヨイちゃん、朝ごはんも昼ごはんも食べてないでしょ」


 そういえばそうだった。でもティブさんの部屋でお茶いただいたし・・・。


「お、お気になさらず、おなかはすいていないので、大じょ__」


グ~~~~~


「あ・・・」


 彼女が茶化すようにひじで頬をつつく。ぬいぐるみなので私には全くダメージがない。

 恥ずかしくなってうつむくと、カラさんがのぞき込んできた。


「おなか、すいてるんでしょ?」

 こんな優し気な笑顔を見せられたら、私はもううなずくしかなった。


「はい・・・」


「あっははっ!いいんだよ。私も小腹がすいてきたとこだったから」


「すみません・・・」


「そんな申し訳なさそうな顔しないの!ここでは、『すみません』とか『ごめん』とか禁止

ネ!」


「えt!?」

 予想外の返答に思わず大きな声を出した。とっさに口をふさぐ。隣の部屋まできこてしまう・・・。


「あっははっ!何照れてんの?大丈夫よ!私だって人一倍声でかいもん。気にしなーい、気にしなーい!」


 そういいながらカラさんは片手にお皿、片手にカップを持って戻ってきた。床に正座した私の前のテーブルに置かれる。


「「うわぁ」」


 目の前に置かれたものを見て、彼女と二人、声が漏れる。

 なんというか・・・光って見える。


「普通のトーストに、なんのへんてつもないミルクっていう組み合わせだけど、腹の足しにはなると思う!召し上がれ!私もたーべよっ、はむっ」


 これが、普通だって?出してもらえるだけでありがたいというのに・・・。


「いっ・・・いただきます!」

 私はカラさんと同じようにかぶりつく。サクッといい音がした。バターの香りが鼻をくすぐった。


「「んんっ!おいしい!!」」


 半分ちぎって彼女にあげた。そしてサクサクと音を立てながら夢中になって食べた。


「そんなにおいしそうに食べてくれると、私もうれしいよ。ふふふ、いい食べっぷり」

 あっという間に私たちは平らげた。


「「ごちそうさまでした!」」


「あいよ、お粗末さまでした」

 カラさんはお盆を置きに行くと、切り出した。


「そんで?」

 ドスンとカラさんは目の前に座った。


「ここまでに部屋行った?寝室に近い順で言うと、フールとティブかな?」


「はい」


「そっか。あの二人、なかなかに珍奇だったでしょ」


「そんなことはっ・・・うーーん」

 なかったこともないような・・・フールさんは元気いっぱいだし、ティブさんもティブさんで、不思議な感じだった。でも・・・ 


「・・・お二人とも、重たいものを抱えているといいますか・・・その・・・」


「二人の話を聞いたんだね」


「無理やり、引っ張り出すように言わせてしまった・・・というほうが、正しいかもしれません」

 そう、これが私の悪いところ。興味本位でいくつかの質問を投げかけているうちに、そのヒトの真意に、いつのまにか、入り込んでいる。人の中身を切り開いてまで、どうしても知りたいとでもいうように。


「そんな残念そうな顔しないの。二人が話してくれたこと、どちらも旅に出るきっかけだったり、音楽のことだったでしょ?」


「はい・・・」


「そんな大切な話、普通なら言いたくないもののはずなんだよ?胸の奥にしまって、どうしても、どうしても不安な時、本当に信頼を置ける人じゃないと打ち明けられない。

 国にサマヨイちゃんは、私たちの歳くらいになるまで、あと何年もある。楽しいこともあれば、辛いことだってある。その波が大波になる目前に、今、サマヨイちゃんはいるんだよ。

 きっと助けになりたくて、、自分の身の上話をしたんだよ。ヒトはどうしても我慢できなくなったり、助けたいと思ったりすると、そういう話をしたくなるんだと思うな」


「そうなんですか?」

 カラさんはうなずく。


 「そして、サマヨイちゃんに話したことで、二人は次の一歩を手に入れた。大切な、これから先に進むための第一歩さ」


「それって・・・」

 カラさんは、ニッと笑った。


「サマヨイちゃんも、二人を助けたってわけさ」

 うれしかった。お二人の役に立てたかもしれない。役に立てていなかったとしても、話すことで、気持ちが楽になっていたのなら・・・だけれど・・・


「お?まだ納得してないって顔じゃないか。言ってみ言ってみ?」

 私は思い切って話す。


「カラさんは、どうしても、どうしても不安な時、自分にとって大切な話をするのだとおっしゃいました。ですが、私の場合、何気なく無意識にはなった言葉が、相手の過去を思い起こすきっかけになったのでっはないかと・・・」


「それは、心配しすぎじゃない?」


「でも、私思うんです。悲しいことや辛いことを相手から聞き出そうとするほど、その相手は苦しくなってしまう。私が良かれと思ってとった行動が、相手を不快にさせる原因になる」


 前の国にいた、コウさんがそうだった。私なら助けられるとうぬぼれたがゆえに、私はコウさんを傷つけ、あまつさえ彼からすべてを奪ってしまった。


 家族、仲間・・・そして希望。


「ふむふむ・・・そういうことか。・・・よしっ!!」


 真剣に私の話を聞いてくれていたカラさんは、急に立ち上がり、部屋の左奥へ移動する。そこには、太鼓がいくつも並んだ、おしゃれで立派な楽器。カラさんはドラムと呼んでいた。

 楽器の後ろに座ったカラさんは、バチを振り上げ、ドラムをたたき始める。

 思いのほか大きな音に圧倒されつつも私は感激を受けた。


 音がはじける。


 カラさんは全身で音を出しているようだ。空気が一瞬で変わった。


「サマヨイちゃんっ!!」


「?・・・はい!!」

 大きな音に負けないよう返事をする。


「いっくよーーーー!!ワン、ツー、ワンツースリーフォー!!」


 突然床から風が吹いてきた。


「うわあ!!」




 思わず目をつむる。

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