国…それは2つ結びと歓喜 IV
朝、日の出前に目が覚めた。いつもと同じ目覚め方をしたということに少しだけ安心する。
起き上がると、彼女は上下逆さまに寝ていた。相変わらずの寝相の悪さだ。
気持ちよさそうに眠っているのも気にせず、私は彼女を起こそうと揺する。
「んん、にゃ〜まだ寝るのぉ〜にゃう〜ん 」
動物が違う気がするがまあいい。
「朝だよ。ねぼすけ 」
揺すってもウダウダ言うので、彼女の頬を引っ張る。グニンと広がる。
起きない。
鼻をつまむ。
起きない。
極め付けは…
私は彼女の長い耳をゆるく結ぼうとする。
起きない…
固結びにでもしてやろうかと思っていると、
「うおるらぁーーーーー!!」
「あだっ」
「うるさいなぁ!まだ太陽出てないでしょーが!!ったく、これだから__ムギュ」
飛び蹴りを顔面にされた仕返しだ。
口癖を言いつつもベッドに寝転がりくつろぎ出したので私は彼女と同じ大きさくらいのクッションを彼女に押し付けた。
意外と力が強いので、負けじと抑え込む。彼女ははみ出た手足をバタつかせ、こもった声で言う。
「ちょ、タンマ。サマヨイ、マジで。…ごめん、起きる。起きるから、ね?」
仕方がない。起きるのならと、私はクッションを外した。大の字に寝転がる彼女が出てきた。
「ふぅ〜死ぬかと思ったわー。ま、死ぬわけねぇけどっ」
そう言って彼女は笑う。
「準備するよ、毛布、畳んで置いてくれないかい 」
さっき彼女は起きると言ったはずだ。
「はーーーーい!」
大きな返事をされたが、彼女は毛布をつかみ、足で跳ね上げる。ふわっと跳ね上がった毛布は、再び彼女を覆う。
「起きるんじゃなかったのかい」
「うん、起きるよ」
そう言いつつ彼女は毛布の中でもぞもぞするだけだった。
…やれやれ。
「えっ?…うわっちょっは?!何すんのサマヨイ!…えっあれっ?…あ"!そういうことか!!
ちょっと、出してよ!!」
私は毛布に彼女をくるみ、そのまま袋のように結んだ。
彼女を毛布の中から出してあげたのは顔を洗って、服を着替えて、準備が整い、太陽が昇った後だった。