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砂漠の果て -i'M LoOkInG foR-  作者: Min
第1章 旅の話をしましょう
49/50

旅・・それは歌 驚きの連続 光り輝く感情 VIV

「おいてきたぁ?どこへ?」

 彼女が尋ねた。


「砂漠・・かな」


 小さくつぶやいたティブさんはグルンと片手を回した。すると、元の場所にピアノが戻ってきていた。


「砂漠?国の中じゃないの?それじゃあ見つけるのは大変だね~」


「ちょっと、やめな!」

 私は彼女を軽くたたいた。


「イッテ、いーじゃんかもぉ~」

 ぶつぶつと小言を言いつつも、彼女は素直に静かになってくれた。


「すみませんっ・・!彼女・・知りたがりなだけで・・その、悪気があって言ったわけじゃ・・」


「あっははっ大丈夫だよ。分かってるから。それに、本当のことだから、否定するつもりはない」

 そう言うとティブさんはコップを手に取り、ハンモックに腰を下ろした。そして一口飲むと、フゥっと息をはいた。


「仕方のないことだったんだ。自然の脅威には、誰も勝てないさ」


「自然の脅威・・」


 砂漠・・砂嵐だろうか。


「僕の住んでいた国は、もともとは砂漠じゃなかった。森もあって、海もあって。・・きれいだったよ。潮風が窓から入ってきて。ピアノの音がよく響く部屋。それが僕の部屋だった。今考えると、ピアノにとってはあまり良くない部屋だったのかもしれないけど」


 話を進めていくティブさん。その瞳が少し陰るのが分かった。


「自然の脅威っていうのは、一言で言うと地震。・・大地震だったよ」


「大地震・・」


「あちこちで火事が起きて、さらには海から大きな波が押し寄せた。人も、国も全部それに飲み込まれた


 ・・僕の相棒も。


 全部流されたんだ。さらには、安全な地で移動するために僕らは国を捨てた。そのまま、さよならも言わず、おいてきてしまった」


 辛い話をさせてしまった。苦しそうに笑った顔。ティブさんはぼうしとめがねをはずした。茶色い髪がひときわ目立つ。下を向いて落ちてきた髪で表情が見えなかった。

・・泣いているのかな?


 見てはいけないものを見ている気がして、私はうつむいた。辛いことを思い出させてしまった。


「そんな悲しい顔しないでくれよ」

 やさしく言葉がふりかかる。


「そんなんじゃ、残りの人たちに話を聞くとき、もたないよ?」


「・・・・」

 何も言えなかった。いや、何も言わなくてよかったのか・・?


「ミニマムの持つ楽器は、ラヴ以外、みんなイメージなんだ。一度は、音楽を続けることを望まないのに諦めようとしていた人たちが、ラヴのもとへ集まった。寄せ集めと言ったらそれまでだけど、他の音楽隊とちがうのは、こめる・・思い、なのかな」


 込める・・思い。どんな思いなのだろう。言葉なら歌うことでも思いは伝わるってことなのか。


「ねえね、それってつまりは音楽を続ける目的ってわけでしょ?さっきのおバカさんは教えてくれなかったから、教えてくんない?」

 彼女がそう言うと、ティブさんは小さく笑った。


「そーいうことね」

 その声は小さくて、私には聞こえなかった。


「え?」


「申し訳ないけど、僕の口からも言えないな。これはラヴが言うべきだから」

 ティブさんは笑っていながらもきっぱりと言った。

 すると彼女が叫んだ。


「え゛ええええええええええええ(オマエもかよ)」

 ティブさんはいたずらっぽく微笑んだ。私もつられて笑いが出てきた。





「君は、大切なものを手放しちゃダメだよ」




 開いた窓から強い風がカーテンを大きくひらめかせた。




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