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砂漠の果て -i'M LoOkInG foR-  作者: Min
第1章 旅の話をしましょう
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旅…それは歌 驚きの連続 光輝く感情 VI

「はっ……!」


 目を覚ます。夢を見ていたんだ。なんだか、大切なことで、知らなくちゃいけない……そんな夢だったはず。

 だが、一つ瞬きをするわずかな時間でそれは一つも残らず消えていた。


「おはよ。寝坊助さん」


 彼女の声がした。珍しい…私よりも起きるのが早い。フカフカの寝床は気持ち良くて、本当に寝坊してしまったらしい。


 彼女を探すと、彼女は窓の前に座って外を見ていた。外は青空で、薄暗いこの部屋に光が差し込んでいる。

 彼女の大きな影がうつっている。


「おはよう、どうしたんだい?起きるのが私より早いなんてらしくないね」


「失敬なっアタシだって起きる時は起きるんだよ」


「そっか」


 いつもと同じに見えて、いつもと同じじゃない。ほんの少しだけど、彼女は別人に見える。

 何かあったのかと、気になり始める。


「それよりサマヨイ」


「ん?」


「外」


「外?」


 私は少し高い位置にある窓を背伸びをしてのぞく。


「えっ……えぇ?!」


 外は一面真っ白だった。だがところどころにくぼみが見える。実際に降りてみないことには様子がわからないだろう。


「雪……じゃないよね?」


「安心しなよ、ちゃんと砂漠だよ。白砂漠」


「えっ……砂漠、なの?シロサバク……砂が白いってことか……」


 初めて見た。すごい……。


「まっそんなとこだね」


 なんでそんな冷静でいられるのだろう。一晩移動しただけでこんなにも景色は変わってしまうものなのか。


「それより、みんなは?」


 そう聞くと、彼女は怪訝そうに顔を歪めた。


「はぁ?何言ってんのさ。さっきも言ったけど、サマヨイはお寝坊なんだよ!一度、カラカラさん?が呼びに来たけど、起きなかったんだよ?サマヨイ」


「え゛……てことは今は……」


「昼」


 完璧な寝坊だ。カラさんの呼びかけも無視して……あぁ、朝ごはんもすっぽかしてる。感じの悪いことをしてしまった。


「みんな、どこへ行ったの?」


「あ、そうそう。カラカラさんが言ってたけど、みんな自分の部屋にいるから、尋ねるといいよ、だってさ。通路んとこ。操縦室行くまでにドアあったじゃん?」


「そうだった!寝坊しちゃったし、早く行かないと!」


 彼女が素早く肩に飛び乗った。


 フワフワで不安定なベッドを不自然に跳ねつつドアまで急ぐ。そしてドアノブを探して外に出た。


 一面真っ白で薄暗かった部屋から出ると、通路の木の肌色がとても明るく見えた。


 通路には飛行船のエンジン音が響いているだけだった。

 さて、困った……。どの部屋も同じドア。どこに誰がいるのかすらわからない。


「とりあえず1番近いそこのドア入れば?」


「え、っと……本当に入ってもいいのかな……?」


 ドアを目の前にしてとても緊張してきた。誰の部屋なんだろう。どんな話をすればいい?

 朝ごはんすっぽかしたこと、怒っているかな……?


 ダメだ、心配し始めたらキリがない。

 私は思い切ってノックする方の手をあげる。軽く叩くだけ。軽く叩くだけ。


 でも。


「サマヨイ?」


 人の部屋に尋ねるのってこんなに緊張するものだっけ??


 同じ問答の繰り返しで躊躇していると、彼女がほっぺを引っ張った。


「いてぁいんりゃけりょ(いたいんだけど)」


「時間のムダだから」


 彼女が引っ張るのをやめた。まだヒリヒリしている。


「痛いなぁ、そんなに急かさないでよ」


 いつもの口喧嘩になるかと思いきや、彼女は顔すらこちらに向けなかった。

 らしくない、真剣な表情で……どことなく焦っているような……。


「ホラ、寝坊したんだから」


「うっうん」


 私は半ば勢いでドアをノックした。


 だが返事がない。再びノックをするが返事がない。寝ているのだろうか。


「寝ちゃってるのかな。他の部屋に先に行った方がいいかもしれない」


 そう言うと、彼女が鋭く言った。


「待って!……やっぱり聞こえる。中にいるよ。楽器の音が爆音すぎて聞こえないんじゃない?」


「楽器……」


 と言うことは、ラヴさんではない。


「入ってもいいかな……?」


 申し訳ないと思いつつ、ドアを開けると、鍵は開いていた。

 最初に見えたのは後ろ姿。そしてシンプルな色合いのインテリア。家具は一色単位が多く、派手じゃない分、あらゆるものが壁に貼ってある。何かの記事、大きな地図など様々だ。

 明らかに音楽と関係ない気もするけど。


 フールさんは私たちに背を向けて何かを一心不乱にチャカチャカと鳴らしている。


 斜め上に伸びた楽器の一部。革でできた肩紐。控えめに鳴っている弦の音。


 フールさんは私たちが入ったことに全然気づいていない。

 ブーンブーンと震える音。慣れた手つき。


 すごいなぁ、と思った。


 それはともかく、部屋には入れたものの完全に、全く、気づかれていない。


 どうしよう……邪魔したくないし……。


 結局どうしたらいいかわからず、一区切りつくまで見ておくことにした。


 耳栓をしているわけでもなさそうだし、呼んでみたら気づくかもしれないけど……。


 私はフールさんのいるところから少し離れた壁の方へ下がった。そこは窓があり、白砂漠が広がっているのが見える。


 空を飛んでいることには慣れたけど、今度はちゃんと地面に足がつくのかが心配になってきた。


 私は視線をフールさんに戻した。数分たった今も、フールさんは私たちに気づかない。


 ブーンブーンという弦の音。リズムを取るように何度も頷くように頭を振っている。前髪がぴょこぴょことはねている。


 ふと、フールさんがこっち側を向いた。だが気づかないまま演奏を続けている。


 私は思わずその姿に見惚れてしまった。かっこいいと思った。

 昨日のような明るくて元気いっぱいのイメージから一転して……なんていうか……。


 この人は、立派な大人なんだな、


 とつい見入ってしまった。


 その時、


「うおぉ!えぇ〜?!」

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