旅…それは歌 驚きの連続 光り輝く感情 II
「「ええーーーーーーー!!!」」
「おうおう、どんな子かと思えば、めっちゃ元気いいじゃん!」
「こらこら、そんなすぐに詰め寄らない」
「女の子だぁ〜!うれしぃ〜!」
「肩にぬいぐるみ乗っけてるぞ!」
あの…いっぺんに喋られても…理解できないです…。
頭の中がぐるぐると回っている。
なんとか質問をした。
「あの…ここって…?」
急に連れてこられて、ひこうせん?だったかな…
不思議な名前の乗り物…
ラヴさんは答える。
「ここは僕らの飛行船!これで空を飛んで、旅をしているのさ!」
この人たちも旅人…空を飛んで…って
「「空?!」」
彼女と声が揃う。
「飛行船を知らないのかもよ」
「あ、そゆこと?」
1番背の高い人男の人がラヴさんに言う。どこかおちゃらけた雰囲気のある方だ。
少しクルッとしたこげ茶色の髪をしている。紫のズボン、灰色のシャツに黄土色のジャケットを着ていた。
「窓から見てみる?」
「え゛…」
高いところに出たことがないので不安になる。
思えば、なんだか地面がふわふわしているような…
私たちは比較的広い部屋から出る。そして、まっすぐに伸びた一本道を歩く。
壁にはドアが両側で合わせて1、2、3、4、5…5つあった。
そして1番奥の正面のドアをラヴさんは開けた。
「ここは操縦室。窓がいっぱいあるだろう?」
私は一歩一歩ゆっくりと歩を進めた。
目の前に広がっているのは真っ青な空と真っ白い雲。
なぜだろう…ついさっきまで砂漠にいたのに…
夢を見ているみたい…
「夢じゃないよっ」
「えっ!」
思ってることが…バレてた…?!
話しかけてきたのは5人の中で唯一の女の人だった。肩にかかるくらいの真っ黒い髪に丈の長いカーキ色のスカートをみにつけ、胸につけた緑色のブローチがキラリと光った。
「ふふっさっきから驚いてばっかり!いろんなことが新鮮なのね。お名前、聞いてもいい?」
「私は…」
と言いかけて、そういえばと思って待っていると、慌てたように彼女が喋る。
「こっこの子はサマヨイっ!バカなやつだけど、よろしくしてやってよ!」
バカなやつって‥‥一言多いんだ、いつも。
それと、自分の名前はやっぱり自分で言いたい気もする。
「サマヨイちゃんか‥‥ふむふむ‥‥君たちはどこまでも旅ができるし、どこまでも旅ができないんだったねっ」
「「????」」
どういうことだろう‥‥
「サマヨイちゃんは、空好き?」
唐突に聞かれた。
「空、ですか?…えと…嫌いではない、です」
女の人はニッと笑うと
「よっと」
両手で何かを回転させるような振りをする。すると、手の間に肩幅より少し短いくらいの日本の木の棒が現れた。
パシッとそれを掴んだ女の人は片手に一本ずつ持ち、それぞれグルンと回した。
キラキラと小さな星くずが舞っている。
思わず見惚れる。
女の人は棒を扱い慣れているかのように華麗に回している。
ふと、女の人がウインクをした。少し、恥ずかしくなった。
「これはバチって言って、先端の細く丸くなってるところで太鼓をたたくの!」
「太鼓…ですか?」
「まあ、太鼓全般のことをドラムって言うんだけど…まあいいや!
そう、私はドラマーなの!
とはいいつつも、このバチは私のイメージで作り出したもので、本物は私の部屋にあるんだけどネっ」
「まほう…ですか!」
「あっはは!ちがうよ、イメージ!
人はイメージをする事でたくさんのことを生み出せる生き物なんだ。イメージさえあれば、案外なんでもできるのよっ」
「イメージ…」
「それじゃあいってみよっかぁ!」
「え?」
女の人はバチという木の棒をクロスにして構え、掛け声とともに二本を互いに叩きあわせる。
カンカンと、軽快な音が響く。
「One!two! One two three four!!」
そして、バット手を広げた。その途端、私の周りから、壁、床、天井…外を隔てているものが全て消えた。もちろん360度空である。
「うわぁっうっ…浮いてるよサマヨイィィィィィ!!いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「たっ…高い…っ!」
逃げ出したくても逃げ出せず固まっている私に、女の人は手を回した。
「大丈夫!外との隔てを一時的に取り去ってるだけ。サマヨイちゃんが踏んでいる地面は見えないだけで、何も変わっていないんだよ」
辺りを見回す。少しずつ、少しずつ歩く。上、下、左、右、全部空。
青く、夕日で赤みがかかった世界…白い、ふわふわとした雲…空の中に私は浮いている。
いつのまにか恐怖よりも興奮の方が勝っていた。
いつかの私が憧れた空に、私はいる。
正面で風を感じる。気持ちいい…
私は、おいで、をするように両手を広げ、めいいっぱい伸びをした。
そして思わず言った。
「素敵なところですね!!」
女の人は少し驚いたようだった。だが、すぐ笑顔に戻る。
「でしょっ!自分の部屋でもたまにするんだ〜
なんだか空に包まれてるって感じがしてあったかいんだぁ〜!」
「それ、すごくわかります!!」
「えっ?」
「あっ……」
少し大きな声を出しすぎた。すぐに手で口を押さえる。
ふと、女の人とバッチリ目が合う。
「「プッ…!」」
2人して同時に吹き出した。
「「あはははははっ!!」」
私よりも年上に見えるけれど、無邪気さを持つ、可愛い方だなぁと思った。
「私は、カラっていうの!改めて、よろしくねっサマヨイちゃん!!」
「はいっ!よろしくお願いします!カラさん!」
クククッとまたお互い笑いがこみ上げる。
とても、楽しい……!!




