#3 国…ソレハ穴掘リト慈悲ノナイ箱 I
まずい、これは相当まずい。
あたしは焦っていた。
✖️✖️✖️が " ココロ "を完全に取り戻してしまう。
それだけは絶対に避けなければならない。
感情……それは世の中に存在する生き物すべてが持っているもの。
……面倒臭いなぁ、なんとかしないと……
焦っても何にもならない。あたしは "いつもの手"
を使ってしまう。
歩くサマヨイの肩の上でいきなり切り出してしまう。
「昔々、あるところに、一人の少女が__」
「またその話かい?」
サマヨイはそう言って苦笑いをしてくる。
あたしは不安が悟られないよう、顔に出ないようにするのに必死になった。
今まで、遮られたことなんてなかったのに……
そういえば、最近訪れる国は変だ。
今まで国の中にはぬいぐるみしか転がってなかったし、砂をかぶって廃れているところしかなかったのに……
" イキノコリ "なんて、いるはずないのに……
なぜだ、なんでだ
焦りは増すばかりだった。
☆
「本当にこの辺は何にもないんだねぇ」
彼女はのんきに言う。
「そろそろ次の国が見えるよって、言ったよね?」
私は立ち止まって改めて彼女に問う。
「私には奥の方にいくつも砂山があるようにしか見えないんですけど……」
「ん〜サマヨイの目は、節穴なんじゃないかな?」
「今、なんて言った?」
少しアタマにきた私はニッコリと彼女に笑いかけた。
「あっはは〜何もぉ〜(やっべ)」
いつも通り全く悪びれる様子のない彼女に私はいつも通りため息をつく。
もう決まったことの繰り返しだった。話がまともに成立するのは、一体1日に何回あるのだろうか
そんなことを考えていると、なんだか、地鳴りのような音が聞こえた。それはどんどん近づいてくるように思える。
「ん?なんか音がしない?」
嫌な予感がして後ろを向くと、自分が青ざめるのがわかった。
「砂嵐だ!」
「何あれデッカ!うわぁ!ちょっサマヨイ、早く走って!!」
「走ってもすぐ追いつかれる、ゴーグルつけれる!?」
「サマヨイのカバン中!」
仕方ないっ!
「うわぁ!」
私は肩の彼女をひっ掴みカバンに押し込む。
スカーフとゴーグルを一瞬でつけ、後ろを向いた途端砂の中に巻き込まれた。
反射的にカバンをぐっと抱え込む。
「うわっ」
吹っ飛ばされた場所でひたすら耐える。
上から大量の砂が落ちてくるみたいだ。
顔全体が隠すことができてよかったと心から思う。強烈な風が吹いている。
彼女が何か叫んだように思われたが、全くわからない。
カバンを離すまいとしっかり抱える。膝を立て、なんとか立とうと試みるが何度も煽られ、しゃがんで踏ん張る態勢となる。
いつまで続くのだろうか。体内に砂が入り込むことはないと思うが、同時に息もしづらい。
どうすればいいのか彼女に聞くこともできず、長時間このままでは困る。
同じ心配を頭の中でどうしようもなく繰り返していると、心配をよそに、砂嵐が一瞬で止んでしまった。
あたりの時が止まったのかと思った。




