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砂漠の果て -i'M LoOkInG foR-  作者: Min
第1章 旅の話をしましょう
25/50

国…それは演説 「憤怒」より XIV

「いやだぁー!!いやだぁーー!!!」


 少女は離れようとしなかった。

 すると、少年が無理矢理少女を母親から引き剥がす。

 少年はあばれる少女を抑え、歯を食いしばり、泣きながら叫んだ。


「母さん!!…僕は、必ず…必ずっ!父さんみたいな、立派な政治家になるから!…絶対にっこんな戦争させないから!…くっ…だから…ひくっ…ゼッタイに帰ってきて!!父さんと一緒に!!また4人で暮らすんだぁーーーー!!!!!」


 なぜ、家族は離れなきゃいけないのか。

 なぜ、家族の誰かが欠けてしまうのか。


 戦争はなぜ、起こってしまうのか。


 よく分からない。


 母親は2人の子供をきつく抱きしめる。


「しっかり生きてッ…!!ロト…ハナエ…!!

 私の可愛い子供たち…」


 母親はそう告げて、建物の外へと駆けて行く。


「母さ!!母さん!!いやだぁーーーー!!!」


「ダメだよ、ハナエ!!」


 少年は少女をきつく抱きしめる。


「兄ちゃんが、兄ちゃんが守ってやるから!そしたら母さんと父さんとまた4人で暮らせるんだよ!だから、なっ?」


 少女は少年の顔を見上げる。


「お兄ちゃん、ひくっ…母さんとまた一緒に居られるの?」


「ああっ!もちろんさ!!だから俺たちは生きなきゃ、な⁈」


「うんっ…ふっ…うえぇぇぇぇん!!」


 再び泣き出す少女。

 私は、この2人に、何かできるだろうか。

 年端もいかないこの2人にはあまりにも壮絶な現実。

 本当は経験しなくていいはずなのに。



 その時だった。


「あんれぇ〜子供がいるぅ〜!おいっ!この辺まだ残ってるぞぉ!!」


 私は息を呑んだ。

 何もできず黙っていると、1人の大柄な男が入ってくる。鎧は身につけていない。だが、背が高く、筋肉質で、味方ではないことは明らかだった。


 そのヒトは2人に近づく。私はまだ気づかれていない。


 少年は少女を庇い、立ちはだかった。


「妹には手を出すな!!」


 するとそのヒトは下品な笑い方をした。そして少年を殴り飛ばした。瓦礫にぶつかる大きな音が響く。


「お兄ちゃん!!」


 少女はすぐに駆け寄った。


「逃げろ、ハナエ…」

「やだ!」


 再びそのヒトは下品な笑い方で笑う。

 うるさい…汚い…


「オマエら仲いいんだなぁ〜うんうん、きょうだい仲いいのは大切なことだよなぁ。

 あ、もしかしてさぁ〜

 おーい!!さっきのもってこいよぉ〜!!」


 仲間に呼びかけたのかそのヒトは大声で呼びかける。2人に何をする気だろうか


 早く、早く助けなきゃ…


 中に入ってきたもう1人の背の高い男は持っていた"もの"を2人の目の前に投げつける。



 ベチャッという音がした。


「ッ!!」





 とても高く、悲痛な、少女の絶叫が響いた。





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