国…それは演説 「憤怒」より V
彼女が見つけたぬいぐるみは、地面が白い石畳であるせいか、砂をかぶっていなかった。
私は改めて辺りを見回した。
白い道に、白い建物。
砂漠にあるものだとは思えないほど、整えられた綺麗な国だった。太陽の光が反射して、白色がより輝いているように見える。
建物は比較的低いものが多いが、アーチ状の入り口から入ると、大きく立ちはだかるように見え、連なる建物たちが迷路のように全て1つにつながっているかのように見える。
見ていて目が回りそうだ…
ぐるっと一周まわったところで、目線はさっきでてきた扉に戻る。気づいていなったがこっち側にもちゃんと門を守る鎧の石像が立っている。
ただ、明らかに横にずれたであろう跡がある。跡は新しく見えた。
私は一度頭の中を整理した。
つまり、入る時は石像を動かし、木の扉が開けられ、何かが入ると、自動的に閉まり、反対側が開く、ということだ。
ど真ん中に乗り物さえ入りそうな幅の広い道があるのだから、きっとここは隠し扉か何かだろう。
仕掛けが精密すぎる。
「ねえ、サマヨイ?ここからどう行くの?」
「そうだな…。とりあえずこの国で1番立派な建物を探そう。」
「理由は?」
「なんとなく」
「なんだそりゃっ!」
彼女の反応を軽く受け流しつつ、私は道を歩く。
どのくらい歩いたのだろうか。とりあえず国の中心となる建造物を目指して、かなり中まで歩いてきた。
どこを見ても、ほとんど似たような白い建物ばかりだが、中には青く鮮やかな色の装飾をしたものである。
「ぬいぐるみ…落ちてないな…」
「建物の中、入ってみれば?」
「ダメだよ、今はいなくとも人の家なんだから」
「別にいいじゃん」
「ダメ。さっきぬいぐるみ落ちてたから、この国にヒトが生きていたことは確認できたし、道に落ちていなくても、建物の中にみんないると考えれば、わざわざ覗く必要もない。
それに、私には人の家を覗く趣味なんてないから」
「えっ?!そうなのぉ??!!」
「……」
逆に聞きたいよ。いつどこで私は人の家を覗く趣味を持ったっていうんだ。
そんな話をしながら私は曲がり角を曲がった。曲がったその先には半円アーチ状の門が見えた。
太陽の光で反射して、門から先の景色が見えない。
「なんだろっあの先から妙に明るいなぁ」
「行ってみよう」
その門までゆっくり進む。
足元を見ても、ぬいぐるみは1つも落ちていない。




