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砂漠の果て -i'M LoOkInG foR-  作者: Min
第1章 旅の話をしましょう
10/50

国…それは2つ結びと歓喜 IX

「あれは何ですか!」


 パレードの熱気に負けまいと、私は少し声を大きくして、トワさんに聞いた。

 カゴを持った人たちはどんどん近づいてくる。


「あの人たちは『花贈り』っていうの!宮殿に仕えてる人たちがこのパレードでする決まりなの。

 ああやって花をもらえた人たちには、幸運が訪れると言われているの!全員には渡されないから、みんなもらおうと、必死にアピールしているのよ!」


 そう言うと、トワさんは、おーーい!!、と叫びながら手を振る。


「おねーさーん!俺にもくれよ〜!」

「幸せちょうだい〜!」

「帰っておばあちゃんにあげるのぉ〜!」


 私は少しだけ圧倒される。

 …私も、した方がいいのだろうか…。

 でも周りのお客さんたちも、欲しいから頑張ってるんだよな…なら、邪魔しない方が…。


 次々と目の前で花が配られていく。ふと、トワさんがさらに大きな声で呼びかけた。


「スゥゥゥお姉ちゃーーーーん!!」


 …お姉さん?!


 トワさんの呼びかけで反対側にいた女の人が1人、こちらにやってくる。


「よお!トワ!相変わらず元気だなぁ。ホレっ 」


 そしてトワさんに小さな花を渡す。


「やった!」


「あんたは毎年もらってっからな。姉が宮殿仕えなことを幸運に思えよぉ〜」


「もっちろんよ!」


「調子のいいヤツめ!」


 2人は笑いあった。仲良しなんだな…


「おや、誰かと思えばトワの友達じゃないか。いつも妹が世話になってるねぇ!」


「ちょっと!余計なこと言わなくていいの!」


 トワさんより大人びた顔をしているが、目の形といい、笑い方、話し方といい、2人はどこか似ている。姉妹というのはここまで似るものなのか…


「そういやあ、あんた、帽子は?」


 ぼうし…??私はこの国の人間ではない。トワさんの親友さんと間違えてるんだ。

 どうしようもなく地味にオロオロしていると、


「あははっ!無くしちまったのか?ほらよっ 」


 被っていた帽子を私にかぶせる。


「え…でも… 」


 遠慮します…と言おうとすると、トワさんのお姉さんは私の手を包んで言った。


「いいんだよっ!私たち花贈りの仕事は、みんなに幸せを届けることなんだ。あんたなんか暗い顔してっからさ。笑わねえと楽しくなんないよお〜。

 それと、これはオマケな。

あんたに幸せがあらんことを 」


 そう言って立ち上がり、トワさんの頭を帽子の上からなでた後、じゃあな 、と言って行ってしまった。


 私は立ち上がり、遠くに離れてしまわないうちに叫ぶ。


「あっ…ありがとうっございますっ!!!」


 トワさんのお姉さんは、ニッと笑って手を振ってくれた。


 また心がふわっとした。体が芯から熱くなる感覚がした。顔がほてっているようにも感じた。


 なんだかフラフラして、私はトワさんの横にしゃがみこむ。


 トワさんは、そんな私を覗き込んで言った。


「いつまでお花握ってるの?潰れちゃうよ?」


「え…?」


 私は帽子をもらった記憶しか…


 しかし私の手は、トワさんのお姉さんに包まれた時の形のままだった。

 その手をそっと開くと、小さなうすい桃色の花があった。

 あぁ…だからオマケって…。


「やったじゃん!今年は幸せな年っ間違いなしだね!!」


 幸せの…


 心臓がドキドキと高ぶっている。花を見つめたまま瞬きができない。


 これは…これは!!


 私は無意識にも、自然と笑っていたのだと思う。


「うん!!うれしい!!!!!」


 トワさんも満面の笑みを浮かべた。


 それから、パレードはさらに盛り上がった。


 変な被り物をした人たちが変な動きをしてみんなを笑わせた。笛に合わせて踊る犬たち、立派な馬車に乗り、人々から大歓声を受ける王様は、紙吹雪をまともに受け、顔中に紙が張り付いて、トワさんと大笑いした。


 なんてすごいのだろう…!


 なんで興奮するんだろう!!


 ねえ、私分かるよ!これが楽しいってこと、これがうれしいってことなんだって。


 こういうのってなんて言うんだろう…!


 心から、地面につく足元からうわーーっ!と湧き上がるような感覚…!!


 すごいっすごいすごいすごい!


 知りたい!考えろっ考えろ!







 その時、私の頭の中でピンっと何かが弾けた。


 そうか…この感覚…この気持ちは間違いなく!


『 "喜び " 』 だ!!!!






 そう分かった途端、そう見つけた途端。

 1つまばたきをしただけでその光景は一瞬にして消えた。


 嵐が去った後のように、風が吹くこともなく、静まり返っていた。


 道端には大量のぬいぐるみ…錆びている楽器…色とりどりの紙吹雪…


 私は何もいない、誰もいない通りにポツンと立っていた。


 そしてトワさんは私に背中を向け、少し距離を置いた所に立っていた。




すみません…IX(9話)ができました…。

途中まで読んで終わってしまっていた方、本当に申し訳ない限りです…!

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