第6話 逆に進んでいたようです
「今までずっと歩いてきたけど全然見つからないわね。」
『我、主殿よ。もしかしたら、反対の方向に進んでしまっている可能性はないのだろうか?』
「そうねぇ。その可能性もあるかもしれないわね。」
『あそこに、なにやら物騒な連中がいるようだ。懲らしめて聞いてみては?』
「お、本当ね。盗賊のようだから、色々な場所で盗賊やっているだろうし聞いてみるとしましょうか。」
その物騒な連中というのは、少し前に、トリウの街道でキド達を襲った奴らであった。
やつらは、キドに追っ払われてからこの道にでいいカモを狙っていたのである。
「ちょっとそこのあんたたち!!」
「ん?なんだいお嬢ちゃん。危ない目にあわされたくなかったら、有り金を全部置いてきな、そしたら俺らと一緒に来いや奴隷商人に高値で売ってやるよ。」
「だまれ!!この下衆がっ!!何が危ない目だ、危ない目も何も今現在危ない状況じゃないの。ちなみにあんたらに簡単に捕まるつもりはないのでそのつもりで。」
「何!!このガキだと思って多めに見てりゃ調子に乗りやがって、おい、お前らやっちまえ!!」
「おうよっ!!」
『主殿さっさと懲らしめて目にもの見せてくれようぞ』
(もちろんそのつもりよ。)
【大氣の中に漲る水よ今そこに姿成しこの者達に聖なる水の裁きを、“呑み込め水狼”】
すると、空気中の水分が水となり、水で出来た普通の狼よりもかなり大きい狼が出てきた。
その狼は、アイラの命令を待つかのように座っている。
盗賊達は、ブルブルと震えながら、こっちを見ている。
「さて、あんた達、さっきは散々色々言ってくれたけど、私はこれでも、とても心が広いつもりなので私が今から聞くことに誠心誠意正直に答えてくれたら許してあげてもいいわよ。どうする?」
「彼方様の聞くことに何でも答えますから、許してください。お願いします。
命だけはどうか・・」
盗賊達は口々にそう言って許しを請っていた。
「じゃあ今からいくつか質問をするのでそれに正直に答えるように!!」
「はいっ!!」
「じゃあ質問、私は旅の途中で兄とはぐれてしまっていて今探している途中なのだけれども知らないかしら?」
アイラはそれと一緒に兄の特徴も話した。
すると、特徴を話していくうちに、盗賊達の顔が青ざめていくのが分かった。
「その人なら、以前トリウの街道で見かけましたよ。」
「そうなの。本当は?見かけただけじゃないんじゃない?」
すると、アイラは後ろの水狼を見ながら言った。
「はいっ!!実は、前にそこでその人に襲い掛かってしまいました。そして、記憶喪失だと言うのでこれはチャンスとばかりに襲ってしまいました。
ですが、彼方のお兄さんのキドさんは、呪文を覚えていまして、見事に追っ払われてしまいました。」
「そうなの・・・。じゃあ記憶は取り戻していたの?」
「いえ、取り戻しはせずに、呪文だけ覚えていたような様子でした。」
「そう、ありがとうね質問に答えてくれて。」
「いえ、お役に立てたなら、幸いです。」
「じゃあ、急いで逆の方向へ行かないとね。」
すると、アイラは何か呪文を唱え
【縮小】
すると水狼は縮まって人が乗れるくらいのサイズになった。
「じゃあ、私は行くから、もう盗賊なんかやめなさいよ。」
「はい、本当にすいませんでした。」
アイラは、水狼に飛び乗ると、トリウの街道の方向へと去っていった。
また、余談ではあるが、盗賊達は、ちゃんと更生して、町に戻れたらしい。
皆さんから見てこの作品は、読みやすいのでしょうか?
それとも、読みづらいのでしょうか?
感想よろしくお願いします。
次回はキドの話に戻るつもりです。
さて、キドとアイラは無事に再会することが出来るのでしょうか?