第5話 結局運がよかったのかもしれません
さて、護衛兼案内役の人を殴り気絶させた目の前の「普通の人」にはカテゴリされそうにない人達は、穴が開きそうなほどの視線で見つめてきた。
「あ・・・」
と言うとその人達は全員揃って、
「すいませんでしたぁ!!」
と土下座しながら謝ってきた。
すると、その人達の中の一人が、
「前に彼方に懲らしめられてから、もう2度と盗賊はやらないと誓ったのにまた盗賊に手を出してしまいました。」
「街になじむことが出来なかったんですよ。」
「本っ当にすいませんでした。」
俺はあたふたしながら
「え、あ・・ちょ、ちょっと彼方たち何なんですか?」
「え、覚えてないんですか?以前彼方が精霊を使って私たちを懲らしめたんじゃないですか。」
どうやらこの人達は俺のことを知っているらしい。
(ちょっと話を聞いてみようかな?)
「あの、実はですね、今ちょっと記憶がまったくないんですよ。なので、自分が誰なのかも覚えてないですし僕が彼方たちに何をしたのかも覚えてないんですよ。」
「え、じゃあ精霊を操るためのスペルも覚えてないってことか・・・今なら怖くねぇ、野郎共やっちまえ!!」
「おうっ!!」
そうして土下座状態からその人達は一斉に立ち上がり俺に向かって襲い掛かってきた。
その瞬間
『相棒本当に忘れてしまったのか?』
『思い出してそしてスペルを紡ぎこの者達共に戒めを』
(え、誰?)
頭の中に響いてくる。
『思い出せないようだな。』
『だが、話は後だ、瞬間的に思い出させてやるから唱えてみろ。』
すると、もはや感覚にも近いスペルが頭の中に響いてくる。
【煉獄の炎よ、今我に力をかしこの者達に戒めを与えたまえ、“爆ぜよ焔火”】
自然と口で言っていた。
「うわーっ!!こいつ覚えているじゃねえか!!」
「燃えるぞっ!!逃げろー!!」
すると、その「普通の人」にはカテゴリされそうにない人達は逃げて行った。
(この力は、一体・・・)
『それはスペルだ』
『我々と契約をしている時に使用することが出来る。』
(俺の頭の中にあんたらの声が聞こえてくる。あんたらは誰だ?)
『だぁかぁら、あんたと契約した精霊だってば。』
『本当に忘れてしまっているようだな』
(えっと、なんか、すいません。記憶失っているんで、何も覚えてないんですよ)
『じゃあ、とりあえず自己紹介だ、変な気分だけどな。俺は炎を司る高上位精霊イルドだ』
『私は、時を司る高上位精霊フィラ』
(あ、どうも、ご丁寧に自分はキドです。よろしく)
『だから、前に契約してるんだから俺たちは知っているに決まってるだろ。』
『主よ、いくら記憶を無くしているとはいえそれぐらいはわかるだろう。)』
(ところで、精霊とかスペルとか高上位精霊ってなんですか?)
『まあいい、そこで伸びている奴が起きるまで説明をしてやるぜ相棒』
『主は記憶を無くしているのだから当たり前、彼方が誰でどんな人物なのかを説明して差し上げよう』
この精霊たちは俺のことをよく知っているようだ、色々話が聞けそうで助かった。
次回はアイラの話にしようと思っています。
今回も、前と同じぐらいになりましたが、このくらいの長さで書ければなと思います。
コメントも書いてくれている人もいたのでとても嬉しかったです。
次回も頑張りますのでよろしくお願いします。