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第十六話 シスターの意外な特技?

 あれから一週間が経った。

 シスターが来てから連続で問題も起きたがようやく落ち着き、屋敷内では良い変化もあった。


 まずクライス。

 双子が来る前から外出、外泊ばかりであまり姿を見なかったのがシスターが来てからはそれがほとんどなくなり、更には毎回食事の時にも顔を出すようになった。

 そして毎日せっせとシスターにご飯を食べさせて風呂にも入れてと世話をしている。


 その様子を見たクラウスが「アニマルセラピー」と呟いていたが双子は聞こえなかったことにした。


 そしてシスター。

 安定して栄養が取れるようになったからか、体はまだ細いが性格はガラリと変わりよく話すようになった。

 話すといっても自分から話しかけることはほとんどないが、以前のように双子が話しかけてもダルそうな感じで一言二言で終わらせていたのがなくなりちゃんとした会話をするようになった。表情はあまり変わっていないが。


「シスター変わりましたね。前は僕達と話している時とかもっと面倒くさそうな感じでしたから」


 聞きにくいことをズバズバ言うアールにエルは冷や汗を流しているが、シスターは気を悪くした様子もなく普通に話している。


「まあ、以前はずっと頭がボーっとしていて体も重かったから。声も遠くに聞こえる感じだったし」

「満足に食べていなかったからですよ……」


 クライスの努力もあってシスターがゴミ漁りをしなくなったのも嬉しい変化だった。

 しかし怪力についてはシスター自身も努力しているが、やはり加減が難しいのかあまりうまくいっていないらしい。


「だからアール、抱き着いてきたり腕掴むのは止めて。あれされると何も出来なくなる」

「あ、何となく気づいていましたけど力ないんじゃなくて、力あり過ぎて逆に何も出来なかったんですね」

「え、普通に許してくれてると思ってました」

「もし本当に許していたのなら、闘技場に連行される時にもっと抵抗してるでしょ。あの人に連れて行かれた時、アールに掴まれている時と反応一緒だったよ」

「あの嫌な人と同じ反応……」



 こんな感じで体調と会話は順調だが、怪力の力加減と同じくらい文字の読み書きにも難航していた。

 クライスがシスターの後ろにまわりペンを持つ手を上から握ることで力加減を教えてはいるのだがふとした瞬間に、例えばちょっとしたシワなどで引っかかるとすぐにペンが潰れてしまいひどい時は机に穴が開いたりしてしまう。


「あ……」

「気にするな。元々壊される前提で用意した物だ、それより読みの方はどうだ」

「あんまり……何か、話している言葉と違和感があって……」

「会話は問題なく出来るのにな……まあ、急ぐ必要もないだろう。ゆっくり確実にやるか」


 意外なことにシスターはその怪力の割に物を壊すことを非常に気にする。屋敷に来たあの日も、ドアを壊すことを恐れて廊下で寝るのを選んだ程ではある。


 そうやって色々と教えていたが、双子のある会話でクライスはシスターに疑問を抱くようになっていた。


「何があった?」

「ここから南方にある国の言葉を使いこなしているのと読むだけなら可能。後はテーブルマナーを習得、ではないがその知識がある事だ」


 シスターの事は双子に任せ、クライスはクラウスの元へ報告する為来ていた。

 要注意人物というわけではないのだが、気になるものは気になる。


「南方……その国の人間か?」

「いや、双子が、というかアールが突っ込んでいたが誰かから教えてもらったみたいなことを言っていた 」

「……テーブルマナーを知っている程教養のある人間とどうやって知り合ったんだ? いや、教えることが出来るならテーブルマナーより先に教えることがあるだろう」

「……今度聞いてみるか。だがあまり話したくなさそうにしていたからな、素直に話すかどうか」


 もう警戒することはないとはいえ、シスターの謎が深まった。

オマケ


読み書き計算バッチリな双子のエルとアールは何の問題もないと思われていたが……。


「エル、ジャガイモをナイフで切るな。フォークを使え」

「わ、すみませんボス。でもジャガイモ大きいんですが……」

「背で潰すんだ」

「は、はい」

「あれ、神父様バターナイフは何処にあるんですか?」

「バターナイフ? ナイフがあるだろう」

「えっ」


細かい所で色々苦労していた。

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