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第十二話 闘技場

「あー、モニカの淹れる紅茶が飲みたい。年々美味くなってるよな」

「ああ、お前の好みに合うよう頑張っているからな。ハーヴィーの開発した簡易栄養食も味が良くなっていたぞ」

「お前またそれで食事を済ましただろう。ちゃんとした食事をとれ」

「分かってはいるんだが、中々時間がな」


 食後の時間のような、そんなまったりとした会話をクラウスとクライスがしている隣でエルとアールはずっと何か喚いていた。


「うるさいぞ、少し静かにしろ」

「す、すみませんボス。ですがシスターが連れていかれたのに大人しくなんて出来ません!」

「神父様! 神父様もシスターのこと心配していたのにどうしてそんなに落ち着いているんですか!?」

「まあ何だ、落ち着いているわけじゃないんだ。ただ、今起きたことは現実なのか疑っているだけだ」


 シスターを屋敷に招いてから数分後、闘技場の一人息子が私兵を引き連れやってきた。

 そしていきなり自慢まみれの自己紹介を始め、そのまま自然の流れのようにクラウスやこの屋敷をこき下ろしまくった時点でエルとアールはドン引きし、クラウスとクライスは固まった。


 父親が四大貴族ならクラウスも同じ四大貴族だと知っているはずなのに、何故ただの一貴族だと思ったのか。更に、数える程とはいえ一人息子とクラウス達はしっかりと顔を合わせたこともある。


 向こうはすっかり忘れてしまっているのか思い出す様子もなく延々自慢を続け、長い自己紹介が終わるとようやく用件を述べ始めた。

 一人息子の用件は要約すると、ヒールハイで一番偉くて金持ちの自分に恥をかかせたシスターは重罪なので闘技場へ連行するということだった。

 そしてシスターは私兵に腕を掴まれても何故か抵抗せず大人しく連れていかれてしまった。


「とにかく! 急いで助けに行かないとシスターが危ないです!」

「危なくない危なくない。むしろ今行くと警備が強くなって入りにくくなるから、そっちの方が逆に危ない」

「今連れて行ったということは、公開処刑の方なんだろう。ならまだ時間に余裕があるな」

「え……処刑……?」


 安心させようとしたクライスだが、クラウスの言葉に双子の顔は一気に青ざめた。


「なんだまだ知らなかったのか。あそこは夜になると公開処刑場として活用されていて、こっちも結構人気があるんだ。ちなみに発案者はさっきの一人息子だ」


 闘技場自体も似たようなものであり、勝敗の決し方は相手の殺害のみである。

 勿論表向きはれっきとした闘技場であり、観客は命をかけた闘いを眺めながらどちらが勝つかを賭けたりして楽しみ、戦士達は勝てば賞金が手に入り、そのまま勝ち続けていけばチャンピオンの名声も得られるのでどちらも常に賑わっている。

 夜は魔物と闘わせるのだが、闘うのは戦士ではなく主に犯罪者となっている。

 闘技場と違い鎧も武器も支給されず必死に逃げまどい食い殺されるのを観客達は酒を片手に眺めるだけだがこちらも中々人気が高い。


 一応魔物に勝てれば釈放というルールはあるのだが、今まで勝てた者は一人もいない。


「人が死ぬのを見世物にするなんて……」

「別におかしくはないだろう。十年ぐらい前までは広場でさらし刑や首吊り刑などが見世物みたいになっていたが、お前達のいた街は違ったのか?」

「違いませんけど、でも……」

「あれ、シスターってすごく強いから魔物とか簡単に倒せそうだし大丈夫なんじゃないかな」

「目的が処刑なら何か余計なルールを追加するだろうな、発案者権限で」

「うわああああ、やっぱり大丈夫じゃない! 助けに行かないと!」

「だから待てと言っているだろう。まだ早いから」

「だがそろそろ行ってもいいか。少し話をしたい相手もいるからな」


 そう言って屋敷から出ようとするクラウスをクライスは不思議そうに見つめた。


「何だ」

「急に協力的になったと思ってな」

「あの女のことは正直どうでもいい。ただあの馬鹿息子に言いたい放題させたのが腹立たしい。今からあいつの父親の所に行って話をつけてくる」

「南と西にも行くか?」

「そこはローラントに任せる。出来るならそっちに引き渡したいが」

「それはまた……まあ当然か」

「当たり前だ」


 二人の会話の意味が分からず首を傾げる双子だったが聞かない方がよさそうだと察し、闘技場へと向かうクラウスとクライスの後を急いで追いかけた。

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