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第一ラウンド『堕落の敏腕トレーナー』

お久しぶりです

ゆっくりして言ってください

ある昼下がり

とある酒場でウイスキーを片手にテレビを観ながら

電話に向かって怒鳴り散らしている男がいた。

周りに客が居ないせいか店員は注意しない

「だから俺は、親父の所で働く気はねぇよ!」

「でも今のお前は、ニート同然だろ、

いいか?2週間後にまた電話かけて働いてなかったら

ウチの研究所で働いてもらうからな!

それが嫌だったら新しいボクサーのトレーナーになる事だな」

どうやら話し相手は男の親らしい

「ハッ!俺は、7年前までボクシング界の頂点に居た男で、

今は、名のないボクサーを有名にさせる腕利きトレーナーだ!

俺が本気を出せば10人も30人ものボクサー達が自然と集まるだろ」

その瞬間大きな笑い声が聞こえる

「せいぜい頑張るんだな」と父親は、電話を切った。

男は、かなり腹が立ったのか机を殴り

「何が科学者だ!くたばれってんだよ!」と、

父が映っているテレビ画面に向かい中指を立てた。

生物を専門とする有名な科学者で、

今ではチャンネルを回せば必ず映るぐらいだ。

男が、酒を浴びるように飲んでいると体つきいい青年が入ってきた。

「ここに居たのですかチャールズさん」

そう言うなり男の前に立つと、

チャールズと呼ばれた男も青年の顔を一瞬見てから、

またコップに視線を戻す

「サムか…まだジャッカスにスカウトされてなかったんだな」

言うなりゲップをするチャールズにサムと言う青年は、

酒の臭さに鼻をつまみ「来てますよ」と答えると

チャールズは、眉がピクリと動いた。

「でも僕は、金に釣られるほど愚かなボクサーじゃないですし

あそこに居ても強くなれません」

意外な答えに反応に困ったチャールズは、「ふーん」と聞き流した。

ジャッカスとは、名のあるボクサーを片っ端から雇うが、

まともなトレーナーがいない、ただ金だけあるジムの経営者である。

特にチャールズの育て上げて来た選手は、必ず雇いにくるのだ

雇うと言うよりも奪い取るに近い、

チャールズのやる気が出ないのもこのジムのせいでもある。

「今さっきあなたの家を通りかかったら

ボクサーらしい人が立ってましたよ、

この機会にもう一度選手を育ててみたらどうです?」

「どうせみんな金に目が眩んで俺を裏切るのがオチだよ」

「人を信用できないのは、分かりますが

それでも自分のジムの為にもやりましょうよ!

僕は、あなたのジムが潰れるなんて嫌なんです!」

感情が高まり声を大にして言うと、

チャールズはサムの前に置いてある椅子をテーブル下から軽く蹴り

座れと合図した。

「そんなカッカするなよ」

「すみません」と謝ると椅子に座る

チャールズは、指をパチンパチンと3回鳴らし店員を呼ぶ

「おいバアさんコイツにミルクを頼む、

 あと俺はシャコエビの天ぷらタルタルソース大盛な」

頼まれた店員は、ゴミを見るかのようにチャールズ見てからキッチンに向かった

「そう言えばチャールズさんのお父さん凄いですね」

話しかけられたチャールズは、「何がだ?」と

テレビをみるサムの顔をみる

「動物を擬人化させるってやつですよ!」

「あぁそれか、でも擬人化したところでどうなるって話だよな

女にモテない科学者のなれの果てを見ているようで、

むしろこっちが恥ずかしいよ」

実は、チャールズの父は、本当の父では、なく父の兄であり

本当の親が離婚した時残ったチャールズを兄に預けたのだ

「まぁ声と耳と尻尾が動物のまんまっていうのが残念ですが、

夢があっていいと思います」

チャールズの方を向くと注文した品が前に置かれた。

サムは、店員にぺこりと頭を軽く下げる

「なんだコレ」

眉間にしわを寄せ、皿をみる

そこには、タルタルソースに埋もれたシャコエビが動いていた。

すぐさまチャールズは大声で店員を呼んぶが、

キッチンの方から「テメーにやる食いもんは、ないわよ!

それがやならうせな!」とおそらく女であろう大きな声が帰ってきた。

「それ食べるんですか?」

サムは、思わず苦笑いをする

「この元チャンプの俺を舐めんなよ!」

叫ぶなりナイフとフォークを手に持ちエビを食べようとした。

するとエビは、自分に向かって来たナイフとフォークを殴り先端 

を曲げ回避する

チャールズは、曲がったフォークをしばらく見つめるが

闘争心に火がついたのか、エビを両脇から手でしっかり掴む

「ヘッヘッヘ俺に喧嘩を売ったのが運の尽きだったな下等生物が」

かぶりつこうとすると、今度はチャールズの歯にエビの強烈なパンチが入り

何本もへし折った。

「ああぁあぁぁあああぁぁ?!」

あまりの衝撃にチャールズはエビを壁に叩きつけ、

歯茎から流れる血を手拭きタオルで拭く、

その姿に店員は、腹を抱えて大笑いし

サムは、唖然とした。

「クッソこんな店早く潰れちまえ!」

恥ずかしくなったチャールズは、顔を真っ赤にし店を飛び出す

サムは、慌ててミルクを飲むとお金をテーブルに置いてあとを追いかけた。

「大丈夫ですか?」

心配そうに水道で口の中を洗うチャールズをみる

「今日は、最高に最悪な日だな!」

と水道の蛇口を止め立ち上り千鳥足で歩き始める

「ちゃんと歩いてくださいよ」

チャールズ支えながら歩き始める

しばらく歩いていると目の前にキャリーバックなど大荷物を抱えた

筋肉質な女とヒョロヒョロのメガネをかけた男が、

チャールズ達の視界に入った。

「楽しそうですね?」

前のカップルを眺めながら呟く

「そうだな…こんな真昼間からすごく楽しそうだ」

声を震わせながら低いトーンで言うと、

支えているサムの手を取り鼻息を荒くしながら、

そのカップルの方へ向かった。

「ちょっと!どうしたんですか!」

慌ててチャールズの腕を掴み止める

「あの前にいる女は、俺の妻だ」

「へ?」

サムは驚き、握っていた手を緩めた

その瞬間猛ダッシュでカップルに近ずくと、

荷物を抱えている男の後頭部を殴る。

流石は、元頂点に居たボクサーなだけあり男は、

頭から血を流し倒れてしまった。

女は、「何すんだクソ野郎!」と振り向く

「クソ野郎は、どっちだクソビッチ!誰だこの男!」

倒れている男の頭を蹴る

「新しい私の彼氏よ!働かないダメ人間と一緒に暮らすのは、

もうウンザリなのよ!このクズが!」

女は、チャールズの顔面にたんを吹きかけると

荷物と倒れた男を担ぎチャールズに背を向け歩いた。

「あぁそうかい!勝手にしやがれこんちくしょうが!」

女に石を投げようとするとサムが慌てて止める

「チャールズさん家に帰りましょうよ、ね?」

チャールズは、舌打ちして石を捨てた

家に着くとドアの前に手紙が置いてありサムは、拾い上げる

「この手紙きっとさっき僕が言ったボクサーからですよ!」

嬉しそうに言うが、「そこらへんに捨てといてくれ」とチャールズは言い

サムは、溜息をつき外へ捨てた。

家の中に入ると玄関に一匹の犬座って待っていた。

「おーおーチャンプいま帰ったぞ?」

さっきまで怒っていたのが嘘かのように、

笑顔でチャンプと言う犬を抱き上げる。

「動物は良い、人を裏切らないからな」

そうしみじみ言うとリビングに向かう

置いてけぼりにされたサムも跡をついてく

「あ?すまんな」

サムから手渡された水を受け取ると

膝の上に寝ているチャンプに飲ませてから自分も飲んだ

「あの?チャールズさん二階の鍵貸してもらっていいですか?」

チャールズは、腰のベルトに括り付けてある数個の鍵の中から見つけ出し渡す

「ありがとございます」

二階には、チャールズの作ったボクシングジムがある

ジムといっても二階建ての家に無理矢理作ったから筋トレ器具十数台と

サンドバックしかなくそんな大層なものでは、ないのだ

サムがトレーニングをし始めた頃

チャールズは、動物や魚が出てくる番組を見始めた。

しばらく経つと下からドスドスとチャールズが上がってきた。

「おおやってんな?」

チャンプを抱きかかえながらサムの練習を眺め

サムが休憩に入ろうとするとすぐに話しかける。

「明日暇だよな?」

まるで「明日時間が空いてないわけがないよな?」と

言わんばかりの圧力で言うチャールズに対し

苦笑いで「まぁ…」と本当は、友人と遊ぶ事を隠し渋々頷いた。

「心配すんな直ぐに済む用事だお前の家確か漁師だったよな」

サムは、「そうですが」と、不安になりながら頷く

「よし!明日朝一にお前のオヤジさんが働いてる所に行くぞ!」

「何しに行くんですか?まさかトレーナー辞めて魚店開くんですか?」

「アホかお前選手を見つけに行くんだよ」

「いや…ウチ海に泳いでる魚は、獲っても泳いでる人は流石に獲りませんよ」

呆れた顔で言う

「今の時代、最先端を行くものが生き残れる時代だ」

「だから?」とサムが聞くとチャールズは、ドヤ顔で答えた

「ボクサーにする魚を見つけに行く」

皆さんお久しぶりです

いやぁ一応就活に必要なポートフォリオ制作も一段落したので、まずは、短編を出させてもらいました

なぜ「一匹狼ウル」の続きじゃないかと言いますと、半分話を忘れてしまったからです…てへぺろ

今読み直しているので少々お待ちどんと言うことでよろしくお願いします。

今後は、不定期になりますがまた連載始めようと思うので

よろしくお願いします…(見てる人いないかもだけど)

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