26日 10時48分
米原で降りるとずらずらと行列に並んで、階段を一段一段ゆっくり上がる。
この駅の辛いところはこれである。
新幹線と普通電車との乗換改札がかなり混む。
階段を上がってすぐそばであるため、改札への行列つまり、階段の行列つまり、新幹線降りたとこというルートが完全に出来上がっている。
ゆっくりじわじわと進んで、数人に一度流れるブザーを聞きながら改札を抜ける。
『しらさぎですよ』
「……」
ちゃっかりくるメールをスルーしつつ、今度は特急のくるホームへ向かう。
実のところ新幹線よりしらさぎのほうが、椅子が広くて気に入っている。
とはいえ7年前の記憶だから、もうなにかしら変わっているのかもしれないが。
と、しらさぎに乗り込み、ガラガラな自由席を歩いて適当に座る。
車内放送が流れる。あと5分ほどで出るらしい。
『起きてます?』
このままだと電話でもしてきそうだったので仕方なく
『寝てる』
と返信しておく。
しばらくぼうっとしていると、やっと電車が動き出した。
新幹線では多かった見送り客も、特急では皆無である。
ここからの道のりはまさに田舎だ。
30分ほどで敦賀駅につく。
そこからまた乗り変えて、小浜線という田舎電車に乗ることになる。
一時間に一本ほどの電車だから、おそらく敦賀駅で随分長い間待たされることになるだろう。
敦賀駅からはこれまたおおよそ30分。
駅から実家までは徒歩1分だから、もう帰り道の半分は超えている。
「……寝よう」
またゆっくりと、目を瞑る。
携帯が震えているが、またどうでもいい話だろう。