34/41
31日 7時30分
夢から覚めた私は、懐かしいものを見たなと、ほっと息を吐く。
結局数年後、私はここにきて、お札を言いに来た。
一軒一軒聞いて回って、この家にたどり着いたのだ。
封筒は受け取ったが、日記は受け取ってくれなかった。
お金は使ってよかったのにと言われたけれど、そんなこと、私にできるわけがなかった。
それだけでは納得ができないと、帰ろうと思えたのはあの、健太くんの母親のおかげだったのだから、何かできないことがないかと聞いたのだった。
懐かしい話である。
「息子が帰ってこなくてね。ま、そんなことあんたに頼むのも変な話だけど」
聞いたことのある名前だなと少しばかり考えて、同じ会社にいるある男性社員のことを思い浮かべる。
そうして私は、彼に出会ったのである。
「沙織、起きてるか」
「うん。おはよう」
扉越しに挨拶を交わして、鞄から出していた日記を手に取った。
結局詳しくは読まないまま、ずっと持っていたが。
やっぱりこれを私が持ち続けることには違和感があった。
持ち主の場所に帰るべきである。
お昼頃の電車には乗るつもりだ。
健太くんの母は見送りに来てくれるというので、そのときに渡すとしよう。




