27日 13時10分
「健太、素麺できたよ」
母の声に、返事をして起き上がる。
「生姜は?」
「セルフサービスです」
一度座ったが、仕方なく立ち上がって冷蔵庫を開ける。
「お茶持ってきてー」
「ったよ」
麦茶と、自分用の緑茶のペットボトルを抱えて運んでいく。
「今日は晩御飯どうする?」
「あるものでいい」
「おにぎりやね。塩だけの」
「……なんでもいいよ」
「じゃあおにぎりでええやん」
「オムライス」
「卵安かったらね」
ずるずると素麺を啜って、垂れ流しのテレビを見る。
どうでもいいような情報が流される。
ニュースを見ていると思うのが、自分に関係のある話なんてまずないというところである。
どこかで誰かが死んだ。
そんなこと、その辺にある話だ。
有名人が死んだって、近所のおっさんが死んだって、同じ話なのにわざわざテレビなんかに流して、と俺は思う。
車の事故だって、気をつけなければと思った数時間後には忘れてしまっているし。
まあその場合俺のすぐ忘れてしまうところが悪いだけなのだろうが。
「あんたの性癖なんて知らへんわ」
「親にそんなこと知られてる息子がいたら、そいつは首でも吊りたくなるだろうよ」
母は立ち上がってまたいつものようにぽいぽいと服を投げ、仕事服に着替え始める。
「雨降ってきそうやったら、洗濯物入れといてや」
「起きてたらな」
ばたばたと大きな足音を立ててでて行く。
残った素麺を啜って、天気予報を眺めた。
どこかにむかってうろうろとしていた台風は、気がつけば何かを思い出したように戻ってきているようである。
皿を片付けて、お湯を沸かす。
コーヒーでも飲んでゆっくりしてから神社に行こう。
あとは――
「これでどうやってカブトムシを捕まえろと」
家に届けられた虫かごと網。
網は虫取り用のものではなく、金魚を掬うための小さなものだ。
少しでも大きかったら、ツノがはみ出てしまいそうである。
「夜の用意もしておくか、いまのうちに」
バナナを一本皮ごと雑に切って、袋に入れる。
砂糖もこれまた適当に。
昨日パン作りにつかったドライイーストも入れて――。
「焼酎ないな。おっちゃんのとこならあるか」
くれと言ったらすぐにくれたので、少しだけ入れる。
あとは封をして、放置。
夕方、適当にどこかに塗っておけばカブトムシが取れないまでも、クワガタくらいは取れるだろう。




