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プロローグ:朝刊
「正義の復讐の後の寛大な精神か」
七月にピエール監獄に留置されていた罪人ラグレーンが、昨日一八◯◯年九月十六日に赦免されることとなった。ラグレーンの詐欺による被害者の代表エドゥアール・ベルモン氏の寛大な申し出の結果認められたことであるが、罪人の釈放は異例の出来事といえる。罪人ラグレーンによって多大な損害を受けたにもかかわらずそのような情け深い決断を下したベルモン氏は、罪人であるラグレーンにとっては英雄とさえ言えるだろう。
一八◯◯年九月十七日『クラヴィエ』紙より