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竹取物語7

「おつかれさま」

「あんたもね」


 息も切らさずに、二人は声を掛け合った。少年の学生服はボロボロになっているし少女の衣類も似たようなものだ。

 少女は近くに倒れ伏した男の子二人の亡骸を壁の近くに寄せて指を組ませて・・・表情を曇らせる。

 なんとなく直視してはいけないような気がして、顔を背けながらボロボロになったブレザーを脱いで渡した。


「・・・意外と紳士じゃない」


 自分の恰好が気になってきたのか、大人しく受け取るといそいそとそれを服の上から着た。


「そりゃどうも。なんとなく状況はわかったけど、これ夢じゃないんだよね?」

「そうよ、私はもう3回目」


 アイテムウィンドウから赤い飲み物を取り出し、喉を潤しながら答えた。


「これってHPバーだよね」


 目を凝らすと、二人とも頭の上に何か緑色のものが浮かんでいるように見える。


「そうね」

「その下のこれはSPバーだよね」

「そうね」

「・・・」

「・・・・・・・」


 少しの間の沈黙。


「『白と黒』のアプリが現実に起こっている。私はそう結論付けたわ。なんでなんて聞かないでね?理由なんて何もわからないんだから」

「そう・・・なんだ」

「私が知っていることは『白と黒』のアプリのクエストが現実化しているってことと、実際に出現しているモンスターが人を襲っていること。警察官とかが何人も犠牲になって1体を倒すようなそんな化け物が闊歩している・・・私は倒せるからそれを倒して回っているだけ」


 空き瓶を捨てて、銃のマガジンを交換し。空中に浮き出たウィンドウを操作し始める。

 近隣のMAPが映し出されている。近くに敵を示す赤いマーカーは出ていない。


「『竹取物語』のクエストが先に進んでいるわね。クエスト欄の進行を押せば報酬が出るわよ?」

「進行・・・押すとやっぱり」

「ボスが出現でしょね、押さなくても出てくるけど」

「試したんだ?」

「・・・試してないわよ。これを押したらまた人が犠牲になるもの」

「それは・・・」

「でも放置しても結局同じ。またさっきみたいに敵がわんさか現れて全部片付けるとボス登場。一度だけボスと戦ったけど・・・戦ったというよりは逃げ回っただけね。1回攻撃受けただけで死にかけたもの」


 視線を落として奥歯を噛みしめる。


「あの時は警察官も自衛官もでてきて総出で攻撃をしかけていたわ。それでもボスは倒れなくて・・・クエスト時間が終了して『灰色の本』が少し黒くなった」

「そんな事件聞いたことないけど」

「情報統制とか?情報規制とか?少なくともこの間その状況になっていた街はテロの標的になったって報道されてたわ」

「・・・この間の」

「そうよ。あの時は範囲も広くて私も動き回った挙句に時間オーバー。警察からも逃げ出さなきゃいけなかったしもう何がなんだか・・・とりあえず大変だったし、100人近く亡くなった人が出たわ」


 現在地から見て、そこは電車で1時間くらいかかる場所だ。彼女はいったいどれだけの活動範囲を持っているのだろうか。


「あっち、上を見て」


 指差された方向を見ると、空には三日月が浮かんでいた。まだ夕方にもならない時刻なのにもかかわらずだ。


「・・・灰色の本」


 そこには半透明な三日月型のクリスタルが浮かんでいた、クリスタルの中には何か入っている。ここからではよく見えないが、一冊の本が収められているはずである。

『竹取物語』というタイトルの本が。

あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。

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