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人魚姫22

「「はあ」」


翌日、学校で真司と賢が隣り合わせの席でため息をついた。

花穂は来ていない。


「・・・・昨日は、ごめん」

「ん」


賢は真司に謝ると、その湿布で覆われた頬を抑える。

他にも何か所か絆創膏が貼られていて、顔が見える範囲の方が少ない。

花穂に似た中性的な顔立ちに大きな湿布は自然と注目を集める。


「少し、話そうか」

「おう」


二人は揃って教室を出る、注目を集めてはいたが今はその視線も煩わしい。

屋上に出ると、授業の鐘がなる。二人とも授業をまともに受ける気にはなれなかった。


「なんか昨日よりダメージでかそうね」

「・・・・・あの後、花穂にも殴られた」

「ああ、なるほど」

「で、謹慎だと。頭冷やせって」

「・・・・・・・学校出てきてよかったのか?」

「お前に謝りたかったし、聞きたいことも」

「そか」


壁に二人で並んで座って。空を仰ぐ。


「花穂は?」

「柊さんについてる。あのあと、検査受けさせて・・・でも一言もしゃべってくれないらしい。食事も取ってくれないって」

「検査はどうだった?」

「異常なしだって。お前やっぱすごいよ」


異常なし、その言葉に真司は心底ほっとした。


「・・・・・・・ゲームのおかげだよ」

「それでも、だよ」


賢は真司に力なく笑いかける。


「・・・・・・昨日のクエストみたいなのは、まだあるんだ。『ラビリントス』『ピノキオ+』『不思議の国のアリス』この3つがアーケードゲーム専用クエスト」

「ああ、調べたよ。昨日のが一番難易度低いんだろ?」

「そう、『不思議の国のアリス』はクリア報告がほとんど無い程の高難易度クエスト。アレばっかりはどうしようもないだろうなあ」

「今回のエンブレムが今までよりも早く消えたのは」

「ゲーセン仕様なんだと思う。アーケードだと筐体を占拠されないように1回のクエストMAPの消滅が普通のクエストより短いから。」

「やっぱそうか」


ゲーム時代での話に限るが、通常のクエストは本気でクリアしようと思えば3~5分で終わるものがほとんどだ。

だが経験値アップ目的やアイテムドロップ目的のプレイヤーの為、クエストMAP自体は生成されたら60分は継続される。

プレイヤーがクエスト条件を完了させて、クエストMAPから離脱を選択するとMAPは消滅。

一部の時間制限有りのMAPを除いては、このルールが適応されている。

現在クエスト消滅の項目は選択できない、というよりもその項目自体が出てこない。

少なくとも、エンブレムが降りてきている間はモンスターを対処しなければならない。

クエスト事態の難易度を極端に下げるレベルのスキルや装備は制限がかかっているが、時間超過に伴いそれは1ランク上のスキルと装備の使用が可能になる。

しかし、アーケード専用クエストではスキルと装備の制限は無い。

前回真司が初めからフル装備で参加できたのはそれが理由である、と推測される。


「普段はお前、制限受けてるんだ?」

「そうだね、人魚姫をクリアしたらさすがに着の身着のままじゃなく出来るけど」

「やっぱ強い?」

「強いっていうか、硬い」

「硬いかあ」

「攻撃力もあがるけど、防具がきちんと装備できるようになるからね。今までみたいに拾った物で戦うんじゃなくて用意しておいた装備で戦えるようになるから・・・・まあ、言ってもしょうがないか」

「ん、課長頭硬いから」

「思いっきり殴られたしな。九十九さん絶対に手痛めてるぜ?オレの肌鋼鉄張りに硬いから」

「そういえば昨日あの後包帯手に巻いてた!怪我かと思ったらあれが原因か!」


二人そろって軽口を叩きニヤリと笑う。


「・・・・・・まあ、普通に怒るわな。僕、謹慎になってるし」

「そだな、オレも機会を見て謝ろう」

「それがいいよ、僕は説教受けた時に謝ったけど」

「ずるいなあ、時間空くと謝りにくい」

「真司の場合は、現場来るな言われてるからそもそも電話するとかしかないけどね」

「うあ、そうだった」


真司がうなだれてしまう。

その時、賢の携帯が振動した。

姉からの電話だ。

賢は真司から少し離れて電話を出る。

内容を聞き、時計を確認。

『人魚姫』の最終クエスト開始時間まで残り15分程だった。


「真司」

「何?」

「・・・・柊さんが姿を消したらしい」


真司の目が見開かれる。

携帯を取り出すと、今回の人魚姫のクエストMAPの指定場所を確認した。

下履きのまま、真司は屋上から飛び降りてクエストMAPへと走り出していた。

あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。

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