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人魚姫21

真司の表情は冴えない。


「被害状況確認!今回は狭い範囲だったが過去一番の被害が見込まれる!怪我人、遺体の収容と記憶改ざん処理急げ!」

『はっ!』


博美の指示に、他のメンバーが慌ただしく動き出す。


「瀬戸川君」

「すみません、少し八つ当たりしてました。柊さんが心配です。戻ります」

「そうか」


博美としては、ここに来るなと言ったにも関わらずその力に頼ってしまい真司に言葉がかけにくい。

真司としてもあまりゆっくり話している気分ではなかった。

力も使えなくなっているので、その場から駆け出して公安の車両に向かう。


「花穂!」

「真司様!ご無事でしたか!」


花穂は真司の帰還に胸をなで下ろした。

公安のメンバーの中には大怪我を負ったものも多く、今も担架で運ばれていく人間が行き交っている。


「大丈夫、柊さんは?」

「あちらの車の中で休んでもらっていますが、呼びかけても・・・・」


花穂の声は明らかに沈んでいく。


「・・・・わかった、ありがとう。HPが0になったんだ。蘇生魔法をかけたけど・・・エンブレムはもうないから無事ってことでいいのかな」


その言葉に花穂は顔を上げて静音の乗り込んだ車に目を向ける。


「・・・・・・念のため精密検査に。いいですね?」


思いのほか強い花穂の言葉に、真司は頷くしかなかった。


「真司」


呼ばれて真司が振り向く、そこには表情を強張らせた賢が立っていた。


「なんで連絡をよこさなかった」

「・・・・・・・・・告知が来なかった」


真司は携帯を開いて告知の画面を賢に見せた。

そこには人魚姫の次の告知が表示されているのみだ。


「今回のクエストはアーケード専用クエスト『ラビリントス』だ。だからだと思う」

「思うじゃねえよ!そういうクエストがあるの知ってたんだろ?!なんで僕達に教えておいてくれなかった!」


賢が真司の胸倉を掴んできた。


「お前らだって事前に調べてたんだろうが!」


その腕を真司は振り払う。


「警告ぐらいしておけっつってんだよ!頭良くなったんだろ?!何人死んだと思ってるんだ!」

「知らねえよ!ミノが通った後は死体だらけだ!数えられるか!」

「数えられるか!じゃねえよ!お前なら救えたかも知れないだろうが!」

「お前らの仕事を押し付けるな!オレに関わるなっつたのはお前らだろうが!大体警告しといたら防げたのかよ!オレが気付いてれば誰も死ななかったとでも言うのかよ!あ!?」

「賢!やめなさい!真司様も!」

「お前は力があるんだろうが!僕と違って!」

「こんなの力があったってどうしよもねえだろうが!」

「でも出来ることがもっとあったんじゃねえか!」

「っざけんなよ!女の子一人守れなかったん・・・・・・?!」

『ボゴンッ!!!』


真司のセリフが終わるか終らないかのところで、横から頬に強い衝撃が走った。

真司はたたらを踏んでそれをこらえる。

振り向くと賢が地面に吹き飛ばされていく最中だった。


「喧嘩ならよそでやんな。鬱陶しい」


そこには鬼の形相をした博美が手を押さえて立っていた。いつの間にか戻ってきていたらしい。


「四条賢。お前の任務はなんだ」

「・・・・・諜報です」

「そうだ、お前の任務はここで喚き散らすことではない。早く仕事に戻れ」


博美はそういうと、賢の襟元を掴んで片手で立たせる。


「はい」


殴られた頬を押さえながら、賢はその場を離れる。


「瀬戸川君。すまないが人手が足りてない。一人で帰れるか?」

「ですが」

「エンブレムが下りてない状況下で君に出来ることは何もない。すぐに帰りなさい」

射抜くような視線を受けて、真司は萎縮する。

「・・・・っ」


真司は踵を返すと、ゆっくりと歩きだし・・・走り出した。

あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。

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