人魚姫17
「数が・・・多い!」
静音は銃を乱射して敵を倒しながら少しずつ後退をしていた。
とてもじゃないが前進出来ない。
理由は敵がいるからだ。
今までの敵は静音の一撃で葬りされた。
だが今回の敵は違う。静音は1匹1匹確実に倒すのに必死だ。
バーストショットを使えば敵の注意が引けるが、3匹もの敵に目を付けられただけで静音の命は果てるだろう。
先ほど1撃くらった。
全身がブレて、体中の骨が砕かれたと思うほどの一撃だった。
HPが満タンになっていなければ、即死だったかもしれない。
そんな敵にはとてもじゃないが近づけない。撃って逃げて撃って逃げる。
路地の中に身を潜めようとすると、その路地の中にも敵がいる場合がある。
緊張と恐怖で体が震える。
「ははは」
思わず声が漏れた。
「私、弱ぁ」
それでも恐怖に駆られて引き金を引いた。
何度も。
何度も。
ミノタウロスの眉間に銃弾を当てて、後退しつつ敵を倒す。
倒しきれずに、逃げ出す羽目にも何度もなった。
横や後ろからも敵が沸いてくるからだ。
すべての敵が一様に巨大な戦斧を振り回して迫ってくる。
静音の前で多くの人が死んでいった。
斧の一振りで体がひしゃげて、車に叩きつけられる男性。
その斧の一撃で車ごと爆散、ミノタウロスは当然のようにその爆炎から姿を現して次の標的を探す。
拳を叩きつけられて、身動きが取れなくなったところで別のミノタウロスに踏みつけられる女性。自分より少しだけ年上だろうか?その顔は恐怖に染まっていて、意味の分からない叫び声をあげていた。
そして・・・。
「ダメ!」
静音は引き金を引いていた。
もうSPはあまり残っていない。
視界の端に捕えた親子を襲おうとしているミノタウロスに照準を合わせた。
父親の上半身が吹き飛んで宙を舞った。
「いやあああああああああああああああ!!!!!!」
引き金を引く、間に合わない。
母親も同様の末路を迎えて、建物の近くにボトりと落ちた。
「0距離射撃!」
子供を襲おうと拳を振り上げたミノタウロスに、近距離からの一撃!
頭痛が走った。
もうSPが無くなったようだ。
「逃げなさい!早・・・」
静音の言葉が終わる前に、その拳が静音の体を捕えた。
静音の体が宙に舞う。
ミノタウロスはそのまま持っていた戦斧を振り下ろして、宙に浮かんだ静音の体を両断した。
静音の体がビルに激突する。
猫耳カチューシャが、静音の頭から落ちた。
あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。




