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人魚姫13

各教室にいくと、やはり結構騒がしい。

それぞれのクラスが出し物をしているからだ。

景品を用意した遊技場を作っている教室。そこから歓声と悲鳴が聞こえてくる。

丁度前を通りかかった三人は、教室を覗き込む。

そこには不機嫌な顔をした猫がいた。

静音である。

茶色い地味なメイド服を着こなし、細い肩と足を存分に露出させた静音だ。

肘の辺りまで広くカバーした手袋と、首筋まで開いた大胆な服装。

透き通った肌に肩甲骨が見え隠れしたコスチュームに少しフリルの効いたスカート。

頭には白い猫耳に、腰からは鈴のついた尻尾がのぞいている。


「あわわわわわ」


そんな服装に真っ先に反応したのは、花穂だ。

不機嫌そうな顔で射的場の景品を左から順番に落として行く。シューターの本領をいかんなく発揮していた。

本当に貰ってもしょうがないような景品以外あらかた落とすと、真司達の視線に気づき更に表情を曇らせる


「・・・・・・・・・・本当に来た」

「お邪魔しています、静音さん。・・・・・・・・・・・とても可愛らしいですね」


花穂の顔がだらしなくなっている。


「あう」

「静音さんの髪の色に合わせた、素晴らしいコーディネート・・・・・はうっ。肩まで」

「変なほめ方しないで!・・・・・・私も恥ずかしいんだから」

「ふふ、静音様の為だけに作られた会心の一作ですから」


同じく給仕の恰好をした早苗が静音に並ぶ。

真司を除き、女性しかいない空間なのにどよめきが走る。


「く、負けたわ」とか「あれは反則よね」とか「ああ、妹にしたい」などと周りからも声が上がる。


「よ、可愛い恰好してるな」

「ん」


真司の挨拶に、頬を赤らめた静音が答える。


「こんなに貰ってってもしょうがないだろ。返してやれよ」

「そのつもりよ。お菓子だけ持って帰るわ」


いいながら袋に景品を詰めてもらう。


「ああ、そう」

「・・・・・・・・あげないわよ」

「盗らないよ」

「ふん」


言いながら、受け取った袋を真司に押し付けて教室を出る静音。それに続く早苗と花穂。

周りから珍獣でも見るような目線を受けながら、真司も後に続いていく。

静音達の教室でお茶とお菓子をごちそうしてもらう事になった真司と花穂は、椅子に座って二人の登場を待っていた。


「ああ、静音さん可愛いですね」


キッチンスペースで右に左に動いている静音を花穂がうっとりと眺めている。


「まあ、そうだな」


そんな花穂に対し、真司の反応は少し薄い。

そんな反応をみて花穂も寂しそうに微笑んだ。


「まだ、気にしていらっしゃるんですね?」

「まあ、そうだね。柊さんも元気なさそう」


他の生徒から話しかけられても、仏頂面で受け答えをしている静音を眺める。


「課長の言葉は重みがありましたから」

「・・・・・・・・はい、お茶とケーキ」


静音が配膳を終わらせる。そのまま真司の横に腰掛けた。

椅子に尻尾がひっかからないようにどけながら座るしぐさに花穂が頬を染める。


「いいの?座っちゃって」

「みんながそこにいろって。あとで早苗さんも来るわ」


三人が着席。食器の音が少しなるだけで会話が止まる。

真司と静音が携帯を同時に取り出した。次のクエストの告知だ。


「花穂、九十九さんに一応連絡しておいて。場所と時間はここに」


真司が紙に書いて渡すと、花穂は静音に視線を向ける。

その視線を受けた静音は、机に視線を外した。

花穂は席を立つと、携帯を取り出して教室から出ていく。


「どうしようかしらね」


静音の呟きに、二人が目を合わせる。


「どうしよう、か」

「戦えないってなると、私やることないのよ」

「そうなんだ?」

「・・・・・・・・なんで私、生き返ったんだろ」


二人の会話がそこで止まる。

真司は静音から視線を外し、窓の外を眺めるしか出来なかった。

あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。

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