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人魚姫3

「はあ・・・?」


危険な人のようだ。


「敵の塊があれば突っ込んで行ってさ。オレは慌てて追いかけるんだけど。向こうは『騎乗』スキル持ちだから足が速くてさ、追いついた頃には敵を全滅させてるか、死んでるかって感じ」


『騎乗』騎士系のスキルで馬などに乗れるようになるスキルだ。足が速くなるほか、騎乗中限定の攻撃モーションなどがある。


「脳筋って訳じゃないけどね。敵を倒す順番とか、オレのところまで敵を引っ張ってきてから戦闘する時もあったし。まあその場合あいつが死んだらオレも死ぬんだけど」


思い出したかのように、真司は『くはは』と軽く笑う。


「オレのサブ職業『旅人』なのもこいつが原因なんだよね。あいつが死んだらオレも死ぬ、みたいな戦闘が後半多かったから。あいつが死んでもオレが生き残れば立て直せたし」

「そうなの?」

「テレポで逃げたり、敵をあいつに押し付けたりね。その変わりオレはあいつが死なないように、あいつが戦いやすいようにサポートをするんだよ」


携帯を取り出して、攻略サイトをひらく。


「『白と黒』はさ、経験値のこと考えると、1・2ランク低いMAPで敵を大量に倒すっていうのが効率良くレベルを上げる方法だったんだけどさ」

「前言ってたわね?」

「そいつは『強い敵がいるのに雑魚相手にするなんてナンセンスだ!』とか言って、いつも高ランククエストばっか選ぶんだよ。で、だいたい負けて帰ってくる」


全滅し、帰還。再挑戦。レベル上げは最終手段で、今持っている装備とスキルでいかにして敵を倒すかをいつも真剣に考えていた。


「上昇志向の強い方だったのですね」

「や、ただのゲーマーだから。で、色々考えた結果、自分ひとりでの装備とスキルだと限界だからって言ってオレのスキルにまで口だししてきた。仕方なくサブ職業が『旅人』に・・・」

「サブ職業ってどうやって取るの?」


自分にはない項目に静音が疑問を持った。


「Lv65以上になるとメイン職業以外に取れるようになるんだ。どれを取っても手に入るスキルは3種類。ステータスの上昇補正が入る『訓練生』とか『先生』が特に人気で。あとポーションを作れる『薬師』とかハウジングアイテムを作れる『大工』『裁縫士』も結構多かったね・・・でももう取れないと思うけど」

「えー!!」

「あれは次元図書館でその職業の本を読まないといけないからさ・・・たぶんもう無理」

「ずるいわよ!」

「ずるいって言われても。こればっかりはしょうがないよ」

「むう」

「次郎丸さんは『薬師』らしいけど、でも専用の道具がないからもう役に立たないよね」

「あー、それはそれできついわね」

「そうだねえ」


一応薬師の場合、INT値に上方修正が入る『薬の知識』はまだ有効だろうが。次郎丸の元々のINT値を考えると雀の涙だろう。


「で?」

「うん?」

「戦い方よ戦い方。さっきからあんたのその、昔の相棒紹介コーナーになってるじゃない」

「・・・・・おお」

「おおじゃないわよ、サブ職業くらいしか参考になる話なかったじゃない」

「戦い方かあ。今の相棒には真似してもらいたくないなあ」

「・・・・・・私じゃ無理って言いたいわけ?」

「そもそも職業が違うからね。あっちはバリバリの前衛職だったし」


相棒が敵を倒し、自分は後ろから回復。回復アイテムを持たないでクエストにこもれる分ドロップアイテムの多いMAPでも長時間戦っていられる。


「オレはあいつが抑えられない敵からの攻撃を我慢して、ひたすら回復をしたり余裕があれば攻撃魔法を撃ったりって感じだったね」

「私は敵を抑えたり出来ないわよ?」

「そういう職業じゃないからね。でも瞬間的な攻撃力ならガンナー系の方が全然上だよ。地道に敵を倒す職の次郎丸さんよりも柊さんの方が組みやすいね」


ご機嫌を取るつもりで言った真司だったが、静音には目線を逸らされてしまった。


「攻撃と回復、ですか瞬間的な回復魔術というものはこの世に存在しませんでしたが。考えるとすごい戦い方ですね」


花穂が腕を組みながらうんうんと頷いている。


「現実では実際に痛みが伴うから、あんまり生きた心地はしないけどね」

『・・・・・』


火だるまになっていた人間の一言に、他のメンバーは考えさせられるのであった。


「まあ私は、あいつらを殺せればそれでいいわ」


窓の外を眺めなおして、静音はすこし寂しげに呟いた。

その言葉を聞いた花穂の目は、細められていった。

あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。

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