竹取物語4
「くっそ・・・いた・・・あれ?痛くねえ」
少年は、sinはうつぶせで倒れこんだまま頭を押さえた。
「やっぱ夢・・・だよな」
呟いた瞬間に白いものが視界に入りこんできた。
スケルトンの足である。
「あああああああああああああ!!!!!!!!」
けたたましい銃声と、それ以上の叫び声が聞こえてきた。慌てて首を起こすと・・・。
銀髪の少女が涙を流しながら銃を乱射していた。
弾丸の1発1発がスケルトンの頭に吸い込まれていくのが見える。
「これは・・・」
7匹のスケルトンが地面に吸い込まれて消える。
「間に合わなかった・・・やっぱり」
「!」
瞬間的に、sinは体を起こして少女をかばった。
彼女の後ろからスケルトンが切りかかろうとしていたのだ。
「くっそっ!」
間に合わない、そう思ったが思いのほか体の動きがいい。むしろ余裕をもってスケルトンの斧を片手で抑え込み顔面に拳を叩き込んだ。
斧を抑え込んでいた手を捻りこんで再度拳を叩き込む。
3発目を叩き込むとそのスケルトンの顔は削り飛んだ!頭と体が分離して頭は後方に転がり込んでいく。
「・・・こいつら弱いじゃん」
思わずつぶやいた。
「ありがと、あんた倒れてなかった?」
「うん?まあなんか無事みたい」
少女は俯き気味に体を向けて・・・銃口をsinに向けた。
「まさか死んだ振り?あんな子供を見殺しにして」
思わず背筋が伸びる感覚をsinは受ける。
「ちょ・・・違うって!なんか倒れてたんだけど!なんか無事で!よくわかんなくって!目の前で人が切り殺されて・・・それで・・・あわてて逃げて・・・」
だんだんと意識と記憶がはっきりしてくると、sinは思わず自身の体を抱きかかえた。
「なんなんだよあれ、オレ後ろから殴られて・・・夢ならもう覚めてるのに・・・まだあいつらいるし・・・」
「殴られてって頭?本当に?」
「なんだよ!わかんねえよ!怪我もしてねえし!でも2,3発殴れば壊せるんなら・・・」
「待って。夢なら覚めてるってどういうこと?」
その感覚に少女は思い当たる節があった。
「なんか、走馬灯?が見えて・・・それで、その・・・」
「サフィーに会ったのね?」
「っ!」
「携帯、スマフォ?出して」
「え?」
「いいから!早く!」
ガシャ、とスケルトンが曲がり角から顔を出した。sinを追ってきていた連中だ。
「結局合流されたわね。子供達も死んじゃったし最悪」
言うが早い、少女は握っていたハンドガンの引き金を再び引き絞った。
「あたしの後ろに!携帯だして!早く!」
「んな場合か!てかどうすんだよ!」
「いいから!携帯だす!言うこと聞かないとあんたを撃つわよ!?」
「実際に銃撃ってる人がそういう強迫しちゃだめでしょ?!」
「早く!」
「出しました!ってなんか光ってるんですけど」
そんな会話の最中でも敵の数を減らそうと少女は敵から目を離さない。
「白黒のアプリ起動させて!」
「!」
白黒のアプリ、それはsin・・・プレイヤー名sinが以前遊んでいたゲームだ。突然告知もなく起動時エラーが起こりまったく使用出来なくなったゲームのことである。
「こんな時に何を」
「こんな時だから言ってんのよ!早くやりなさい!」
「わかったよ・・・はい」
瞬間、sinの手の中に納まっていたスマフォが宙に浮きだした。
『最新のバージョンアップを確認しました、データをダウンロードいたします。しばらくお待ちください』
「ってバージョンアップ入るのかよ!」
「ちょっと、もう少し下がって!押されつつある」
「ええい、もう!俺も殴る!2,3発で殴り倒せるのがわかってるんだから!」
「ちょっと!」
横から飛び出して前を向くと、スケルトンの集団が道路を埋め尽くしていた。
「やっぱこえええええええ!」
「チキン!」
二人揃って回れ右、後ろに走り出す。
「ダメ!前にもいるっ!」
気が付くと挟まれていた。
「くそっ」
背中合わせで前と後ろに睨みを効かせるが、いかんせん数が多い。
「どうすりゃいいんだよ」
「これは・・・無理かもね。こういう状況にならないように立ち回ってきたんだけど」
少女はマガジンを取り換えながらため息をこぼした。同時に頬を涙がつたう。
その表情をみて唾を飲み込む。
「くそっ、くそっ!くっそっ!あー!もう!」
sinは声を上げた。
「そっちに一人でつっこめ。オレが殺されてる間に一人でなら逃げれるかもしれねーだろ?」
「え?」
「いいよ、ありがと。女の子の前で恰好付けれる事なんていままでなかったし。これからもないだろうからね」
覚悟を決めた。
本来なら死んでいる身だ。
「生きろよ!」
sinは覚悟を決めると、スケルトンの集団の前に一歩踏み出した。
あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。