竹取物語34
『後方で戦闘確認』
賢の声に真司は眉を動かす。
(この状況下で戦闘に参加してくるとしたら)
『増援は頼んでないよ。待機組も動いてない。確認した』
『民間の魔導師の可能性は?』
『ないです。波長が違います』
『ええ、プレイヤーですね。武器からして戦士か狂戦士だと思います』
『やはりそうか』
賢と博美も同意見のようだ。
河川敷の上から、もっともスケルトンの数の多い次郎丸の前に人影が落ちてくる。
『ズダンッ!』
いかにも戦士然とした男だ。両手で一本の巨大な槍斧を振り回すと、まとめてその場にいたスケルトンを粉々にする。
「ああ、手ごたえが全然ねえな」
言いながら、歩んでくる。
その間も振り向きもせずに槍斧を振り回してスケルトンを駆逐。
「こんなカルシウム不足な連中いくら倒しても面白くねえなあ!そうだろ?」
不遜なしゃべり口調、体つきもしっかりしたものだ。背の高く、がっちりした首。
顔こそ現代人だが、ボロボロの布に頭蓋骨の装飾が施された服装からして完全に世紀末だ。
『瀬戸川君。どうする』
『判断に迷います』
真司は正直に答えた。
プレイヤーが生まれないように人は近づけないように公安で動いてくれていた。
今までの事件が報道されてないことや、この間のモールの件でその公安の力は示されてきた。
だがここに、彼はいる。
手伝いであればいくらでも欲しいのが正直な感想だったが。
「無双系のゲームも嫌いじゃねえがなあ・・・」
男は言いながら、槍斧を振り回して自分の周りにスペースを生み出して武器を地面に打ち下ろす。
「珠玉龍か、あれもずいぶん面白そうだが・・・」
戦場をにらみつけながら、真司と次郎丸を交互に眺めている。
「やっぱ、同種との戦いの方が面白いに決まってんだろう!」
地面を爆発させて宙に飛び上がると、一目散に次郎丸目がけて落下。
「バンブークラッシャー!!!」
叫びながら両手で支えられた槍斧を次郎丸に振りかぶった!
「くっ」
次郎丸は背面にジャンプ。
しかし、瞬間的に地面を抉った槍斧の周りの地面が隆起!
地面から無数の杭が飛び出して次郎丸とその周りにいたスケルトンを纏めて吹き飛ばした!
「ぐはっ」
倒れこそしなかったが、体の一部を土の突起物に刺されて苦悶の表情を浮かべる。
男は次郎丸が避けたのを見て、今度は槍斧を横に振りかぶった。
すぐさまそれを回避。
しかし次郎丸も驚愕と苦悶の表情を浮かべるだけではない。強く足を振り込んで、男に拳を叩き込む!
男は槍斧の柄でそれを受けるが、衝撃で後ろに飛ばされる。
次郎丸がとっさに使ったスキル『みぞおち』だ。
二人の距離が少し離れた。
「へえ、思ったより反応いいじゃねえか。そこそこ喧嘩慣れしてるってことか」
「・・・斧でどつかれるのは初めてだ」
「そうかい、オレも斧で人をどつくのは初めてだよ」
睨み合いながら言うと再び二人は衝突を始める!
「バッシュ!」
「ラッシュ!」
大ぶりの一撃を男が、次郎丸は連打を選択して距離を詰めて戦い始めた。
余波で空間が空き、生き残ったスケルトンが次郎丸の横を抜け出した。
「くっ」
「よそ見すんなよっ!」
次郎丸の一瞬の迷いに、男は武器を小さく振り回しその拳にぶち当てた。
次郎丸の拳、ナックルダスターが破壊される。
「ウィエポンブレイクかっ」
「そうだが、ずいぶん消耗してたんじゃねえか?一発で壊せるとは思ってなかったんだけどなっ」
「拳がダメでも足がまだあるっ」
「ならソレもぶち壊してやるよっ!」
巨大な槍斧のプレッシャーを前に、次郎丸は全神経を集中させる。
(あの攻撃は受けれない)
すべての攻撃を避けきる覚悟で、なおも前進を選択。
蹴りの間合いでは戦いにくいが、攻撃出来ないのでは意味がない。
次郎丸は額に汗を浮かべながら、その攻撃に身を晒していた。
あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。




