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竹取物語30

「学校いきたくねえ・・・」


 さっそく五月病発言をしながら真司は何度目かのため息をついた。

 念のため電車を遅らせて、始業時間ぎりぎりに登校をすると校舎を足早に抜けて自分の教室の扉の前で一瞬硬直する。

 入らない訳もに行かないので中に入る。


「おおう、しんちゃん遅かったね。寝坊?」

「昨日帰り遅かったもんなあ。オレ先に寝たからいつ帰ってきたか知らねえけど」


 真司の家で寝て、顔も合わせずに家に着替えを取りに帰っていた慶介だ。


「・・・おはよ」

「聞けよ真司!昨日夜中にMJいぢってたんだけどさ、これがまあ夜中は対戦相手がチートクラスでやってらんねえのよ」

「朝からそればっか言ってるのよこいつ。素で打って弱いのにゲームで勝とうだなんて甘いのよね」

「・・・・・・・?」

「ほらほら、席つけ。ホームルームだぞっと」


 担任がどこ吹く風で教室に登場。

 昨日の一件で騒ぎになると覚悟していた真司には、あまりにもいつも通りの光景だ。


「今日は転校生が入る。しかも二人だ。学校始まって2か月くらいしかまだ立っていないから打ち解けられるだろ。仲良くやれよ」


『はーい』


 若干暗めの返事が混じっているが、やはりいつも通りの光景。


「では二人とも入りなさい」

「はい」「はい」


 朝から喧騒に包まれると思っていた真司には、ある意味では更に斜め上をいかれた驚きがもたらされた。


「四条花穂です」

「四畳賢です」

『よろしくお願いします』


 見事に揃った双子の挨拶。


「・・・可愛い」

「可愛いな」

「可愛いわね」


可愛い       可愛い            可愛い。

   可愛い       可愛い。        

         可愛い        可愛い。


 クラス中から可愛いとのつぶやきが広がる。


「じゃあ席だな、後ろの」

「あ、先生。知った顔がいるので彼の近くでいいですか?」


 賢が担任に言うと、担任がどいつだ?と目線を向ける。


「真司、今日からよろしく頼むよ」

「・・・・よろしくお願いします」


 賢が元気に、花穂が静かに挨拶をする。

 真司の笑顔がひきつっていく。

 結局安息な一日は訪れないのがわかったからだ。






「で、なんでお前らここにいるんだ?」


 授業中、とは言うものの自習となっていた今の時間。周りもそこそこ騒がしい。

 真司は肘を机につけて、頬を押さえながら二人に問いかけた。


「転校生です」

「嘘つけや公務員共」

「やあ、色々考えたんですけどね。君に付いていた方が何かと便利なんじゃないかなと。それにゲームの事となると、昨日の通りまともな話し合いが出来るのは君と僕の二人だけですから」

「他にもいるだろうが。九十九さんとか神奈川のチームとかいるんだろ?」

「数だけならいますけどね。どうにもみなさん旧家の出身ですからアナログな人達でして。デジタルな感じになると、考えるの放棄しちゃうんですよ。脳筋なんです脳筋」

「それでいいのか公安0課」

「やあ、よくは無いのです。ですがあまり真司の時間を取ってしまうのも心苦しいですし・・・年も近いからいいんじゃない?って課長がいいまして」

「今の社会情報に距離は関係ないだろ」

「それは思うのですがね。ちなみに戸辺さんの所には他のメンバーが直接交渉しに行ってます。あの人フリーターですから」

「・・・・・柊さんは?」

「あの人はそっとしておいて欲しいって、昨日優しい誰かさんに言われてしまいましたから」


 言った瞬間、賢のおでこに消しゴムが飛んできた。


「花穂は納得してるのかよ?」


 昨日以降、賢と花穂は呼び捨てだ。四条と呼ぶと二人とも反応するのが面倒になったからだ。


「ええ、私はしばらくあなたと行動を共にするつもりです」

「HPの見えない人とは組みたくないんだよ・・・」

「でも私は私で、価値がありますよ?昨日の事、誰にも聞かれていらっしゃらないでしょう?」

「・・・・・そうだな」

「記憶を改ざんさせましたから。ちなみに今も私たちが会話をしているとは誰にも気づかれていません」

「まじで?」

「今なら多少奇声をあげても気付かれないだろうね。花穂が小規模の結界張ってるから」

「便利だなあお前」

「記憶の改ざんは花穂の術じゃないけどね!」

「なんだそりゃ」

「私は指示をしただけです。導、真司様には何度もご迷惑をおかけしたので・・・命まで助けて頂いたのに、お礼も言わず。おまけに昨日は犯人扱い・・・手錠を嵌めて肩口掴んで・・・ああ、もうなんとお詫びをすれば」

 

 両手で顔を押さえながら空気を重くしていく花穂。


「あの後からずっとこんな感じ」

「ああ、後半ずいぶん静かだと思ったら・・・凹んでたのか」

「ううう・・・・猛省しているます」

「噛んだな」

「噛んだね」


 更に空気が重くなる。


「いいよ、昨日の件は課長さんに踊らされてただけなんでしょ?とりあえず問題ないよ」

「ありがとうございます・・・はあ」


 こんな感じでやりとりしながら、口裏合わせやら今後の事を話しつつ授業は終わりを迎えて行った。

あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。

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