竹取物語21
「はあああああああ!」
真司が敵を打つ!打つ!打つ!
3Fへと降りてきて、目の前の敵の群れを一手に引き受けながらも攻撃の手を緩めなかった。
その後ろから静音が銃を構えて撃つ!
『ダンダンダンダンダン!』
リズミカルな銃声を作りながら、静音は照準を合わせ引き金を引き続ける。
(どこ狙えばいいかわからないからとりあえず頭で胴体な部分を撃ってればいい!)
その頭も頭蓋骨と比べるとずいぶん大きい、火属性の付与された静音の弾丸はすぐさまに敵を葬っていく。
「狼達!!お願いします!」
花穂は後方からゆっくりと移動してくるウッドマンを抑え込んでいた。先ほどとは別の符を取り出して、3体の狼を召喚。獅子程の大きさを持つ狼が敵の進行を遅らせる。時にはその鋭い牙でウッドマンの胴体をかみ砕かせる。
今のところダメージは真司しか受けていない。
その真司も自身にヒールを打つことなく、自然治癒のみの回復でこと足りるほどだ。
「スケルトンと比べると、楽でいいわね」
見える範囲の敵を片付けると、静音はマガジンを交換しながら真司に声をかけた。
「数が少ないからね、枝はどう?」
「私はいま2本ね。そっちは?」
「オレはまだ0。トドメほとんど柊さんだから」
「あの・・・何か集められているんですか?」
二人の会話についてこれていない花穂は、なんとなく居心地が悪くなる。
「この現状を終わらせるためのアイテムがあるんです。それをオレ達はあと6つ手に入れなければならない」
「・・・根拠は?」
「これが『白と黒』というゲームだからです。少なくとも前回はそれでクリアしていますから。あなた方もゲームの内容を把握しているんじゃ?」
「それは、そうなんですが・・・連中を倒しても死体も持ち物も残らないですから」
花穂は倒したばかりの敵が消えた地点に視線を送る。そこには汚れも少ないきれいなフロアが続くばかりだ。
「それをこの機械が補助してくれているんですよ」
「そうですか、すごい技術ですね」
感心されても、真司自身がこのシステムを理解できてないので反応に困るが。とりあえず真司は苦笑いを浮かべてMAP機能を使い敵を探すことにする。
「この下、ちょうどダマになってるわ」
同じようにMAPを操作していた静音が敵を発見。
真司が吹き抜けから顔を覗かせると、真下に大樹の上の部分が通り過ぎていく。
「老菩提樹・・・やっぱいるか」
「強いの?」
「そこそこ、柊さんがダメージを受けたら即死かも」
「なんでそんなのがいるのよ」
今までの敵とは打って変わって、緊張感のある言葉を静音は言う。
「倒しても倒さなくてもいい敵だからね。倒せたら枝は大量に手に入るけど、このクエストのレベルから見ても頭二つは飛び出ている敵だよ」
「あんたでも勝てないの?」
「んー、スキル解除が入れば余裕で。今のままでも倒せるけど時間がかかるだろうし、せめて杖がないと」
こん棒に目を落とす、こいつもそろそろ限界だろう。攻撃にも防御にも使っている為装備耐久値がかなり低くなっている。元々その数値も高くないからしょうがないが、いずれ拳であの木を殴らなければならなくなると思うと気が重い。
「杖?出たわよさっき」
「・・・そういうことは早く教えてよね」
真司は静音に視線を向ける。静音は慌ててウィンドウを操作して杖をアイテム化した。
「やあ、なんかこん棒持ってた方が頼りになりそうな気がしてて・・・それに杖の事聞いてたの前回だし?」
頬を掻きながら真司にアイテムを渡す。
「とりあえず次からはアイテムの確認もしっかり行うことにしよう。『菩提樹の杖』か、レアアイテムじゃん!いいね。攻撃魔法も回復魔法も数値がかなり上昇するよ」
杖を受け取ると一度装備して、またこん棒に戻す。
「装備しないの?」
「いまは敵の気が引ける武器の方が都合いいからね。鈍器系の武器と盾が出たら教えて。それ以外は自分で使えるものは自分で使っていいから」
「お二人ともっ!」
不意に、花穂から警戒の声が上がる。
真下の階から何か大きな音が聞こえてくる。これは・・・戦闘をしているようだ。
「私たち以外にも人がいるの?」
「先ほど、他のチームは全部引き揚げさせたはずです。なんでしょうか」
「降りよう」
あとがきは、作品自体に需要があるようなら書くことにします。




